5Gが創出する新ビジネス

汎用PCで5G基地局を構築 docomo Open House 2021で語られた、ローカル5Gの可能性:docomo Open House 2021(2/3 ページ)

» 2021年02月22日 06時00分 公開
[房野麻子,ITmedia]

コストダウン、公衆5Gとの連携を実証

 こうした状況の中で、中尾氏が中心となって行っている取り組みが紹介された。

 まずは「Local 5G-In A Box」というプロジェクト。これは一般のPCでローカル5Gのスタンドアロン(SA)基地局を構成するというもの。コストの低廉化にチャレンジするプロジェクトだ。一般家庭にあるようなPCを使い、汎用(はんよう)CPUの上にソフトウェアの基地局、5Gコア装置を実現することで、一般家庭や大学、オフィスの中でも5Gの利用が進むことを目指している。

docomo Open House 2021 汎用PCを使って5G基地局を構築

 一般のPCを使ってはいるが、通信事業者が使っている5Gのプロトコルを実装しており、無線機器をPCに接続することによって5G通信が可能となっている。2台のPC版ソフトウェア基地局を電波暗室に持ち込み、メディアにも実験を披露した。

docomo Open House 2021 無線機器をPCに接続することによって5G通信が可能となっている

 低廉化とともに、利用者の使い方に合わせたカスタマイズもローカル5Gでは重要になる。大手キャリアはダウンロードを中心に性能を高めているが、ローカル5Gではアップロード方向の通信帯域を広く求められるケースが多く、アップロードの実験も行っている。

docomo Open House 2021 ダウンロード性能を上げた設定では543Mbps、アップロード性能を上げた設定で207Mbpsという帯域が実現された

 キャリアの公衆5Gとローカル5Gを連携させた実証実験も行っている。中尾氏は、これまであまり通信が活用されてこなかった1次産業、特に漁業に着目。人手不足や労働の負担軽減を目指し、養殖業や一般漁業への5G活用に取り組んでいる。

 その一例が、広島県江田島市のカキ養殖場で行われた、海中の高精細映像とドローン制御による養殖漁場の遠隔監視、低遅延通信による遠隔制御に関する実証実験だ。カキの育成状況を人力で確認するのは大きな負担となっている。それを解決する方法として水中ドローンを遠隔操作し、水中ドローンの先端に付けたカメラによって、カキの生育状況をモニタリングする実験を行った。

docomo Open House 2021 カキ養殖の課題を5Gを使って解決する実証実験
docomo Open House 2021 NTTドコモとNECネッツエスアイ、レイヤーズコンサルティングとともにコンソーシアムを結成し、広島県などの協力の下で実証実験

 前出のPCベースのソフトウェア基地局を駆使する一方、ドコモの5G技術も連携させて、「非常に近い周波数帯を使うが、互いに干渉せずに、得意なところ、不得意なところをカバーし合うプロジェクト」になっているという。

docomo Open House 2021 たくさんのカキいかだが浮かぶ江田島の海域の一部を監視エリアとし、陸上から海上に向かって5Gの電波を吹く。ローカル5Gとキャリアの5Gの共存可能性検証は新しい実験項目で、ローカル5Gの周波数は4.7〜4.8GHz、キャリア5Gは4.5〜4.6GHzの周波数を使って行った。互いに連携ができるかが課題だという
docomo Open House 2021 水中ドローンのカメラで撮影した海中の高精細映像を無線伝送。また、水中ドローンの操縦信号を5Gの低遅延通信使って伝送する
docomo Open House 2021 スマホの画面で見る海中の様子。「水中ドローンの操作は当初、スマホで行っていたが、操作しにくいため、最近ではヘッドマウントディスプレイを使用している。“VR酔い”しないために5Gの低遅延通信、カキの高精細な映像を捉えるために大容量通信が必要になる」(中尾氏)
docomo Open House 2021 水中ドローンの遠隔監視以外にも、現地の漁業協同組合と連携し、ドローンによる海上の空撮、水中監視センサーの情報取得なども行っている

 中尾氏は、「ドコモさんとは十分に議論できていないが」と前置きしつつ、キャリアとの5G設備共用についても言及した。5G基地局のどの部分を共有化するかによってコストが変わってくる。全てキャリアの装置を使い、クラウドサービスのようにキャリアから設備を貸し出してもらう「いわゆるクラウド化によって、設備共用による価格破壊を起こしたい」との考えを語った。

docomo Open House 2021 左はコア装置(5GC)を共有化するパターン。キャリアの5Gコア装置を共有化し、ローカル5Gで用意する部分はCU(Centralized Unit:集約ノード)/DU(Distributed Unit:分散ノード)、RU(Radio Unit:アンテナ)になる。中央はCU/DUまでが共有化され、ローカル5G側で用意するのはRUのみ。右は全てキャリアの装置を使って、クラウドのようにキャリアから貸し出してもらう形で、キャリアの5Gを低コストで利用できるようになる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月25日 更新
  1. 「Androidのマイナンバーカード」がスタートするもフル機能対応機種が少ない件 ポイントは「StrongBox」という仕組み (2026年10月24日)
  2. 「iPhone Duo」はLINEもポケモンGOも“黒い”余白だらけ? 日本の定番アプリは未対応が多く (2026年10月23日)
  3. ダイソーで1100円の「USB Type-C to HDMIケーブル」でスマホの画面をテレビに映すとどうなる? 対応機種なら試してみる価値あり (2026年10月24日)
  4. きょう発売の「iPhone Duo」、Apple 表参道でゲットしてきた 早速開封レポート (2026年10月23日)
  5. iPhone Duoを使って痛感した「Face ID」のありがたさ 充電スタンドに置いたまま通知が見られない不便さに苦しむ (2026年10月24日)
  6. 進化した「Siri AI」で感じた、iPhoneの操作を一変させる実力 「AI出遅れ」の汚名返上なるか (2026年10月24日)
  7. モバイルSuicaの新決済「teppay」を早速試した 店員への伝え方や決済音は? スムーズに決済できる? (2026年10月22日)
  8. デジタル庁が「Androidのマイナンバーカード」対応機種を公表 属性証明機能を使える機種は限定的 (2026年10月19日)
  9. ダイソーで330円の「人感・明暗センサーLEDバーライト(Type-C)」が意外と便利 1人暮らしの帰宅時や非常灯に便利  (2026年07月18日)
  10. 「iPhone Duo」を試して分かった9つの疑問と本音 36万円超の折りたたみスマホは「買い」か? (2026年10月21日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー