“中国のApple”とも称され、世界シェア第4位のXiaomiが、1億800万画素のカメラを搭載した「Mi Note 10」「Mi Note 10 Pro」を引っ提げ、日本に上陸した。Note 10は16日に、Note 10 Proは23日にAmazonで販売を開始する。世界市場でシェアを伸ばすXiaomiだが、なぜこのタイミングで日本に参入したのか。Xiaomiで東アジア地域のゼネラルマネジャーを務めるスティーブン・ワン氏に、その特徴や同社の狙いを直撃した。
Xiaomiは2010年に創業した、スタートアップとも呼べる若い会社だ。当初、中国ではネット販売を中心に急拡大し、価格の安さで話題を集めた。とはいえ、安価なモデルだけではユーザーに飽きられるのも早い。Xiaomiも例外ではなく、一時はシェアが伸び悩んでいた時期もあったが、プレミアムモデルに注力して以降は、その勢いを取り戻している。マーケットを中国国外に拡大したのも、復活の一因だ。ワン氏は「2016年ごろから国際化を行っている。国際化を展開した結果、大きく成長し、各市場で拡大している」と語る。
ただ、国際展開を本格化してから、既に3年ほどが経過している。満を持しての日本進出ともいえるが、筆者の目には、日本市場にあまり興味がなかったようにも見えていた。他の市場とはユーザーのニーズが大きく異なる上に、キャリア市場が中心で、新規参入メーカーの入り込む余地が少なかったからだ。ワン氏も「日本に参入していなかったのは、複雑なマーケットだと思っていたから」と、その理由を明かす。「日本市場に参入するには、リソースも足りなかった」という。
一方で、「戦略はかなり成熟してきた。9年目を迎え、日本に参入するリソースや商品が整いつつあった」。各国で積んだ成功体験をもとに、念入りに計画を練って日本に参入したというわけだ。このタイミングで参入したのは、市場が変化する“節目”を狙っていたことがうかがえる。ワン氏は2020年に日本で5Gが開始されることを挙げ、「4Gから5Gへ移行する過渡期には、1つのチャンスがあると思っている」と語る。
実際、Xiaomiは5G端末の開発にも積極的だ。2019年2月にスペイン・バルセロナで開催された「MWC19 Barcelona」では、価格で他社を大きく下回る「Mi MIX 3 5G」を発表。他社が軒並み10万円以上のフラグシップモデルを投入する中、599ユーロ(約7万3300円)という価格を打ち出し、大きな話題を集めた。12月3日から5日(現地時間)に渡って開催されたQualcommの「Snapdragon Tech Summit」では、共同創業者の1人であるリン・ビン氏が、「Snapdragon 865」を搭載した「Mi 10」の発表を予告。2020年には10機種以上の5Gスマートフォンを投入することを明かした。
日本では、2020年3月に、KDDIとソフトバンクが5Gのサービスを開始する予定。ドコモは春、楽天モバイルは6月に、それぞれ商用サービスを展開する計画だ。4Gから5Gへとインフラが移行するには、端末側が5Gに対応している必要があり、買い替え需要が高まることも期待される。端末に求められる機能や価格のトレンドも変化する可能性があり、新規参入のメーカーにとっては、絶好のチャンスといえる。Xiaomiはこのタイミングを見極め、日本市場に参入したというわけだ。
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