標準状態だと、モバイルネットワークに最適化された音質で音楽を聞くことができる。音にこだわるときは、設定で変更も可能。この場合の設定はiPhoneで行う。設定の「ミュージック」で「モバイルデータ通信」を開き、「高音質ストリーミング」をオンにすればOKだ。
設定の説明書きには「曲の再生まで時間がかかることがあります」と記載されているが、日本はLTEのネットワークが充実しているためか、あまり待たされているという感覚はなかった。Apple Watch内にコピーした楽曲を再生するよりもワンテンポ、始まりが遅くなる程度だ。
とはいえ、Apple Watch Series 3は、iPhoneなどのスマートフォンと比べると、通信スペックが低い。これは、バッテリーの持ちを考慮したためだが、Apple Watch Series 3には、IoT機器向けの「LTEカテゴリー1」が採用されている。スペック上の速度は、下り最大10Mbpsだ。といっても、これはあくまで理論値。スループットは環境によって左右され、当然ながら10Mbpsより低くなる。
そのため、特に高音質に設定した際は、楽曲が途中で止まってしまうのでは……と思ったが、その予想はいい意味で裏切られた。約20曲、Apple Watch Series 3単体でApple Musicの楽曲を再生し続けてみたが、一度も途切れることはなかった。その間、有楽町線や山手線、徒歩で移動し続けていたが、通信はつながり続けていた。Apple Watch Series 3はディスプレイ全体をアンテナにするという離れ業で電波強度を確保したというが、思った以上に快適に音楽を聴くことができたというのが率直な感想だ。
余談だが、高音質に設定していると当然ながらファイルサイズは大きくなってしまう。上記のように約20曲聞いた状態で、Watchアプリから使用したデータ容量を確認してみたところ、「ミュージックとRadio」で224MBも消費していた。同じペースで音楽を聴き続けていると、すぐにGB単位に達してしまう。大容量プランを契約していれば、あまり気にならないかもしれないが、そうでない場合は、無理に高音質設定にする必要はないだろう。
単体でLTEを使って通信して、音楽も再生するとなると、バッテリーの持ちも気になるところだが、これも、心配していたほどではないという印象を受けた。筆者の環境では、10時半に85%だったバッテリー残量が、13時半には60%になっており、その間、およそ15%バッテリーを消費したことになる。時間にすると約3時間だが、うち1時間ほどはBluetoothでiPhoneとつなぎ、音楽の再生は止めていた。
15%という数値だけを聞くと、バッテリーが一気に減っているように思えるが、実はApple Watch Series 3が単体で通信すると、音楽を再生しなくても同程度のバッテリーを消費する。Bluetoothでつなぐと、この減り方が一気に緩やかになるため、iPhoneを持たない、一時的なシチュエーションで音楽を聴くのであれば、十分な持続時間といえるだろう。試用のタイミングの問題もあり、何日にも渡ってテストできたわけではないが、いくつかのプレイリストを通しで聞いても、全く問題ないレベルといえる。
もちろん、バッテリーの消費は使い方によっても大きく変動する。例えば、ワークアウト機能でGPSや心拍センサーなどを並行して使っていると、そのぶん減りも速くなる。その間にメールやSNSなどの通知を受けたりすると、それも消費電力に上乗せされる。上記はあくまでLTEを使ってストリーミングで音楽再生した場合の一例なので、その点は念頭に置いておきたい。
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