ソフトバンクSIMの提供は? Y!mobileとUQは脅威? mineo×IIJmioトークセッションIIJmio meeting 15(1/3 ページ)

» 2017年04月11日 16時14分 公開
[田中聡ITmedia]

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は、4月8日に大阪でファンミーティング「IIJmio meeting 15」を開催した。IIJmio meetingは毎回、大阪と東京で開催しており、東京では4月15日に開催する予定(詳細はてくろぐでの告知を参照)。今回実施した「SIMロックを解除してau、ソフトバンクのスマホを使うとどうなるのか?」「IIJの目指すフルMVNOサービス」というテーマのセッションは、東京会場でも行う。

 大阪会場だけの特別セッションとして、「mineo × IIJmio スペシャルトーク」を行った。今回、このトークセッションのモデレーターとしてITmedia Mobile編集長の田中聡が参加したので、そのときの模様をお伝えしたい。参加者はmineo(ケイ・オプティコム)側がグループマネージャーの上田晃穂氏とマネージャーの杉野浩司氏、IIJmio(IIJ)側がエンジニアの佐々木太志氏と堂前清隆氏。

IIJmio meeting トークセッションの様子(写真提供:インターネットイニシアティブ)

ソフトバンクSIMを提供する予定は?

田中 3月22日から、日本通信やU-NEXTなどが、ソフトバンク回線を使ったSIMカードの提供を開始しました。ケイ・オプティコムとIIJさんは、マルチキャリアとしてドコモ回線とau回線のSIMカードを扱っていますが、ソフトバンクSIMを扱う予定はありますか?

上田氏 個人的には興味があります。ドコモもauもやって、「ソフトバンクもやりました!」となれば、ニュースになるだろうなと。ただ、本当にやるとしたら、先行投資もいるでしょうし、今はSIMロックを解除したら、iPhone 6s以上の方はiPhone(で格安SIM)を使えます。それ以前(iPhone 6以前)のユーザーさんがどれだけいて、どれだけmineoに入っていただけるかは、見極めないといけないと思っています。

田中 日本通信は、ソフトバンクSIMで100万契約を狙うと言っているようですが。

上田氏 他社さんの数字についてコメントする立場にはありませんが、iPhoneを使われているソフトバンクのユーザーは多いだろうなと。そういう意味では、ソフトバンクに参入することで、そのユーザーさんに一定数来ていただける可能性はあると思っています。でも、現状の(ソフトバンクSIMの)メニューは高いですよね。キャリアの回線接続料も、ドコモが一番安くてソフトバンクが一番高いので、そういうコスト的なこともあり、今は情報収集しているところです。

IIJmio meeting 日本通信が提供している、ソフトバンク回線を使った「開幕SIM」の料金(データSIM)

田中 確かに1GBで月880円は、auやドコモ回線のSIMだと3GB程度の価格なので、ユーザーにとって、メリットがあるのかな? という疑問はあります。IIJさんはいかがでしょう。

佐々木氏 もちろん興味がないということは全然なくて、日本通信さんらしい取り組みで、そういうところに切り込んでいくのは非常に重要だと思っています。反面、SIMロックの掛かったiPhoneのお客さまがターゲットになると、マーケットは縮小しています。SIMロック解除のガイドラインが改正され、キャリアのスマートフォン(iPhoneは6s以降)はSIMロックを解除できることが前提に作られています。そこに対して、投資をかけてサービスを作っていくかというのは、決断としては非常に難しいのかなと。

 例えば、auさんのときにもこの問題はありました。「mineoさんのSIMカードだとちょっと古い端末でも使えるけど、IIJは何で使えないんですか?」という質問に対して、VoLTEに対応していないauさんの端末が減っている中で、投資をかけてやるのは難しいと、過去のIIJmio meetingで話したことがあります。それと同じ問題かなと思っています。

田中 au回線の話が出ましたが、au回線はMVNOとの相性が悪いのかな? と思うところがあります。例えば、iPhoneでテザリングができないとか、SIMロック解除が必要とか……。mineoさんはau回線の契約数が多いですが、どのように感じていますか?

