「Y!mobileの背中が少し見えてきた」「90万契約は射程圏内に」 野坂社長が語るUQ mobileの現在地

» 2017年06月01日 21時53分 公開
[田中聡ITmedia]
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 「UQ mobileは、この半年で大きく変わったと自負している」。UQコミュニケーションズの野坂章雄社長は、1日の発表会でこう話す。

UQ mobile 1日の発表会には、深田恭子さん、多部未華子さん、永野芽郁さん、ピンクガチャ・ブルームクがゲストとして登場した
UQ mobile UQコミュニケーションズの野坂章雄社長

 UQは、2016年〜2017年前半にMVNOサービス UQ mobileの料金プランを拡充し、月額1980円から利用できる「イチキュッパ割」やデータ増量キャンペーン、1回5分以内の国内通話が回数無制限で無料になる「おしゃべりプラン」などを提供。端末ラインアップや店舗も拡充した。

 特に効果的だったのが、2016年11月から展開している全国規模のプロモーション。深田恭子さん、多部未華子さん、永野芽郁さんを起用したテレビCMは7カ月連続でCM高感度トップ10にランクインしたほか、UQ mobileの認知度は、CMを開始した2016年11月の61%から、2017年3月には89%にまで上昇した。「他社で半年でこれほど認知度が上がったのはあまり例がないのでは」と野坂氏は胸を張る。

UQ mobile CM効果もあり、UQ mobileの認知度は89%にまで向上した
UQ mobile UQ mobileの歩み。2016年11月の新CMが大きな転機になった
UQ mobile 契約数は、UQの予想を超えて急増している

 そんなUQがこの夏に開始するのが、子回線(2〜9回線目)の月額料金を500円割り引く「UQ家族割」だ。家族4人で月12GBの通信をする場合、NTTドコモの場合は月額1万6120円かかるが、UQ mobileなら月額7420円で済み、UQの方が年間10万円ほどお得になる、といった比較も野坂氏は紹介した。

UQ mobile 月額1480円からの「UQ家族割」
UQ mobile ドコモとの比較

 一方で、同じ“サブブランド”のライバルである「Y!mobile」でも、同様の家族割は提供しており、2〜9回線目の月額料金が500円引きになる。今回のUQ家族割はY!mobileに追随した形になる。そのY!mobileは順調に契約数を伸ばしており(数値は非公表だが)、UQにとって、まだY!mobileの背中は遠い状況だ。

 野坂氏は「UQ mobileは前頭で、ずっと頑張っているY!mobileは大関、関脇のようなもの」と例えつつ、「UQが量販店で相当売っていて、店舗別にシェアを比較していると、伸びている。Y!mobileの背中は絶壁ではあるけど、少し見える」と手応えを語る。UQ mobileとY!mobileの差で大きいのは店舗数だ。UQ mobileのブランドショップ「UQスポット」は、2017年度に120店舗まで拡大する計画だが、Y!mobileのブランドショップは既に全国で約1000店舗(併売店も含めた取扱店は約4000)あるので、文字通り桁が違う。

UQ mobile UQスポットは2017年に120店舗まで拡大する予定だが……

 「いくら量販で頑張っても、そこ(店舗)の差分は依然としてある。(契約数の)変化率が大きいから派手に見えるかもしれないけど、絶対量では違う。そこは課題」と野坂氏も認識しており、「知恵の絞りどころ」だと考えている。

 「UQでは、スマホを貸して、使ってみて良かったら契約してくださいというサービス(Try UQ mobileレンタル)を提供しているが、4〜5割の方に契約いただいている。リアル店舗+Web系を使ってオールUQのサービスを体験してもらって、口コミで伝えてもらえるようにしたい」と野坂氏が話すように、Y!mobileとは違った手法でタッチポイントの拡大を検討していく。いっそのことauショップでUQ mobileのSIMカードを販売してもいいように思えるが、現時点でその可能性はないようだ。

 2017年に90万の契約獲得を目標に掲げていたが、これは「MVNO市場が300万ぐらいだとしたら、UQとしては30%は取らないといけない」(野坂氏)という意図で定めた数字だという。2017年2〜3月の契約数が想定以上に好調だったことから、90万は「射程(圏内)に入ってきた」と同氏。「社内では90万で満足しないようにとは伝えているが、まずは90万をきちんと超えていきたい」とした。

 新機種については「AQUOS L2」と「DIGNO V」の2機種のみという控えめな発表だったが、「お客さまがお求めやすいバリエーションを増やしたいので、AQUOSとDIGNOを加えた。上位モデルも検討していて、これからラインアップを追加していきたい」(事業開発部長の前島勲氏)というので期待したい。

UQ mobile UQ mobileで扱うスマートフォンは、「AQUOS L2」と「DIGNO V」を加えた12機種になる

 MVNOの鬼門ともいえるお昼時でも、au並みに速度が出るのは良い意味で「本当にMVNOなのか?」と疑いたくなるほど。「通信が遅いと、最初から比較の検討に上らない。速度にはかなりのコストをかけて、きちんと出すように頑張りたい」と野坂氏が話すように、UQ mobileの通信品質は他のMVNOにはない大きなアドバンテージだ。

 一方で対Y!mobileでみると、Y!mobileはキャリアのソフトバンクが運営しているため、こちらも通信は快適。プランや家族割などもほぼ同じ。端末もAndroid OneはY!mobileのみ、といった細かい差はあるが、iPhoneはどちらも5sとSEを扱っており、UQが大きく見劣りするわけではない。やはり店舗の差が大きい。いかにタッチポイントを拡大するかが、UQの大きな腕の見せどころといえる。

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