5G NSAは4Gのネットワークを利用しつつ5Gを使うことになるが、それによる課題も発生している。
1つは「5Gピクト問題」。端末上部のピクトエリアには、「3G」や「LTE」「4G」というように、利用中の無線方式が表示される。5Gでも同様に表示されるが、5G NSAの場合、どのような状態で「5G」と表示するかという問題がある。これが適切に表示されない場合、ユーザーに誤解を与えることになる。
5G NSA対応端末は、4Gと5Gの基地局との接続の状態が5パターンある。(1)は5G基地局と協調していない4G基地局のみと接続している状態。5G基地局が関連する接続状態は、以下の4つとなる。
3GPPやGSMAでは、5Gのピクト表示をどのようにするか議論されており、Config.AからConfig.Dまでのパターンが存在する。以下表のState1〜5の数字と、前図のカッコ内の数字は一致している。State6は5G SA専用なので、今回は当てはまらない。
この表では、基地局との接続状態によって表示するピクトが指示されている。これを図に当てはめると以下のようになる。
Config.Dのように、4Gで通信しているのに5Gと表示するのは、やはりおかしいと感じる。Config.Cに関しても、5Gの電波を認識してはいるものの、通信自体は4Gになっているので、そこで5Gと表示するのは違和感がある。納得しやすいのは、「5G通信中に加え、5Gの電波が使えるような状態でアイドル状態の場合も5Gと表示するConfig.B」だろう。Config.Aの場合は、5Gのエリアにいても4Gという表示がされるので、どこで5Gの電波をつかめるか分からないという問題がある。
ちなみに、ドコモのWebサイトには「5G通信の可能性のあるエリア内で、待受時のRAT表示は「5G」となりますが、通信時は「4G」または「LTE」となる可能性があります」という注意書きがあるそうだ。これを図に当てはめると、ドコモの5GスマホはConfig.B相当を実装している可能性が高い。
5Gのピクト表示の仕方には仕様がある。キャリア端末は統一されるはずだが、SIMロックフリー端末の場合は表示実装が各社異なって問題になる可能性があるので、注意が必要だと大内氏は指摘している。
5G NSAで採用されているEN-DC方式は、基本的にキャリアアグリゲーション(CA)と同様で、基地局で対応する4Gと5Gの周波数の組み合わせに端末側が対応している必要がある。周波数に対応していないと、5Gエリア内でも5G通信ができない可能性がある。キャリア端末は自社の周波数組み合わせにしっかり合わせてくるが、SIMロックフリー端末だと要注意だ。
ドコモの4G周波数と5G(n78、n79)で利用可能な組み合わせは非常に多岐にわたる。これらの組み合わせのどれかに対応していないと、ある場所では5G通信ができなくなる可能性があるのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.