eSIMについては、MVNOもサービスを提供できるよう、リモートSIMプロビジョニング(RSP)機能を解放するよう総務省が3キャリアに要請している。
MVNOへの開放について、ドコモは「未定」としており、同社スマートフォンのeSIM対応に合わせて提供する意向を示している。MVNOに開放していない理由は、スマートフォンと同様、セキュリティ上の懸念があるため。ソフトバンクも、同じ理由でMVNOへの開放は未定としている。
KDDIは、オンライン契約に特化してeSIMサービスを提供する新会社「KDDI Digital Life」を2020年11月に設立した。他のMVNOに対しても、2021年春以降にRSP機能を提供する予定としている。提供までに時間がかかる理由については「Digital Lifeのサービス開始時期がいつになるかがアナウンスできていない。なるべく同時期に機能提供できるよう準備している」と説明した。
楽天モバイルは、MVNOからの要望に応じてeSIMの機能開放を検討する。その際、MVNO間とのプロファイル情報のやりとりでセキュリティが十分に担保されていることが前提だとしている。
eSIM対応スマートフォンのSIMロックについては、ドコモ、au、ソフトバンクは「物理SIMと同様」とのスタンスで共通しているが、楽天モバイルは「SIMロックをかける必要がない場合は、事業者がSIMロックを自動で解除するなど、ユーザーの利便性に配慮した対応をすべき」とのスタンス。
また、一部の機種で、SIMロックを解除したにもかかわらず、楽天モバイルの通信が利用できないケースがあることから、「国内で一定以上の販売シェアを持つメーカーは、周波数帯やデータ通信、音声通信などを全てのMNOに対応するよう義務付けるべき」と主張した。
eSIMのスマートフォン向けサービスの提供やMVNOへの機能開放でネックとされているのは「セキュリティ」だが、構成員からは「物理SIMでも悪いことを考える人はいる。そんなにリスクの割合が変わらないのでは?」との指摘もあった。
実際、楽天モバイルではセキュリティ上の問題は起きておらず、GSMAの仕様に準拠していれば問題ないはず。サポートの負荷については、eSIMについて理解している人に対しては、むしろコストは減るはずなので、理解度が低い人へのサポートコストとトレードオフになるという考え方もできる。
ドコモはオンライン契約に特化した料金プラン「ahamo」を3月に開始する予定だが、eSIMの提供は未定。ahamoの契約にもeKYCを取り入れており、eSIMとの相性は抜群。対応機種は必要になるが、もはやeSIMを提供しない方が不自然といえるほどだ。ちなみに会合でahamoの話題は出なかった。
eSIMは手軽に契約ができてしまうことから、ドコモとソフトバンクは自社ユーザーの流出を恐れてか、いまだ及び腰になっている印象を受けた。主張の内容も、2019年9月の「モバイル市場における競争環境に関する研究会」からほとんど変わっていない。
3キャリアの中で一歩前進したといえるのがKDDIだ。eSIMを含むオンラインに特化したMVNOを立ち上げたり、RSP機能の具体的な開放時期を明言したりと、eSIMについて前向きな姿勢がみてとれた。楽天モバイルは他社からユーザーを獲得する立場にあるため、eSIMを積極運用するのは当然といえる。
スイッチング円滑化タスクフォースの第3回は12月23日に開催予定となっており、MVNOやユーザー企業へのヒアリングを行う。
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