「集大成」と「未来」を感じた新iPhone 生活を変える新Apple Watch石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2017年09月14日 18時23分 公開
[石野純也ITmedia]

 Appleの創業者にして前CEOである、故スティーブ・ジョブズ氏の名を冠した「スティーブ・ジョブズ・シアター」。2017年の新たなiPhoneは、このスティーブ・ジョブズ・シアターのこけら落としに合わせる形で開催された。

 2017年は、初代iPhoneが登場してから丸10年を迎えた年。その節目となる年に発表されたのは、「過去10年の集大成」と「次の10年に向けた布石」の2つだった。前者が「iPhone 8/8 Plus」、後者が「iPhone X」である。

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iPhone 発表会は、故スティーブ・ジョブズ氏の肉声から始まり、過去のiPhoneを振り返るなど、10周年にふさわしい内容だった
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iPhone Appleが年内のオープンを目指す新社屋の「Apple Park」。その敷地内に完成した、「スティーブ・ジョブズ・シアター」で発表会は開かれた

10年かけてたどりついたiPhoneの完成形「iPhone 8/8 Plus」

 クック氏が「iPhoneにとって飛躍的な新製品」と紹介したのが、iPhone 8とiPhone 8 Plusだ。ディスプレイサイズは4.7型、5.5型と、iPhone 6/6 Plus以降の枠組みを継承しながら、背面にもガラスを使い、デザインには変化を持たせている。ガラスを用いることで、ワイヤレス充電に対応できたのも、iPhone 8/8 Plusの大きな特徴の1つだ。ワイヤレス充電はQi方式に準拠しているため、これまで他の機器のために販売されてきたチャージャーも利用できる。

iPhone iPhone 8
iPhone iPhone 8 Plus
iPhone Qiに準拠したワイヤレス充電に対応する
iPhone 背面にガラスを採用し、デザインを洗練させた
iPhone 飛躍的な新製品だと語る、ティム・クック氏

 スマートフォンの頭脳ともいえるプロセッサも一新した。iPhone 8/8 Plusに搭載されたのは、「A11 Bionic」。CPU部分は6コアの構成で、高パフォーマンスの2コアと、省電力のコア4つからなる。これによって、1世代前の「A10 Fusion」よりも「25%高速化されている」(フィル・シラー上級副社長)。省電力の4コアは、さらにパフォーマンスが上がっており、A10 Fusionよりも70%速度が上がっているという。

 CPUだけでなく、GPUも自社で設計したものを採用。ISP(イメージ・シグナル・プロセッサ)も刷新されており、ハードウェア側でノイズリダクションを強化するなど、カメラの機能も強化されている。さらに、AIへの対応も強化。「A11 Bionic neural engine」を搭載し、画像認識や音声認識の処理を高速に行えるようになった。このメリットがユーザーに見える形として提示されるのが、iPhone 8 Plusに搭載された、“β”のないポートレートモードである。

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iPhone プロセッサに「A11 Bionic」を採用。機械学習をローカルで行う際に活躍する、neural engineも搭載した

 デュアルカメラを搭載したiPhone 8 Plusは、人物撮影の際に、人物と背景を見分け、背景にボカしをかけることが可能。これに加えて、4種類の照明効果(ポートレートライティング)をかけ、人物の輪郭をよりクッキリさせたり、背景を消してモノクロの陰影がはっきりした写真を撮ったりできる。この人物だけを抽出する処理に、AIが用いられている。もちろん、カメラ自体もフィルターが変わったことで、より色鮮やかになり、低照度時のノイズも減る格好になった。

iPhone 背景をきれいにボカせるだけでなく、人物に照明効果も加えられる

 もちろん、クック氏が「過去10年で、これらのイノベーションを築いてきた」と語り、プレゼンテーションで挙げていたマルチタッチ、App Store、Retinaディスプレイ、iMessage、Facetime、Touch ID、Apple Payなどは全て継承。LTEの速度も下り最大800Mbpsに向上するなど、過去10年の集大成的なモデルに仕上がっている。

 一方で、デザインはガラスの採用によって変わったとはいえ、前面から見た際の印象は大きく変わらない。iOS 11が採用されることで、操作性には違いがあるものの、iPhone 8/8 Plusは、あくまでこれまでのiPhoneと地続きの存在だ。成熟しつつあるスマートフォン業界に新たな風を吹き込む端末というより、これまでのiPhoneユーザーが満足して使える、王道の戦略に基づいてできた端末ともいえるだろう。

 ただ、モバイル業界全体を見渡すと、次の10年に向けた取り組みも徐々に明確になりつつある。縦に表示領域を広げ、ベゼルレスを志向する方向はその1つ。特に2017年はSamsung ElectronicsやLGエレクトロニクスに加え、ミッドレンジモデルを手掛ける他のメーカーも続々とこうしたディスプレイを採用し始めている。

 スマートフォンの主役は、そこに表示されるアプリやコンテンツであると考えると、この方向性は間違っていない。中身こそ最新のiPhone 8/8 Plusだが、集大成であるがゆえに、形として、次の10年に向けた回答が示しきれていないも事実だ。

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