2020年の秋から、特に冬商戦で中心になるとみられているのが、5G対応のミドルハイやミッドレンジと呼ばれる、4〜7万円あたりの手ごろな価格で高性能なモデルだ。この流れは夏商戦から始まっており、4万円前後のミッドレンジが人気を集める他、既に一部ミドルハイの5Gや4Gスマホが発売・発表されている。
真っ先に秋の5Gミドルハイを発表したのは、何とGoogle。8月にミドルハイの「Pixel 4a」を4万2900円で発表・発売したが、秋には5G対応版の「Google Pixel 5」と「Google Pixel 4a(5G)」の投入を予告。米国では499ドルから、日本では6万500円からになるなぜ、秋冬商戦で4〜7万円あたりの5Gミドルハイが中心になるのだろうか。近年の日本のキャリア向けスマホは、最新の高価格帯ハイエンドと低価格帯スマホと2極化していたはずだ。その理由を、日本のスマホ市場の変化や5Gに対する各メーカーの動向から見てみよう。
近年のハイエンドスマホの価格は、現在発売中の5Gハイエンドをはじめ一括8万円から10万円前後が主流だ。2019年の夏以前ならこのハイエンドを各種割引により、条件や購入時期によっては実質半額の5万円前後かそれ以下で購入できる手段があった。
だが、現在はどの店でも割引は2万円(税別)まで。2年後にキャリアにスマホを返却して残りの支払いが免除になるプランを利用しても、ハイエンドモデルの支払額が5万円を上回り、気軽には購入しづらい。旧モデルの値下げもまずない。
理由は、総務省によるスマートフォン販売に関する規制にある。特に2019年10月に始まった、スマホを販売する際の割引額を上限2万円までとする規制と、スマホの在庫値引きへの規制は影響が大きい。2020年初頭に各キャリアが5Gの本格開始ともに発売した5Gハイエンドモデルも、気軽な金額では購入できなくなっている。
この規制の影響もあってか、夏モデルは各社とも「Xperia 10 II」や「Galaxy A41」など、4万円前後のミッドレンジを充実させてきた。5月に発売された「iPhone SE(第2世代)」もキャリアによるが5万円前後からの価格設定だ。この価格帯なら一般の利用者も買いやすく、上限2万円の割引を適用すれば2万〜3万円とお手頃感がある。
この流れは当然ながら秋や冬以降にも影響する。今後キャリアは8〜10万円台の人気ハイエンモデルを販売しつつも、4〜7万円のミドルハイやミッドレンジをより充実させる必要が出てきた。
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