上田氏 基本的には、いろいろと調整しながらやらせていただいています。われわれからお願いすることも多々あります。例えば、「テザリングができるようにしてほしい」とか。SIMロックについては、以前はSIMロック解除をしなくても使えていたのに、ある時からSIMロック解除しないと使えないようになってしまったので、「元に戻してほしい」とか。KDDIさんとは、日々発生する諸問題について、適宜相談しています。

田中 IIJさんも、2016年10月から「タイプA」を提供していますが、どのような手応えを感じていますか?

佐々木氏 タイプAについては、IIJmio meetingの14回目で大内が説明させていただきましたが(関連記事)、タイプDの方が非常に使いやすいなと。お客さんの比率を見ても、タイプAとDではまだDの方が大きいという状況です。当然、いろいろな選択肢があるのはいいことなので、われわれとしては、KDDIさんにもっと使いやすい状況になるよう頑張っていただきたいのと、タイプA(au回線)対応のSIMフリースマホがどんどん拡充して、お客さんの選択肢が広がるといいなと思います。

キャリアのサブブランドは歓迎? 脅威?

田中 MVNOが盛り上がっている中で、特にキャリアのサブブランドの勢力が拡大していると感じています。具体的にはソフトバンクのY!mobile、auのUQ mobileです。先日も発表がありましたが、iPhone SEを、Y!mobileとUQ mobileは取り扱っています。このサブブランドの伸びは、歓迎すべきことなのか、脅威に感じているのか、どちらでしょう?

IIJmio meeting Y!mobileも格安SIMを訴求している

上田氏 正直言うと、脅威半分、歓迎半分です。UQ mobileやY!mobileさんは「格安SIMだ、格安スマホだ」と言って、CMもたくさん打っています。大手キャリアのユーザーさんが「こういうものもあるんだ」と興味を持たれて、その検討の中で「あ、mineoがある、IIJmioがある」と広がる意味では歓迎しています。

 一方でUQ mobileさんもUQ mobileさんも契約を多く獲得されているので、そういう意味では脅威に感じています。

田中 au回線が多いmineoさんにとっては、UQ mobileは看過できない存在ですよね。一方でiPhoneの対応で、UQが優遇されていると感じることが多々あります。例えば6sまでのモデルは、プロファイルを入れなくても通信ができて、テザリングも使えます(関連記事)。またiPhoneをUQ mobileとY!mobile以外で扱っているMVNOもほぼ見られません。こうした状況を打開するのはなかなか難しいとは思いますが、何か対策はありますか?

上田氏 正直、iPhoneを扱いたいという思いはあります。MMD研究所さんのデータで、「今iPhoneを使っている人のシェアが高い格安SIM」でmineoを挙げている方が一番多かったので、iPhoneをお使いの方がmineoを使う可能性は高いと思っています。

田中 IIJさんは、個人向けのSIMのシェアは現在1位ですが、サブブランドが盛り上がることで、背中を追ってくるプレーヤーが増えることになります。Y!mobileは純粋なMVNOではありませんが、どうご覧になっていますか?

佐々木氏 上田さんがおっしゃった通り、チャンス半分、脅威半分だと思っています。2015年のタスクフォースで過剰なキャッシュバックが禁じられ、そのお金がY!mobileとUQ mobileに吹き出しているということだと思っています。機種変更やMNPをするとキャッシュバックをもらえる、という中で囲い込まれるくらいなら、サブブランドであれ何であれ、われわれに近い土壌に来てくれるのは、決して悪いことではないと思っています。

 1回SIMを乗り換えると、お客さんの抵抗感は下がります。例えばY!mobileに変えたけど、実はもっと安い選択肢があることに気付いた、とか。これまでの何十万円のキャッシュバックなどよりも、はるかに分かりやすい競争になったと思います。

田中 サブブランドはかなりCMを投下しています。IIJさんは、CMまでは打たない感じですかね。

佐々木氏 ケイ・オプティコムさんはたくさんCMを打っていいなぁと。うちの娘がmineoさんのCMの歌を口ずむたびに、「ごめん、それはやめて」と言うこともあります(笑)。CM予算を取れるように頑張ります。

田中 ケイ・オプティコムさんがmineoのCMで起用している葵わかなさんは、朝ドラの出演も決まりましたね。

上田氏 葵わかなさんは、2017年度下期のNHKの朝ドラのヒロインに選ばれました。「さすが」「先見の明がある」と、皆さんに言っていただいているんですけど、それも1つの運だと考えると、うまく活用しない手はないかなと思っています。

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