Qualcommについては、ミドルハイ向け「Snapdragon 765G」搭載モデルが増えている。冬頃からはミッドレンジ向けに5G対応かつ600番台ながら性能を大幅に向上させたチップ「Snapdragon 690 5G」を搭載したモデルも登場するだろう。シャープの他、LGエレクトロニクスやモトローラ・モビリティなども搭載スマホの開発を表明済みだ。
最大の特徴は、3Dグラフィックの性能の強化だ。従来のSnapdragon 675より60%向上としており、実際にこの性能なら3DグラフィックのゲームやVR・ARアプリもある程度快適に動かせる700番台のチップに限りなく近い性能となる。製造プロセスも8nmと微細化し、CPUコアやAI処理の強化、Wi-Fi 6対応など各機能も進化している。従来の600番台のSnapdragon搭載モデルとは、性能面でかなりの開きが出るだろう。
公開されたスペックによると、Snapdragon 690 5Gは現在4Gのミドルハイ向けに供給されている「Snapdragon 730G」にかなり近い性能と予測される。そこで、Snapdragon 730G を搭載するXiaomiの「Mi Note 10 Lite」と、従来の600番台でベンチマークを比較した。
Mi Note 10 Liteは、日本では現在3万円前後のSIMロックフリーとして販売されている4Gスマホだ。同価格帯のスマホが採用するSnapdragon 665やSnapdragon 630とくらべ、高い処理性能を誇る。
ベンチマークテスト結果を見る限り、実際にSnapdragon 690 5GがSnapdragon 730Gに肉薄する性能であれば、表の通り従来の600番台と比べかなり高い性能を実現することになる。3Dグラフィックを利用した「PUBG Mobile」などのバトルロイヤル系ゲームや、「アイドルマスターシンデレラガールズ」など高画質3DグラフィックのゲームアプリもフルHD解像度である程度快適に動作するだろう。ミッドレンジの性能の底上げがあると、安価である程度高性能なスマホを買いやすくなるだけでなく、5G時代に期待されるスマホ向けコンテンツの発展も期待できる。
Qualcommは、より安価な5Gプロセッサ「Snapdragon 4」シリーズも発表したが、こちらの搭載機が登場するのは2021年からとなる。
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