「IIJmio」の純増が鈍化 勝社長は“サブブランド”の影響を認める

» 2017年08月08日 18時15分 公開
[田中聡ITmedia]

 IIJ(インターネットイニシアティブ)が8月8日、2017年度第1四半期の決算を発表した。

 法人と個人を含めたモバイルサービスの回線数は194.3万になり、200万回線が見えてきた。個人向けIIJmioモバイルが96.6万回線、法人向けIIJモバイルが93.1万回線だった。IIJmioモバイルは2016年度第4四半期の95.1万回線から1.4万の純増にとどまった。2016年度は1Qごとに4〜6万回線の純増だったことを考えると、今回は伸びが鈍化している。ただし「端末込みの販売が増えている」(勝栄二郎社長)影響もあり、モバイルサービスの粗利と営業利益は増加している。

IIJ決算 第1四半期の決算総括
IIJ決算 モバイルサービスの状況。IIJ自らがSIMを発行して独自の通信サービスを提供する「フルMVNO」についても、2017年度第4四半期のサービス開始に向けて、着実に準備が進んでいるようだ
IIJ決算 IIJの勝栄二郎社長

 純増が鈍化した要因について勝氏は「キャリアのサブブランド(Y!mobileやUQ mobile)の伸び」を挙げる。「キャリアのサブブランドが出てきて、CMや販売に非常に力を入れている」とその影響力を認める。サブブランド、特にY!mobileは大手キャリアからの流入も多いが、その影響で、IIJをはじめとするMVNOへの流入が減っていることも読み取れる。また、MVNOからサブブランド(Y!mobileやUQ mobile)への流入も増えているのかもしれない。

 ただ、今回の結果が「ずっと続くとは思っていない」と勝氏はみる。「われわれの強みの1つは販路の多様化で、いろいろなところで販売している。また(通信の)品質でも差別化できている。さらに、キャンペーンにも力を入れている。長い目で見ると、一時的なものだと思っている」(同氏)

 勝氏はIIJmioの品質の良さを訴えるが、実際のところ、12時台の通信速度はIIJmioをはじめとする多くのMVNOが苦戦している。一方、Y!mobileはソフトバンク回線をそのまま使っているので品質面で有利だし、UQ mobileも混雑時にしっかりと速度が出ている。現状、品質面ではサブブランドが優位に立っているのは明らかだ。販路についてもY!mobileは全国にショップを構えており、UQ mobileも店舗拡大に努めている。サブブランド以外のMVNOにとっては不利な状況が続いており、何らかの対策を立てる必要がありそうだ。

 さらに、最近は大手キャリアも料金面で新たな施策を展開している。2017年6月には、NTTドコモが月額1500円を半永続的に割り引く「docomo with」を開始した。また7月にはKDDIも通信費が安価になる「auピタットプラン」「auフラットプラン」の提供を開始した。第1四半期の業績に影響を及ぼした可能性があるのはdocomo withだが、auの新料金プランが第2四半期以降に影響を及ぼす可能性もゼロではない。

 ただ、新プランの影響は軽微なものだと勝氏は考えているようだ。「いろいろなキャリアがいろいろなプランを出しているが、例えば一部ユーザー向けに、特定の条件を優遇する、全般的なユーザー向けでないと感じている。IIJとしては、従来の品質を守るのが大事だと思う」(勝氏)

 一方、法人向けIIJモバイルは2016年度第4四半期の85.8万回線から7.3万の純増となり、各四半期で約10万の純増だった2016年度よりはややペースが落ちているが、好調を維持している。監視カメラやデジタルサイネージなどのM2M案件に加え、「IoT関係の新たな取り組みも増えている」(勝氏)という。

基本情報から価格比較まで――格安SIMの情報はここでチェック!→「SIM LABO

格安SIM、SIMロックフリースマホのすべてが分かる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
  1. 楽天モバイルのスマホが乗っ取られる事案 同社が回線停止や楽天ID/パスワード変更などを呼びかけ (2024年04月23日)
  2. シャープ、5月8日にスマートフォンAQUOSの新製品を発表 (2024年04月24日)
  3. スマホを携帯キャリアで買うのは損? 本体のみをお得に買う方法を解説 (2024年04月24日)
  4. 貼り付ければOK、配線不要の小型ドライブレコーダー発売 スマート感知センサーで自動録画 (2024年04月25日)
  5. Vポイントの疑問に回答 Tポイントが使えなくなる? ID連携をしないとどうなる? (2024年04月23日)
  6. 中古スマホが突然使えなくなる事象を解消できる? 総務省が「ネットワーク利用制限」を原則禁止する方向で調整 (2024年04月25日)
  7. 通信品質で楽天モバイルの評価が急上昇 Opensignalのネットワーク体感調査で最多タイの1位 (2024年04月25日)
  8. ドコモ、「Xperia 10 V」を5万8850円に値下げ 「iPhone 15(128GB)」の4.4万円割引が復活 (2024年04月25日)
  9. 「iPhone 15」シリーズの価格まとめ【2024年4月最新版】 ソフトバンクのiPhone 15(128GB)が“実質12円”、一括は楽天モバイルが最安 (2024年04月05日)
  10. スマートグラス「Rokid Max 2」発表 補正レンズなくても視度調節可能 タッチ操作のリモコン「Rokid Station 2」も (2024年04月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年