Huaweiが脱落した中国市場で覇権を握るのは? 中国スマホメーカーの動向を占う山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)

» 2022年01月13日 17時03分 公開
[山根康宏ITmedia]
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独自開発のチップも差別化要因に

 vivoもOPPOに先駆けて画像チップ「V1」を9月に発表しており、既に一部製品に搭載している。スマートフォンのカメラ性能競争は高性能なセンサーの搭載から、統合チップ(SoC)に内蔵の画像処理エンジンに頼らず、独自のAI機能を採用する動きが始まっているのだ。

 独自の画像処理チップの開発は、SoCに依存せず常に一定かつ最高の静止画・動画をユーザーに提供することができる。中国メーカーが積極的に低価格な5Gスマートフォンを投入したおかげで、今やスマートフォン向けSoCのシェア1位はQualcommではなくMediaTekとなった。しかし画像エンジンの処理性能はSoCそれぞれによって異なっており、チップごとにメーカー側で調整が必要となる。

 vivoのスマートフォンには、これら2社に加え、SamsungのExynosを搭載するモデルも多い。半導体不足でSoCの入手不足に対応するため、Qualcommチップで発売した製品をMediaTekチップに乗せ換えたマイナーチェンジモデルの投入も積極的に行っている。自社の画像処理チップを搭載すれば、SoCが変わってもユーザーに変わらぬカメラ体験を提供できるわけだ。さすがにSoCそのものの独自開発は難しいかもしれないが、今後大手メーカーは生き残りをかけ独自チップの開発を進めていくだろう。2022年にはXiaomiからも何らかのアナウンスがありそうだ。

vivo vivoはSoCだけを変えたマイナーチェンジモデルを複数展開。自社開発画像チップの必要性が増す

グローバルでの競争力が高いXiaomi

 さて、Xiaomiは「コスパに強いメーカー」からの脱却を図ろうと、2021年秋にグローバルでのブランド変更を行った。2022年は「Xiaomi」ブランドで高性能カメラ搭載の「Xiaomi 12」シリーズや折りたたみスマートフォン「MIX Fold」の後継機などを出して、Huawei不在となったグローバル市場での存在感をさらに高めるだろう。中国国内ではvivoやOPPOの後塵を拝しているXiaomiは、逆に言えば中国国内市場の比率が少なく、グローバルでの競争力は中国メーカーの中では一番強い。realmeも同様に新興国中心とはいえ、中国市場に頼らずシェアを高めている。グローバル全体ではこの2社の動きが2022年最も活発になるだろうか。

 残るHuaweiは引き続き厳しい状況が続いているものの、縦折り式スマートフォン「P50 Pocket」でQualcommチップを搭載、5G非対応とはいえプロセッサ供給問題は解決できそうだ。2022年も少数精鋭の製品開発にとどまるだろうが、2021年夏に発売した「P50 Pro」が1年を通じてカメラ性能指標の1つであるDXOmarkで最高スコアを示しており、2022年に登場予定の「P60」(仮称)がどのようなカメラ性能を搭載するのか、今から楽しみである。

P50 Pocket Huaweiは年末に折りたたみスマホ「P50 Pocket」を発表し存在感をアピールした
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