店舗を変えるモバイル決済
インタビュー
» 2019年02月08日 12時28分 公開

モバイル決済の裏側を聞く:“PayPay効果”で加盟店申し込みが急増 LINE Payが2018年につかんだ手応え (1/3)

2018年はさまざまな決済サービスが登場して市場が盛りあがったが、「LINE Pay」にも追い風となった。PayPay効果で認知度が大きく上がり、加盟店の申し込みも急増したという。キャンペーンも積極的に打ち、「マイカラー」制度も改良した。

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 振り返って2018年は数多くの「○○ペイ」が登場した年だった。サービスイン前だが発表済み、もしくは参入計画はあるものの未発表というものも含め、2019年にはさらに多くのスマートフォンを使った決済サービスが登場し、その数は年内に20前後近くに達することになる。東京五輪を控えた2020年には、さらに増加が見込まれる。

 2015年にOrigami Payからスタートしたコード決済サービスは、続くLINE Pay楽天ペイと先行3社によって開拓が進み、2019年の段階で大勢が決して淘汰(とうた)の波が到来することが予想される。年間300兆円といわれる日本の最終消費支出に対し、ある調査報告によればApple PayやGoogle Pay、おサイフケータイも含んだモバイル決済の市場規模は1兆円程度だという。つまり、現状なお1%未満の領域ですでに多数の事業者がひしめき合う状況というわけだ。

 一方で、日本政府は2019年10月1日からの消費税増税および軽減税率導入に合わせ、中小小売店舗でのクレジットカードやQRコード決済導入と一般消費者の間でのキャッシュレス利用促進に向けたポイント還元施策の他、クレジットカードやPOSなどの設備投資への補助金制度を実施しており、ベンダー各社の売り込みが続いている。

 このようにさまざまな思惑や施策が入り乱れるなか、現状のプレーヤーはどのように状況を見定め、今後どのように動いていくのか。今回は「○○ペイ」レースでも先頭を走るベンダーの1社であるLINE Pay取締役COOの長福久弘氏にインタビューし、2018年を振り返った所感と、今後の展望について聞いた。

LINE Pay LINE Pay取締役兼COOの長福久弘氏

モバイル決済の認知度が向上した2018年

 LINE Payはコード決済の分野で堅実に地固めを行い、「生活のあらゆる場面でLINE Payが使える環境を作る」という道を推進してきた。Web決済、送金、LINE Payカードを発行してのリアル店舗での決済、公共料金の支払いまで、LINE Payが使える場面は着実に増えている。

 長福氏はかねて「LINE Payでは100万店舗という導入目標を掲げている」と公言していた。実際、この公約は2018年末に達成した。この点について「100万店の次なる目標は?」と問いかけたところ、「具体的な数字目標は設定しません」との返答だった。

 「2018年は目標を掲げて100万カ所、おかげさまで導入をいただきました。次のヤマは加盟店開拓よりも、使っていただくことにフォーカスしたい。100万という数字は『まぁまぁのところで使えるね』という状況です。使える店が増えてきたので、そこでLINE Payを体験していただくことに注力するというわけです」(長福氏)

 実際のところ、これだけ世間で(QRコードなどの)アプリ決済が騒がれているように思えるが、まだいうほどは市民権を得られていないと筆者は考える。使う人は頻繁に使う一方で、そうでない人にはなかなか広く浸透していかないという流れだ。だが、その状況が少しずつ変わり始めたというのが2018年だ。

 2018年初期のころは、加盟店営業を行ってもインバウンドのための担当者が出てきて対応してきた程度だったという。「中国でAlipayやWeChat PayみたいなQRコード決済サービスがはやっているよね」ということで、「話だけでも聞いておくか」という考えだったのだろう。

 それが夏頃になり「キャッシュレス」という文脈でたびたび話題になると、逆に先方から「話を聞きたい」と連絡が来るようになったという。

 そして、PayPayが12月上旬に開始してわずか10日間で終了した「100億円あげちゃうキャンペーン」の効果も見逃せない。連日テレビCMが流れつつ、ニュースでキャンペーンの進行状況や通信障害にまつわるトラブルが報じられ、さらにはクレジットカードの不正利用が後に問題となるなど、いい意味でも悪い意味でも世間に幅広く話題を振りまいた。

 「PayPay効果があったのは確かです。事実、その後にLINE Payの加盟店申し込みが急増しました」(長福氏)と、本来はライバルであるはずのLINE Payにも副次効果が現れているようなのだ。

 こうしてコード決済が認知されたおかげで、現在は審査に時間がかかるレベルで申し込みが殺到しており、「(営業が来たけど)よく分からないから断っておく」という店舗は減ってきたという。

一番成功したのが「Payトクキャンペーン」

 では、ユーザーにはどうアピールしていくのか。長福氏によると、2018年に一番成功した施策が「Payトクキャンペーン」だったという。

 「使えるお店はどこかという認知を広げつつ、それをユーザーに告知し、どうやって使うのかというキャンペーンを、当たり前ですが正攻法でやっています。これは今後も引き続きやっていきたいと思いますし、一般のユーザーに『使える』という認知をしてもらうことが重要だと思います」と長福氏は説明する。

 LINE Payの「Payトクキャンペーン」はほぼ毎月末に開催されており、2018年12月のようにPayPay「100億円キャンペーン」に便乗する形で同キャンペーン終了日の14日に開始されたものもあるが、基本的にはLINE Payが「機能アピールと加盟店のプロモーション」を兼ねて定期的に開催している。

 「今回は○○のジャンルの店舗で決済すると10%(あるいは20%)の還元がありますよ」という形でユーザーに利用可能店舗を紹介しつつ来店動機をもちかけ、LINE Payの利用を促す。2018年には「10円ピンポン」と「ワリカン」という、LINE Payにおいて重要な「送金」機能に関するプロモーションも行った。

 最大還元ポイントが5000円分までと、PayPayの数万円規模の還元と比較すると少々寂しい印象もあるが、「そもそもの予算規模が違うのでしょうがないのですが、われわれは(機能や加盟店の)認知という部分に重きを置いており、長く続けてLINE Payをより活用してもらいたい」(長福氏)という目標がある。

 他に認知向上という点では、イベントへの協賛や加盟店とのコラボレーションを重視していくという。「2018年はいろいろイベントを協賛させていただきましたが、そこで得た経験をもってLINE Payを導入いただいたお客さま(加盟店)と一緒にやっていきたい。今、PayPayさんがファミリーマートの店頭でブースを持ってPRをしていますが、そこまでの段階に来たのかなと。今後もLINE Payを導入いただいたお客さまとコラボレーションのキャンペーンを実施していきたいと思っています」(長福氏)

LINE Pay 協賛イベントの例。これは2018年10月5日〜6日に東京の二子玉川で開催された「Back Yard Fes 2018」の様子。キャッシュレス決済のプロモーションが行われている
LINE Pay 使えるキャッシュレス決済手段はAmazon Pay、LINE Pay、楽天ペイの3種類。楽天のクリムゾンハウス前で開催されたイベントであり、それなりの認知はあったと思われる
LINE Pay LINE Payにチャージするとキャッシュバックというキャンペーンを実施
LINE Pay 現場には設定や現金チャージを手伝うサービスもあり、来場者にLINE Payのアピールを行う
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