5Gが創出する新ビジネス

5Gの技術を整理する 当初はなぜ高速大容量通信しか使えないのか?5Gビジネスの神髄に迫る(3/3 ページ)

» 2020年04月24日 11時16分 公開
[佐野正弘ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

5Gは当初なぜ、高速大容量通信しか使えないのか

 ここまで5Gに関するさまざまな技術について説明してきたが、実は5Gの商用サービス開始当初は高速大容量通信しか利用できず、超低遅延や多数同時接続などの実現にはしばらく時間がかかってしまうことは覚えておくべきだろう。

 その理由はネットワークの運用方法にある。5G導入当初は、4Gのネットワーク上に5Gの無線機器を導入する「ノンスタンドアロン(NSA)」での運用となるため、4Gの性能に引きずられてしまうことから高速大容量通信以外は実現できないのだ。

 それゆえ5Gの性能をフルに生かすには、無線機器からコアネットワークまで、全ての機器を5G仕様で構成する「スタンドアロン(SA)」での運用に移行する必要がある。その移行には5Gのサービス開始から2、3年はかかるといわれているが、なぜ最初からSAでの運用でサービスを開始しないのか? と疑問を抱く人も多いだろう。

5G キャリア各社の5Gは、当初NSAで運用となるため高速大容量通信しか実現できない。KDDIは2021年の半ば頃からSAへの移行を進めるとしている

 その理由は、キャリアの負担を減らして5Gの導入をスムーズにするためだ。通信規格を新しい世代へと一気に移行させるには、機器を一度に入れ替える必要があるため、多くの時間とコストがかかってしまうことから、携帯電話会社が二の足を踏んで移行が進まないことにもなりかねない。そこで、4Gの頃から携帯電話会社の負担軽減のため、段階を踏んで新しい通信方式へと移行する仕組みが整えられるようになったのだ。

 実際3Gから4Gへ移行する際には、まず4Gの一歩手前の通信方式となる「LTE」方式を導入して3Gの通信方式と併用しつつ、LTEから正式な4Gの通信方式「LTE-Advanced」へと移行し、徐々に比重をそちらに移していった。それゆえ5Gでも最初からフルスペックの5Gが導入されるわけではなく、NSAからSA、さらにその先へと、約10年をかけて徐々に進化していくものだということは知っておいてほしい。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月05日 更新
  1. 飲食店でのスマホ注文に物議、LINEの連携必須に批判も 「客のリソースにただ乗りしないでほしい」 (2025年12月04日)
  2. 「楽天ポイント」と「楽天キャッシュ」は何が違う? 使い分けのポイントを解説 (2025年12月03日)
  3. NHK受信料の“督促強化”に不満や疑問の声 「訪問時のマナーは担当者に指導」と広報 (2025年12月05日)
  4. 「スマホ新法」施行前にKDDIが“重要案内” 「Webブラウザ」と「検索」選択の具体手順を公開 (2025年12月04日)
  5. 三つ折りスマホ「Galaxy Z TriFold」の実機を触ってみた 開けば10型タブレット、価格は約38万円 (2025年12月04日)
  6. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【12月3日最新版】 1万〜3万ポイント還元のお得な施策あり (2025年12月03日)
  7. 楽天の2年間データ使い放題「バラマキ端末」を入手――楽天モバイル、年内1000万契約達成は確実か (2025年11月30日)
  8. サイゼリヤの“注文アプリ”が賛否を呼ぶ理由──「使いやすい」「紙メニュー前提」など多様な意見 (2025年11月23日)
  9. Z世代で“友人のInstagramアカウント乗っ取り”が流行? いたずらで済まない不正アクセス禁止法違反 保護者が注意すべきこと (2025年12月04日)
  10. 鉛筆デザインのiPad用スタイラスペン「Nelna Pencil」発売 物理ボタンに9機能を設定可能 (2025年12月03日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー