世界を変える5G

28GHz帯5G電波の透過や反射を制御 ドコモが実証実験に成功

» 2020年01月20日 16時30分 公開

 NTTドコモは、1月17日に高い透明性を維持しながら電波の反射・透過を制御する「透明動的メタサーフェス」のプロトタイプを開発と、ドコモR&Dセンターで実施した28GHz帯電波の透過・反射を動的に制御する実証実験成功を発表した。

NTTドコモが開発した透明動的メタサーフェスのプロトタイプ 透明動的メタサーフェスのプロトタイプ

 5G以降の世代で利用される高い周波数帯は直進性が高いため、ドコモは反射波の方向やビーム形状を任意に設計できるメタマテリアル反射板を検討してきた。しかしメタマテリアル反射板はエリア拡大に有効である一方、設置場所に合わせた設計が必要で、反射板の裏には電波が届かなくなる、景観に影響を与えるなどの課題をクリアする必要があった。

 本実験ではドコモが「透明動的メタサーフェス」の原理を設計し、AGCが材料や微細加工技術を検討。小さな構造体を規則的に多数配置したメタサーフェス基板を透明化したものに透明なガラス基板を重ね、そのガラス基板を微小に可動させて入射電波を透過させるモード、電波の一部を透過させて一部を反射させるモード、全ての電波を反射させるモードを動的に制御できる。

 これまでの半導体を用いた手法と比べ「透明性を維持したまま動的制御が可能」「基板の大面積化が容易」であり、景観や既存のデザインを損なわずに設置できる可能性が高まる。設置場所の環境に合わせて動的に電波伝搬を制御し、基地局の設置が困難な建物が密集したオフィス街、電波の透過・反射を制御する需要がある屋内環境などで、よりきめ細やかな5Gエリアの構築が可能になるとしている。

 実験内では「透明動的メタサーフェス」を、透過するモードと反射するモードの2パターンで入射電波の透過特性を測定。28GHz帯で、透過モードでは電波が減衰せずに基板を透過し、反射モードでは電波が減衰せずに反射するのを確認した。

 実験で使用した透明動的メタサーフェスは、1月23日〜1月24日に東京ビッグサイトで開催される「DOCOMO Open House 2020」に出展する。

NTTドコモが実施した透明動的メタサーフェスを用いた原理実験の内容 透明動的メタサーフェスを用いた原理実験の内容

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月26日 更新
  1. 「駅のQRコードが読み取れない」――ネットに落胆の声 なぜ“デジタル時刻表”が裏目に? (2025年12月25日)
  2. mineo料金プラン改定の真相 最安狙わず「データ増量+低速使い放題」で“ちょうどいい”を追求 (2025年12月25日)
  3. 3COINSで1万1000円の「プロジェクター」を試す 自動台形補正、HDMI入力、Android OS搭載で満足度は高め (2025年12月24日)
  4. 若いiPhoneユーザーの間で「クリアケース」に人気が集まっている理由 すべては“推し”のために (2025年12月25日)
  5. 時刻表が“QRコード”だけになった──SNSで「不便」「むしろ不要」と賛否 横浜市営地下鉄は元に戻すのか? (2025年11月21日)
  6. 関東地方で5G通信が速いキャリアは? ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルでICT総研が比較(2025年12月) (2025年12月24日)
  7. iPhone 17 Proで話題になった「8倍光学品質ズーム」って何? そのメカニズムを解説 (2025年12月25日)
  8. iPhoneのロック画面で「カメラが起動しちゃった」を防げるようになった! その設定方法は? (2025年12月24日)
  9. Apple CarPlayもPlayストアも使える車載ディスプレイ「オットキャスト OttoScreen AI」が30%オフの3万5080円に (2025年12月24日)
  10. 「威嚇するような態度をとられた」──“撮り鉄”の迷惑行為に苦言続々 JR東日本も警鐘 (2025年12月24日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー