スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2020:審査員が選ぶ「2020年を代表するスマホ」5機種(2/3 ページ)

» 2020年12月25日 15時26分 公開

村元氏:「TCL 10 5G」には2020年の新人賞をあげたい

・推薦機種……iPhone 12 mini、Xperia 5 II、Galaxy Z Flip 5G、Redmi Note 9S、TCL 10 5G

村元正剛 村元正剛氏

 iPhoneからは「iPhone 12 mini」を選びました。小さいけれども大きいディスプレイを備えていて、チップも「A14 Bionic」も搭載しています。SEが売れるコンパクトのニーズがあったと思うのですが、ここまでコンパクトにして性能が他の12シリーズと遜色ないことは面白い。今まで仕方なくSEを選んでいた人は、miniという選択肢が加わったことがうれしいだろうなと思いました。

 Xperia 5 IIは、縦長のサイズが持ちやすいのですが、実は横向きにしたときにもカメラとして持ちやすいです。また、今回は音が前のモデルよりも良くなっていたり、リフレッシュレートを上げていたり、と良い意味で総合力を高めてきたなという印象を抱きます。ソニーとして、誰も使える良い端末をきっちり作ってきたなと思いました。

 Galaxyは良いモデルがたくさんありましたが、個人的な趣味として「Galaxy Z Flip 5G」を推します。高くて買っていないですけどね(笑)。4Gモデルを出して、1年たたないうちに5Gモデルを出したところは評価したいです。シンプルに、コンパクトだから持ち運びに便利で、ハンズフリーで置いたまま写真を撮れるなど、使い勝手も良い2つ折りという形で、シリーズを続けてほしいなという気持ちを込めて、これを選びました。

 後は、安い方で「Redmi Note 9S」。同じくXiaomiのMi 10 Lite 5Gと悩みましたが、SIMフリーで2万4800円〜2万9800円(税込み)でありつつ、Snapdragonの700番台を搭載していて、結構良いんですよね。今まで安い端末って、CPUが低かったり、USBが古いのだったりとか、SIMが1枚しか挿せないとか、不満点があったのですが、そこをきっちり押さえてきたなと思います。ゲームをしても、動画を撮っても、不思議に全部できてしまう。僕の中ではこれが2020年のコスパ最強モデルで、「コスパと言えばXiaomi」という存在感を示した象徴的なモデルになったのではないでしょうか。

 TCL 10 5Gは、5G対応機種での格安枠です。僕の中ではTCLは2020年の新人賞という扱いで、全然知名度がないなかでも良い端末を出していて、スペックとかデザインを考えるとコスパも高い。側面にスマートキーがあって、TCL自慢の「NXTVISION(ネクストビジョン)」という彩度やコントラストを上げる機能をワンタッチで利用できるんですよ。他メーカーの機種も画質を向上する機能を積んでいるんですけど、設定画面にいかないと切り替えられなかった。これをワンタッチでできるようにしたTCLの考え方が好きだなって、この端末を選びました。

スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2020 5Gスマホとしては3万9800円(税込み)と格安の「TCL 5G」

佐野氏:「Rakuten mini」には新興キャリアならではの面白さがある

・推薦機種……iPhone 12 Pro Max、Pixel 5、Xperia 1 II、iPhone SE(第2世代)、Rakuten Mini

佐野正弘 佐野正弘氏

 2020年は「5G元年」と言われながらも、なんだかんだ5Gはそこまで話題にならなかったというのが正直なところ――。そう考えると、各社が力を入れたのはカメラだろうな、と思いました。しかし、特にGalaxyのハイエンドなどで象徴的だったのが、とにかくカメラの性能はすごいけど、やたらカメラが大きい。ケースを装着しないと使えないような出っ張りになっていて、正直スマートフォンとしての使い勝手はどうなのか、ユーザーにとってどうなのか、と考えさせられました。この方向性は今の技術トレンドとしては難しいんだろうなと思って、Galaxyはバッサリ外しました。

 じゃあ、今の技術トレンドで現実的なスマートフォンカメラの進化ってなんだろうなって思ったときに、カメラそのものよりも「コンピューテーショナルフォトグラフィー」などと呼ばれるソフトウェア技術へのフォーカスが有力と感じています。そうなると、iPhoneやPixelは強いんだろうなということで、それぞれの最上位モデルである「iPhone 12 Pro Max」「Pixel 5」を挙げました。

 ここにXperiaを入れたのは、光学機器が得意な会社なので、マニュアルでこれだけ自分でカスタマイズして撮ったら面白いですよ、っていうある意味現在のスマートフォンカメラトレンドの逆張りで提案してきたのが面白かったからです。

 低価格帯についても、やはりカメラが1つのポイントになってくるなと思っています。中国メーカーのスマートフォンに多いですけれど、カメラの数がとにかく多いものが増えてきました。でも、実際そのカメラを何に使っているのか、と疑問に思える部分はあります。それならカメラはそんなになくていいから安くしてほしいと思う人は多いのではないでしょうか。

 それならばと、別の方向に振ったモデルとして「iPhone SE(第2世代)」を挙げました。ベースの性能が非常に高いですし、日本では画面サイズが小さいことがあまりデメリットになりづらい。サブブランドからも早々に販売されていますし、販路という面でも非常に強かったと思います。

 「Rakuten Mini」は、楽天モバイルで(周波数の無断変更など)いろいろあり、純粋に端末として評価するにはかわいそうなところもありました。これほど小さくて、FeliCaが使える。しかもeSIM対応、とコンセプトがしっかりとしています。こういった新しいモデルはやはり新興キャリアでないと難しくなってきているのかなと感じますし、何より使ってみて面白かった。なかなか普通のスマホとして評価するのは難しいのかもしれませんが、ガジェットとしては非常に面白いと思ったので、あえて入れています。

スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2020 いわく付きの端末になってしまったが、eSIMやFeliCaに対応した超小型端末として注目を集めた「Rakuten Mini」

島氏:AQUOS sense4にミドルクラスの底上げを感じた

・推薦機種……iPhone 12、iPhone 12 mini、Black Shark 3、AQUOS sense4、iPhone SE(第2世代)

島徹 島徹氏

 2020年は、市場環境の変化で低価格モデルの販売が中心になり、新型コロナの影響で生体認証の指紋センサーに注目が集まりました。こうした背景から「ベストなスマホ」とは言いづらいですが、「2020年に購入するベストなスマホ」ということでiPhone SE(第2世代)をまず挙げています。バッテリー持ちが良ければ文句なしなのですが。

 AQUOS sense4も同様の理由です。日本のAndroidに求められる機能を一通りそろえつつ、弱点の夜景撮影もようやく改善されました。5Gこそ対応していませんが、ミドルクラスでは性能の良いSnapdragon 720Gを搭載しています。ミドルクラスでは「日常利用ならOKだろう」という表現をしがちですが、その中でも高いレベルでまとまったお勧めしやすいモデルです。また、シャープが国内販売中心のAQUOS senseシリーズの人気と販売台数の積み重ねにより、海外勢に負けない高コストパフォーマンスのスマホを出せる状況を作り出したことを非常に評価しています。

 ハイエンドのAndroidはどうかというと、ある程度性能が行きついてしまい、プレミアムなのか、ビジネスなのか、ゲーミングなのかで迷いのある機種が多く出た年だと思いました。特にサムスン電子は技術や性能は高く、スマホの次のトレンドを探してもがいているのは分かりますが、製品としてはどの方向を向いているのかビシッと明確な端末が出せなかったと感じています。

 一方で、マニアックですが日本にも通販限定の高コスパなゲーミングスマホが上陸してきました。この分野はeスポーツが話題になる一方、人気ゲームがどのメーカーのスマホを優先的に最適化するかで企業間の綱引きがあり、そこではゲームアプリとゲーミングスマホともに中国企業が強い状況にあります。日本で買えるモデルではXiaomiが出資する「Black Shark 3」が象徴的で、コスパが良くて高性能、人気の高FPSゲームの対応も増えています。また、ペルチェ素子のクーラーなどオプションパーツも充実しています。「ふざけているのか」とも思われそうですが(笑)、2020年を代表するという意味では入れるべき端末だと思います。

スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2020 販路は限られるものの、ゲーミングスマホとして島氏が高く評価する「Black Shark 3」

 ちょっとかわいそうなのが、iPhone 12とiPhone 12 miniですね。5G対応で高性能、近年のiPhoneでは軽量コンパクトでコストパフォーマンスも良好です。また、iOS 14でアプリの標準設定の変更など使い勝手もかなり改善されました。ただ、指紋認証がない。新しいiPad Airのように、指紋認証が復活していたらと思う人は多いでしょう。新型コロナさえなければ文句なくベストなモデルだったはずです。

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