「集大成」と「未来」を感じた新iPhone 生活を変える新Apple Watch:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2017年09月14日 18時23分 公開
[石野純也,ITmedia]

スマートフォンの「未来」を示したiPhone X

 集大成であるがゆえに、初代iPhoneから続く枠組みが残るiPhone 8/8 Plusに対し、「スマートフォンの将来といえる」存在だとクック氏が語るのが、iPhone Xだ。iPhone Xについて、クック氏は「これからの10年を反映する、新たな製品」とも語っており、iPhoneが今後、どのような進化をたどっていくのかを示す意味合いもある。

 iPhone Xでシラー氏から真っ先に紹介されたのが、有機ELを採用した「スーパーRetinaディスプレイ」だ。一目見れば分かるように、iPhone Xは、上下左右ギリギリまでディスプレイが広がっており、“ほぼ全てが画面”といえる状態だ。

iPhone ほぼ全体がディスプレイになったiPhone X

 従来のiPhoneと比べ、ディスプレイは縦長になり、アスペクト比が18:9よりやや縦長になった。iPhone 8/8 Plusにはない、HDRディスプレイもサポート。映像をより臨場感のある形で楽しめるようになったと同時に、横幅が大きく増したわけではないため、手にもしっかりとフィットする。縦に情報が流れるTwitterやFacebook、Instagramなどのサービスとも相性がよさそうだ。

 ディスプレイの変化に伴い、操作の作法も変わった。10年間搭載され続け、iPhoneの象徴でもあったホームボタンが取り除かれているからだ。これまでのiPhoneはどのアプリを開いている状態でも、ホームボタンを押すだけでホーム画面に戻ることができたが、物理的なホームボタンのないiPhone Xではそれができない。代わりに、画面を下からフリックすることで、ホーム画面に一発で戻れるような仕組みを導入した。

 ホームボタンのダブルクリックで呼び出していたマルチタスクの画面は、フリックを途中で止めることで現れるようになっている。また、下からのフリックは、これまでのiPhoneだと、コントロールセンターに割り当てられていたため、これも画面右上から引き出す形になった。

iPhone ホームボタンがなくなり、操作はゼスチャーで行うようになった

 Androidで18:9のディスプレイを採用する端末の場合、画面下にナビゲーションキーを配置しなければいけない関係で、表示領域が狭くなってしまう。ナビゲーションキーを隠せる実装をするメーカーもあるが、逆に操作時に、もう一度ナビゲーションキーを表示させなければならないため、ひと手間余分にかかってしまう。シンプルなジェスチャーでこうしたトレードオフを解決できたのは、ハードウェアとソフトウェアを共に自社で開発しているからAppleだからこそだ。この点では、未来のスマートフォンを志向しつつも、伝統である強みを生かしている印象だ。

 ディスプレイだけでなく、「将来のスマートフォンのロック解除方法」(シラー氏)を提案してきたのも、iPhone Xで注目すべきポイントだ。ホームボタンがなくなった結果、iPhone Xでは、指紋センサーが搭載されていない。代わりに採用されたのが、顔認証の「Face ID」だ。

iPhone Touch IDに変わり、Face IDが採用された

 顔認証というと精度面での課題があるように思われるかもしれないが、iPhone XのFace IDは、既存の機能とは一味違う。その理由は、前面に搭載されたセンサーにある。インカメラの周辺には、赤外線カメラ、近接センサー、ドットプロジェクター、フラッドイルミネーターを配置。顔を3万のドットに分解して、立体的に構造を把握することで、精度を上げることに成功した。解析には、先に挙げたA11 Bionic neural engineが用いられており、認証の速度も速い。指紋センサーのように端末を机などの上に置いたままロックを解除するということはできないが、逆に操作を開始しようと思ったら、ほぼ何もせずに認証が終わっているというのは大きなメリットだ。

iPhone
iPhone カメラやセンサーを駆使して顔を3万のドットに分解。精度を大きく上げることに成功した

 このセンサーの特徴を生かし、インカメラでのポートレートモードやポートレートライティングにも対応。さらに、サービスともつなげ、顔の動きに合わせてキャラクターが動く「Animoji」の利用も可能になった。

iPhone 顔の動きをトラッキングして絵文字が動く「Animoji」。実は筆者も、このサルと同じ表情をしている
iPhone インカメラでも、ポートレートライティングを利用できる

 縦長で、ほぼ全体が表示領域のディスプレイは他社も搭載しているが、その先の利用シーンまできっちり描いて機能を実装してきたのは、さすがのiPhone。ここ最近のiPhoneは、技術的にこなれたものを選び、母集団の大きさを生かしてそれを広げる傾向にあったが、iPhone Xはトレンドにいち早くキャッチアップしつつ、さらにApple流の味つけまでして見せた格好だ。10周年の今、送り出すのにふさわしい端末といえるだろう。

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