今や世界中に広まり、高機能スマートフォンの代名詞となったApple製の携帯電話「iPhone」。そんなiPhoneの初号機が発売されてから、10年がたった。2017年は“10周年”という節目の年ということもあり、9月の発表が予想される新型iPhoneへの期待が例年以上に高まっている。そこで、これまで発売されたiPhoneの変遷をたどりつつ、新モデル発表に向けておさらいをしておきたい。
iPhoneの後ろに英数字が何も付かない、初代iPhoneが登場したのは、2007年1月9日(現地時間)、サンフランシスコにあるMoscone Centerで開催されたMacworld Conference & Expo 2007の基調講演でのことだ。
当時のCEO、故スティーブ・ジョブズ氏はiPhoneを「ワイド画面のiPodであり、携帯電話であり、Internet Communicatorでもある製品」と紹介した。AppleはiPhoneの発表にあたり「携帯電話を再定義」と述べており、iPhoneの新しさ、ジョブズのプレゼンテーションのインパクトから、この基調講演は今でも語り草となっている。ちなみに、この基調講演の会場にはソフトバンクの孫正義氏の姿もあった。
アルミと樹脂を使った本体は丸みを帯びたスクエアな形状で、背面中央にリンゴマークが配置された。カラーはシルバーとブラックのツートーン1タイプのみ。発表時はストレージ容量が8GBと4GBのモデルがラインアップされ、その翌年に16GBモデルが追加された。キー類が非常に少ないのも当時としては異色で、ディプレイ下部にホームボタン、側面に音量キーとマナーモードスイッチ、上部に3.5mmイヤフォン端子と電源キー、下部にiPodと同様のDockコネクターを備えていた。
フィーチャーフォンが主流だった当時、本体の前面を占める3.5型(320×480ピクセル)の液晶ディスプレイは非常に大きく、電話番号や文字の入力などを含む、ほぼ全ての操作をディスプレイに直接、指で触れて操作するのも新鮮だった。その当時も「M1000」「W-ZERO-3」などタッチパネルを搭載したスマートフォンは存在していたが、多くは感圧式でスタイラスペンで画面を“押して”操作するのものが多かった。
iPhoneは“触れて”操作する静電式のタッチパネルで、タッチするアイコンやマークも大きく、指で快適に操作することができた。現在のスマートフォンでは当たり前になった、マルチタッチによる写真やWebサイトの拡大・縮小表示もiPhoneから始まったものだ。また、加速度センサーを搭載し、端末が縦位置なのか横位置なのかを検知して自動的に画面を回転させる機能も、初代iPhoneから備えていた。
ディスプレイには15個のアイコンが並び、ケータイ用サイトではなくPC用のWebサイトを表示できる「Safari」や、メール、Google Maps、カレンダー、iPod、株価などのアプリが利用できた。当時はiPodの機能進化が進んでいたが、iPhoneは最新iPodの機能と携帯電話が統合した端末。音楽や動画の再生、写真の表示などが可能で、音楽管理ソフトのiTunesを使ってPCとデータを同期できた。なお、App Storeはまだ用意されておらず、一般のユーザーがアプリを追加することはできなかった。
OSはmacOS Xをタッチパネルデバイス向きに最適化したサブセット版で「OS X iPhone」という名称で呼ばれた。米国で購入するにはCingular Wireless(現AT&T Mobility)との2年契約が必須で、8GBモデルが599ドル(当時の為替レートで約7万円)、4GBモデルが499ドル(約6万円)と発表された。通信方式は2GのGSMクアッドバンド(850/900/1800/1900MHz)/EDGEで、既に3Gに移行し、通信方式も異なる日本では利用できなかった。
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