「最低限の“ギガ”を最小限のお金で」 IIJmio「eSIM」正式プランの狙いと課題MVNOに聞く(3/3 ページ)

» 2020年04月07日 11時25分 公開
[石野純也ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

β版はもう少し伸びてほしかった

―― β版は1.4万契約というお話でした。そこそこ大きな数字だと思いますが、どう見られていますか。

IIJmio β版は1.4万契約に上る

矢吹氏 僕らとしては、もうちょっといてほしかったと思っています。やはり、当初の評判が……(苦笑)。最初の2カ月ぐらい、バーッと契約して、バーッと離れていくというのがありました。

亀井氏 ただし、それ以降はユーザーが定着しています。

矢吹氏 われわれのユーザーの平均を見ると、データ使用量は2GBを少し超えるぐらいです。6GBのプランを契約している方も4GB強といったところです。そういったデータを眺めていると、キャリアを使っていて、さらに7GBを超えている人はどれだけいるのかと考えてしまいます。計算していくと、1GBや2GBを使う方がほとんどという見通しです(それゆえに、6GBのβ版はユーザー数が想定より少なかった)。

プロファイルの再発行を無料にした理由

―― ビックカメラでの販売も始まりました。iPhoneを売っている店舗もあるので、相乗効果が期待できるのではないでしょうか。

IIJmio ビックカメラ、ソフマップ、コジマ店頭で購入できるeSIMパッケージも用意

矢吹氏 期待していますし、そこでの声は重視したいと考えています。ただ、iPhoneを売っているのはまだ2店舗なんですよね……。

―― なるほど。そこは店舗拡大に期待したいところです。ちなみに、今回はプロファイルの再発行が無料になり、SIMカード発行手数料の200円のみになりました。ここを無料にできた理由を教えてください。

矢吹氏 ずっとキャンペーンをやってきましたが、それをやるのも意外とコストがかかっていました。サポートの部分(を圧縮できるの)が一番大きいかもしれません。

亀井氏 インストールに迷って何度も発行してしまう人がいて、うまく行かないから調整するという話がありました。そういったハードルを取り除こうとした結果です。

 ベンダーへの支払いはありますが、物理SIMでできていたことが、何でeSIMだとできないんだということもあり、お客さまにも伝わりません。そこを一生懸命伝えても、eSIMの訴求にもなりません。ほとんどの皆さんは、買い替え時期の1回ですから、再発行は2年に1回ぐらいになります。キャンペーンを毎回更新し続ける労力を考えると、こちらの方がよかったと思います。

―― 同じプロファイルを、そのまま移すのは難しいのでしょうか。

亀井氏 今は、プロファイルを元の端末から取り出す仕組みがありません。いったん使えなくしてから、新しいプロファイルを発行した方が、設計上は楽になります。

矢吹氏 昨年(2019年)12月にGSMAが出した仕様だと、データベースにひも付いたプロファイルをいったん無効にして、新しく発行したものとひも付けるといった話が出ています。IoT機器にバラまこうとしたとき、これがないと大変になりますからね……。

MVNEとしてeSIMを提供する可能性も

―― 目標契約者を教えてください。

矢吹氏 今はとにかくお客さまの声を聞きたいところで、サービス側とマーケティング側で言う数字もバラバラです(笑)。固い数字を出すところもあれば、大きい数字を出すところもある。その中で、まずは出していこうというところです。とはいえ、個人的には年間10万ぐらいはいかないと出している意味がないし、市場の大きさを考えてももう少し大きな数字を取れると思います。一方で、分かりにくさはまだまだあるので、市場に受け入れられるかはこれからですね。

―― MVNOとしてのサービスを始めましたが、MVNEとしてeSIMをMVNOに提供していく可能性はあるのでしょうか。

矢吹氏 MVNO数社からは、ぜひと言われています。eSIMの卸はシンプルですが、今は彼らがどういったサービスを作っていくのかを議論しているところです。同じものを作るという話もなくないですが、それだと面白くない。採算性も、プラスチックのSIMカードを売っていた方がよくなりますからね。

取材を終えて:eSIMの訴求を強化すべき

 β版のプランは月額契約が前提で、しかもデータ容量が6GBに限定されていたため、利用できるユーザーは限られていた。150円からと安価に抑え、2回線目にターゲットを明確に絞ったことで、契約者数が増える可能性はありそうだ。一方で、eSIMに対応したiPhoneを持っているユーザーでも、まだまだそれに気づいている人は少ない。データプラン ゼロの投入を機に、eSIMの訴求はさらに強化していく必要がありそうだ。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
  1. 楽天モバイルのスマホが乗っ取られる事案 同社が回線停止や楽天ID/パスワード変更などを呼びかけ (2024年04月23日)
  2. シャープ、5月8日にスマートフォンAQUOSの新製品を発表 (2024年04月24日)
  3. スマホを携帯キャリアで買うのは損? 本体のみをお得に買う方法を解説 (2024年04月24日)
  4. Vポイントの疑問に回答 Tポイントが使えなくなる? ID連携をしないとどうなる? (2024年04月23日)
  5. 貼り付ければOK、配線不要の小型ドライブレコーダー発売 スマート感知センサーで自動録画 (2024年04月25日)
  6. 通信品質で楽天モバイルの評価が急上昇 Opensignalのネットワーク体感調査で最多タイの1位 (2024年04月25日)
  7. 中古スマホが突然使えなくなる事象を解消できる? 総務省が「ネットワーク利用制限」を原則禁止する方向で調整 (2024年04月25日)
  8. ドコモ、「Xperia 10 V」を5万8850円に値下げ 「iPhone 15(128GB)」の4.4万円割引が復活 (2024年04月25日)
  9. 「iPhone 15」シリーズの価格まとめ【2024年4月最新版】 ソフトバンクのiPhone 15(128GB)が“実質12円”、一括は楽天モバイルが最安 (2024年04月05日)
  10. スマートグラス「Rokid Max 2」発表 補正レンズなくても視度調節可能 タッチ操作のリモコン「Rokid Station 2」も (2024年04月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年