申込数は「想定通り」、内容には「賛否両論あった」 IIJmio「コミコミセット」の狙いMVNOに聞く(1/3 ページ)

» 2017年10月06日 11時45分 公開
[石野純也ITmedia]

 個人向けMVNOでシェア1位のIIJmioが、新たな一手を打った。8月に開始した「コミコミセット」がそれだ。もともとIIJmioでは、「IIJサプライサービス」としてスマートフォンを提供しており、SIMカードともセットで購入できたが、コミコミセットはこれを一歩推し進めたもの。期間限定のキャンペーンという扱いながら、IIJ側でチョイスした端末とSIMカードをセットで契約することで、1年目の料金が1880円(税別、以下同)からになる。ここには、端末や3GBのデータ通信に加え、国内3分までのかけ放題も含まれている。

IIJmio IIJがトライアルで提供している「コミコミセット」。端末代金込みで月額1880円から利用できる

 一方で、こうしたセット販売は大手キャリアのスタイルに近く、早くからMVNOとしてSIMカードを完全分離の形で提供してきたIIJmioが同じ道を歩むところに、違和感を覚える人もいるという。2年縛りのような期間契約ではないものの、Y!mobileやUQ mobileなど、大手キャリアのサブブランドと同様、1年目が最安になる料金設計も、賛否が分かれるところだ。

 では、当のIIJは、どのような思いや狙いがあり、こうしたキャンペーンを展開しているのか。また、キャンペーン終了後にコミコミセットは正式な料金プランすることを考えているのか。コミコミセット導入の背景や経緯を、ネットワーク本部 技術企画室 担当課長の佐々木太志氏、 広報部 技術広報担当課長の堂前清隆氏、MVNO事業部 MVNOセールス・プロモーション部 副部長の今井健氏の3人に聞いた。

申し込みの7割はIIJmioを使っていないユーザー

IIJmio IIJの今井氏

―― まずは、コミコミセットを提供した狙いを教えてください。

今井氏 ここ最近、(マーケティング用語で)アーリーマジョリティーと呼ばれる方が入り始めていて、購入行動が変わってきているというのが肌感としてありました。そういう方々は、ガジェットや通信サービスに詳しくない。ですので、なるべくシンプルに、これさえ選んでおけば安心ということで、期間限定で用意しました。端末とSIMカードをバラバラに、好きなものを買うというところに、今回、お手軽なコミコミセットを加えた形です。

―― 期間限定のキャンペーンなのは、なぜですか。

今井氏 こういうものがあった方がメリットがあるかどうか、社内でも議論は尽くしましたが結論が出ませんでした。そういうこともあり、まずは期間限定で市場の反響を見ています。

―― 申し込み数はいかがですか。

今井氏 想定通り、読み通りです。3カ月で1000弱になると思っていたところに、ピッタリ収まっています。ただ、当初予定になかったラインアップ(Huaweiの「nova lite」と「P10 lite」のこと)を増やすので、上振れする可能性はあります。従前の買い方が9割方ですが、今大きく市場を伸ばしているマジョリティー層は、コミコミセットを選んでくれている実感があります。

―― まずは反響を見てというお話でしたが、想定通りとなると、キャンペーンを延長したり、プラン化して半永続的に提供したりといったことにはなりそうでしょうか。

今井氏 決定したことはありませんが、感覚的には、伸ばせるのではないかと思っています。思っていた以上に狙い通りというか、今までとは少し違う人が入ってきていることもあります。通常は、端末を買うのは既存のユーザーが7割ですが、今回は逆で、7割がIIJmioを使っていなかった人たちで、初めてコミコミセットを申し込んでいます。そのため、属性データも違ってきていますね。

―― どういった属性の違いがあるのでしょうか。

今井氏 年代で言うと、通常より50代、60代、70代の比率が高い。若干年齢が高い層が多いですね。女性が少なく、男性が多いのですが、これは妻に使わせる、子どもに使わせるという比率が全体の契約者と比べると高いこともあります。

堂前氏 女性のユーザーはiPhone発売と同時に増える傾向があるので、少しタイミングが合ってなかったかもしれません。

セット端末を選ぶ基準

―― コミコミセットの端末は、どういう基準で選んだのでしょうか。

今井氏 1つは、リリースされて間もない、鮮度のいい端末であることです。さらに、普通に使うぶんには可もなく、不可もなく、高すぎず、安すぎずといったゾーンを狙いました。

―― 日本メーカーが多いのはたまたまですか(※インタビューはnova lite、P10 liteが加わる前に実施)。

今井氏 それはたまたまです。

堂前氏 郵便局でも「arrows M03」を扱っていますが、あの端末はオススメするときの鉄板で、実際触ってみても、不可な部分がありません。そのぶんお値段は、(グローバルモデルと比べると)ちょっとお高めですが。シャープさんの端末も、それに準じる形で、われわれとしても安心できる部分があります。

 あと、「VAIO Phone A」はスペックの割に安い。もちろん、ODMで作っていることは知っていますが、やはりVAIOというブランドが浸透しているのも大きいですね。一方で、「ZenFone Live」は新しく、かつお買い得で、小さい方がいいという声があったからです。鉄板2機種と、お買い得の大小という形で、いい感じになっているのではと思います。

―― 先ほど予定になかったラインアップとおっしゃっていましたが、端末を増やすことは考えていますか。

今井氏 2機種追加します(※インタビュー後にnova lite、P10 liteが加わった)。初期に入ってきた情報で、「4機種だと少ない」という声がありました。だったら6機種ぐらいにしようということで、3つずつをそろえることにしました。もしコミコミセットが正式プランになるのであれば、順繰りに入れ替えていく感じになると思います。

―― もうちょっとスペックと値段が高い、ハイエンドに近い組み合わせがあってもいいと思いますが、いかがでしょう。

今井氏 11月末までに関しては2ラインですが、本番(正式プラン化)に際しては、3ライン、4ラインになる可能性もあります。一番高いもので、7万ぐらいのものまで並べられればとお話はしています。この辺の声は、母数を集めたアンケートでも上がっていて、要望が多そうであれば増やすことも検討します。

IIJmio 機種ごとの料金。これに1年目が月額1880円の「HUAWEI nova lite」、1年目が月額2480円の「HUAWEI P10 lite」が加わった
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