―― そうなると、御社もハイエンドモデルを出しづらくなってしまわないでしょうか。特にrazrを期待しているユーザーは多いと思います。
アダモポウロス氏 もちろん持ってくることはできますし、いろいろな話はしてきました。このような製品に対する関心が高いことも承知しています。ただ、日本のオペレーター(キャリア)は変遷の過渡期にあり、まだどういうふうに落ち着くのかが分かりません。razrに関しては、マーケットはあると思いますが、どういうふうにやっていくのかを考えているところです。ただ1ついえるのは、(やるとしても)今出ている、“このrazr”ではないということです。
―― なるほど。あるとしたら、次以降のrazrになるということですね。ちなみに、以前のインタビューで、FeliCa対応は1万円ほどのコスト増になるため、難しいというお話がありました。このスタンスに変わりはないでしょうか。
アダモポウロス氏 日本のマーケットでは、FeliCaに対するニーズがあることは理解しています。それに対し、どの価格帯で(対応するのか)ということになります。他社は3万5000円程度の製品で対応していますが、そのような機能を付けたから製品が売れるかというと、必ずしもそうではありません。これについては、まだ検討中です。
―― 3月には、5Gの商用サービスがスタートします。今後は5G対応モデルも投入する予定はありますか。
アダモポウロス氏 もちろん5Gスマートフォンは日本市場に投入しますが、それがどの端末かというのは、この段階ではお話できません。
moto gシリーズは、グローバルで見ても、モトローラにとっての主力といえる製品だ。日本でも、徐々にその販売台数を拡大していることが分かる。アダモポウロス氏は、理由に電気通信事業法の改正や、MVNOの拡大を挙げていたが、SIMフリー市場では、勢力図に変化の兆しも見える。
シェアトップのHuaweiは米国の制裁を受け、Googleのサービスを搭載した新モデルを投入できない状況が続いており、続くASUSも、本社の戦略転換でミドルレンジ以下のラインアップを大幅に縮小している。シェアの逆転が起っても、不思議ではない状況といえる。このような環境で、モトローラがどこまで販売を伸ばせるのかには、注目しておきたい。
一方で、ハイエンドモデルの販売については、モトローラ自身も厳しい環境に置かれている。残念ながら、米国などで発売されたフォルダブルスマートフォンのrazrも、すぐに日本に投入されることはないようだ。razrはeSIMを採用するなど、技術的にもとがっていたため、取り扱えるキャリアが限られていた可能性もある。ただし、アダモポウロス氏は、razrの投入には前向きな姿勢を示していた。これは、後継機の発売を示唆しているものとみられる。後継機が日本で発売されることを期待したい。
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