インタビュー
» 2018年12月21日 12時51分 公開

キャリア参入まで1年を切った楽天 MVNO「楽天モバイル」の現状は? 大尾嘉氏に聞くMVNOに聞く(3/3 ページ)

[石野純也,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

PayPay祭りの影響で“SIMのみ契約”が増加

―― 楽天モバイルといえば、端末のバリエーションの多さでも有名ですが、最近の動向はいかがですか。

楽天モバイル シャープ、Huawei、OPPOなどの最新機種も積極的に取り扱う

大尾嘉氏 既存のお客さまの機種変更需要が本当に大きくなっています。1日に入ってくる注文の何割かが既存のお客さまの機種変更で、需要予測はしていますが、(売り上げを)締めてみると、「何でこんなに大きいの?」ということがあります。多めに端末を調達しないと、間に合わないこともあります。

―― OPPOの「Find X」やHuaweiの「Mate 20 Pro」など、高額なハイエンドモデルも増えていますが、これはいかがですか。

大尾嘉氏 機種変更では、よりスペックの高い端末にバージョンアップされることが多いですね。もちろん価格帯にもよりますし、やはり安い端末がボリュームゾーンなのは変わっていません。ただ、11月、12月は高価格帯の端末でも追加発注したものがありますし、予想よりも売れています。

―― Mate 20 ProはPayPayのキャンペーン効果もあってか、量販店では品切れも続出していました。

大尾嘉氏 実はあれのお陰で、SIMのみ契約が増えました(笑)。前週までと比べて、明らかにSIMのみが増えていたので……。やはり端末は、通信サービスに入るきっかけになりますね。

―― ここまでそろえると、もはやMNOよりバリエーションが豊富なのではと思います。

大尾嘉氏 MVNOは端末が相当少なかったですからね。以前はせっかくプランが安くても、端末が選べないという状況が続いていました。だったら端末を選べるようにすれば人気がでるのではないか、と考えました。他のMVNOがこれをやりたくないのは、需要予測ができず、大量に買ってしまうと在庫が余るリスクがあるからです。逆にいえば、サプライチェーンのプロになればいけるということで、2015年ごろから、ここにすごく力を入れてきました。

 どうやったら最適な在庫を抱えて、需要に合わせて販売できるかを徹底的にやってきた結果、多くの端末を多くの店舗で扱ってもリスクが少なくなるよう、組織としてマネジメントができるようになりました。そして、この部分ではいまだに僕たちが強いと思っています。

「4割安い」といえば楽天モバイル?

―― 通信速度についてはいかがでしょうか。

大尾嘉氏 混み合うことは、本当になくなってきました。理由は、単純に(帯域を増やして)増速したからです。それしか方法はないですからね(笑)。

―― お昼については、制限時の1Mbpsは出ると考えていいのでしょうか。

大尾嘉氏 いや、やはりその時間帯は難しいです。測れば分かってしまうのでいいますが、1Mbpsは下回ってしまいます。

―― 最後に、総務省が分離プランを打ち出していますが、これはMNOだけでなく、MVNOにも影響が出るのではと見ています。影響はどうお考えでしょうか。

大尾嘉氏 今の楽天モバイルは分離プランです。スーパーホーダイも期間に応じて料金を割り引くだけで、端末を買っても買わなくても料金は同じです。そういう意味では、分離しているといえます。

 総務省の緊急提言では、端末を買うことで料金がよくなる(割引を受けられる)仕組みは廃止せよと明確に言われていますが、言葉によってはレベル感があります。もちろんユーザーが第一ですが、総務省(が今後打ち出す予定)のガイドラインを見ながら、やれることはやっていきます。

―― MNOは4割値下げする余地があるといった官房長官の発言もありましたが、MVNOにとっては逆に競争が厳しくなりそうな気もします。こちらについてはいかがでしょうか。

大尾嘉氏 日経新聞に、菅(義偉)官房長官が、楽天モバイルのサイトを見ながら「4割下げる余地がある」と言っていたという記事がありましたが、あれは宣伝になりますね(笑)。「4割安いといえば楽天モバイル」というイメージを持ってもらえるので(笑)。全体的にですが、おっしゃっていることには、そうだなと思うところはあります。ただ、プランの話や、ショップの登録制の話もあるので、細かいところは(総務省の話を)聞きながらやっていきたいと思います。

取材を終えて:シェア1位は納得も、MNOへの移行はどうなる?

 インタビューで語られていたように、楽天モバイルは、もともとマルチキャリアMVNOとして展開する計画があったようだ。MVNOとして加入者管理機能(HSS/HLR)まで持ち、複数の回線を束ねて提供することも視野に入っていたのだろう。ただ、HSS/HLRの機能開放には長い時間がかかる。現時点でも、auやソフトバンクは非対応。ドコモのHSS/HLRも、IIJにしか開放されていない。確かにコストはかかるが、スピード感を考えると、自らがMNOになった方がいい――新規参入の裏には、そのような判断が働いたのかもしれない。

 MNOとしての展開を前提にしていることもあり、店舗網の拡大も早く、MVNOの中では規模が圧倒的に大きい。MVNO市場のくくりで見たとき、楽天モバイルがシェア1位に君臨しているのは納得できる。ただ、MNO開始後に楽天モバイルをどう位置付けていくのかが明確には発表されていない。既存のユーザーの中には、自分の契約している回線がどうなってしまうのか、不安に思う向きもいるだろう。MNOのサービス開始まで1年を切った今、移行に関するもう少し詳細なアナウンスがあってもいいような気がした。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

過去記事カレンダー