―― 料金といえば、「iPhone 6s」が「docomo with」の対象になった(参考記事)。売れ行きはどうか。
吉澤社長 9月から対象機種に加えたが、数としてはかなり順調に来ている。
docomo withは9月初旬に300万契約を突破した。iPhone 6sの追加によって他機種(Androidスマートフォン)が売れなくなってiPhoneに寄ったということはなく、他機種に加えてiPhone 6sも売れているという感じで、投入して良かったと思っている。
フィーチャーフォン(iモードケータイなど)からの機種変更はもちろんだが、新規契約も出てきている。
―― 菅義偉官房長官が「『2年縛り』は日本にしかない制度」という趣旨の発言をしている。風当たりが強い中、2年縛りプランを継続しているが、今後、高価格機種向けに分離プランを導入する予定はないのか。
(筆者注:「2年縛り」は2年間の定期契約のこと。携帯電話の定期契約自体は海外でも導入されているが、その多くは期間が1年設定で自動更新はない)
吉澤社長 2年間の継続を前提とする契約は、(最大で2年間適用される)端末購入補助と合わせて、よりお求めやすい価格や料金を実現するために用意している。
(定期契約を巡っては)いろいろな話があることは承知している。ドコモでは、最初の2年間の契約後に料金はそのままでいつでも解約できる「フリーコース」も用意している。この点については、より宣伝していかないといけないと思う。
とはいえ、(定期契約に関する)声があることは認識しているので、いろいろと検討していきたい。ただ「すぐに(定期契約制度を)やめる」といった具体的に決まっていることはない。
―― 他社が分離プランを主体にしたのは、菅官房長官の発言を含む政府の(料金の値下げに関する)要望を受けたものだと思う。一方、御社にはdocomo withがあるものの、ハイエンド端末は対象外となっている。
今後、この点について見直しをする可能性はあるのか。
吉澤社長 そこは状況をよく見ながら考えないといけない。
私たちとしては、値段の高いフラグシップ端末について、正価(本来の価格)で購入していただくのはハードルが高いと考えている。それを低くしてほしいという要望も少なからずあることも認識しているので、しばらくは(月々サポートを主体に据えて)様子を見たい。
分離プランを(高価な端末でも)やるとなった場合に、4年(48カ月間)の割賦を組んで、2年後に(下取り前提で)半額にするというやり方では、結局は「4年縛り」と言われてしまう。やるならやるで、もっと別のやり方を検討する必要があると思う。
お客さまの要望も踏まえつつ、検討は継続したい。
―― 総務省がおととい(9月19日)、2017年度における「電気通信サービスに係る内外価格差調査」を公表した。この調査結果を見ると、日本の携帯電話料金がグローバル(海外)と比べて一部において高価であるとも言えなくもない。この点についての受け止めを聞きたい。
また(自民党総裁選挙の結果を受けて)菅官房長官の続投が報じられ、今後も「4割値下げ」を軸に携帯電話料金に関する議論も続くと思われる。今後どのように対応していくのか聞かせてほしい。
吉澤社長 お客さまからは、料金に関する要望を常日頃から受けている。
料金には「納得感」が必要だと思っている。そこには単に「高い」「安い」だけではなく、ネットワークの強化、エリアの構築、ショップでの応対といったさまざまな要素が含まれる。
総務省がおととい内外価格差調査を公表したが、価格自体の条件が国によって異なることを踏まえないといけない。資料の注釈にもあるが、例えば私たちのdocomo withや「ずっとドコモ割」といった割引は加味されていない。そういったことを踏まえて比較した場合に、私としては日本、あるいはドコモの携帯電話料金が著しく高いとは思っていない。
ただ、料金に対する納得感についてのPRが足りていないことは事実で、そういった所はしっかりと強化していかないといけない。
料金相談に応じる取り組みもショップの窓口などでやっているが、そのような取り組みを通してお客さまに「一番合っているプラン」を示して、納得した上で使っていただくことが必要だと考えている。
ともあれ、料金については常に、継続して、お客さまの要望を聞きながら検討していきたい。
―― 2019年には消費増税が行われる見通しだが、それに合わせた料金施策は考えているか。
吉澤社長 増税とからめて、そこをターゲットとして料金プランについて検討しているということはない。
ただ、税率変更に伴い、料金の見せ方については考える必要があるとは考えている。
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