インタビュー
» 2018年12月21日 12時51分 公開

キャリア参入まで1年を切った楽天 MVNO「楽天モバイル」の現状は? 大尾嘉氏に聞くMVNOに聞く(2/3 ページ)

[石野純也,ITmedia]

自宅での本人確認が可能に

―― 他には、どのようなサービスを始めたのでしょうか。改めてご説明いただけますか。

大尾嘉氏 楽天カードと同じやり方で、新規契約時に自宅で本人確認できるようにしました。楽天会員だと、「この端末にします」「このプランにします」「オプションはこれを付けます」といったことを決めるだけで、自分の情報がババっと入力されるようになっていますが、その申し込みの手間をさらに減らしましょうということで、ご自宅に配達員が来たときに書類を見せるだけで本人確認が終了するようにしました。これは、何割というレベルで利用されていて、僕たちもビックリするぐらいです。

 また、「楽天モバイル」アプリの中で、メッセージングができるようになりました。海外では成功していることで、かなり前から導入を検討していましたが、これを入れた結果、電話やメールでの問い合わせが著しく減りました。昨年(2017年)12月にビジネスの概況をご説明しましたが、それからこれだけの契約者数が増えているのにもかかわらず、カスタマーサービスのコストはほぼ変わっていません。問い合わせ自体は増えていますが、FAQやメッセンジャーなど、お客さまごとに最適なチャネルを用意したり、自己解決できる手段を入れたりすることで、大幅な改善ができました。

 コールセンターでも店舗でも、コストとして掛かったものはお客さまに提供するコストに反映されてしまいます。1つ1つのオペレーションコストを徹底的に抑えることをバリューチェーンの中にいるパートナーとやりながら、その結果として安い価格で通信サービスを提供する。それを今までやってきました。お客さまの満足度を下げずに、ある程度コストコンシャスにやっています。

―― メッセンジャーは、人が応対しているのでしょうか。

大尾嘉氏 人ですね。それとは別にチャットbotもやっていて、新規加入される方にはそちらを提供しています。メッセンジャーも、始まった瞬間に何割というレベルで利用されるようになりました。提携した会社のグローバルでの利用率の記録を塗り替えているぐらいです。これは、楽天モバイルを使っている方が、もともとITリテラシーが高いということも関係していると思います。

店舗は400にまで拡大

―― 店舗に関してはいかがですか。

大尾嘉氏 最近の話題でいうと、蔦屋書店のフランチャイズをやっているトップカルチャーさんと連携しています。前からやってはいたのですが、もうちょっと出しましょうということで、年内に20店舗まで拡大する予定です。来年(2019年)も、もっと出していきます。

―― それは専用店舗ですか。

大尾嘉氏 直営店という形になります。ただし、規模としては小さく、あくまで間借りしてそこに出店しているイメージです。

―― こうやって増やしたショップは、MNOでも活用するということですよね。

大尾嘉氏 はい。(オペレーションに関しても)問題はないと思っています。よくネットワークが増えてしまって、そこまで扱えるのかといわれますが、現段階でもドコモとauの両方を扱えています。FREETELの買収もありましたし、新しいネットワークやサービスが加わったときの変化にはきちんと順応できるようになっています。

 今まで楽天モバイルで培ってきたものを利用し、来年10月にはMNOのローンチを迎えますが、こうしたやり方は今までの新規参入ではなかったことです。新規参入に関してもよく「ネットワークは大丈夫ですか?」と聞かれますが、「マーケティングは大丈夫ですか?」とは誰も言わないので、そこはよかったな、と(笑)。

 ただ、お店の数はまだまだ少ない。今の倍に増やしたとしても、他者の何分の1といった数で、今の規模よりも大きく増やしていかなければなりません。今は量販店まで足して400で、ドコモさんだと専門店だけで3000という規模ですし、Y!mobileの1000店舗と比べても、現段階で10分の1ですからね。

―― 店舗を増やしたことは、当然、楽天モバイルの規模拡大にもつながっていると考えてよろしいでしょうか。

大尾嘉氏 はい。獲得は増えています。また、NPS(ネットプロモータースコア=顧客推奨度)を独自で調査していますが、これは3キャリアやサブブランドと比べても圧倒的に高くなっています。使っていただいているお客さまには、本当に満足いただいているということです。プライスがシンプルで、変な縛りもない。そもそも安い上に楽天のサービスも(お得に)使えるということが評価につながっています。

 ただ、それはそれでうれしいのですが、来年の課題はマーケティングの強化です。もっともっと認知してもらえるよう、取り組みは続けていきます。

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