「Galaxy Z Fold3 5G」を約3カ月使って分かったこと フォルダブルは定着する?石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2022年01月22日 07時30分 公開
[石野純也ITmedia]
前のページへ 1|2|3       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Galaxy Noteを超える書きやすさのS Pen、ソフトウェアには課題も

 あくまでオプションという位置付けだが、Galaxy Z Fold3 5GはGalaxy Noteシリーズの特徴を受け継ぎ、S Penにも対応している。ただし、Galaxy Z Fold3 5GのS Penは画面を保護する必要から、押すとへこむギミックが採用されている。Galaxy Note用に開発されたS Penは使い回すことができない。筆者の購入したS Pen Proは、これまでの端末とGalaxy Z Fold3 5Gの両方に対応しているが、手動での切り替えが必要になる。「Z Fold」側にスイッチを入れているときのみ、ペン先がへこむようになり、Galaxy Z Fold3 5Gで利用できる。

Galaxy Z Fold3 5G
Galaxy Z Fold3 5G Galaxy Z Fold3 5G対応のS Pen Pro。上部のスイッチを切り替えると、Galaxy Noteなど、その他のS Pen対応端末でも利用できる

 筆圧検知や遅延の少なさといったS Penの持ち味は、そのまま受け継がれている。これまでGalaxy Noteも何台か使ってきたが、ディスプレイを広々と使える分、Galaxy Z Fold3 5Gの方が書きやすいと感じている。一方で、Galaxy Noteとは異なり、S Penを本体に収納することができない。筆者はS Pen Proをペンケースに入れて、ボールペンなどと一緒に持ち歩いているが、取り出すのにはひと手間かかる。S Penはあくまでオプションのため、仕方がない点だが、サッとメモを取るのであればGalaxy Noteに軍配が上がる。

Galaxy Z Fold3 5G 書き味のよさはGalaxy Note譲り。画面が大きい分、広々と文字や絵を書くことができる

 ハードウェアとしての完成度は非常に高く、いったんこの画面サイズに慣れてしまうと、他のスマートフォンに戻れない魅力がある。ただし、ここまで述べてきたように、ソフトウェアやエコシステム側がフォルダブルスマートフォンに十分追い付いていない印象を受けるのも事実だ。先に挙げたディスプレイサイズへの最適化やフレックスモードへの対応以外でも、7.6型の大画面を生かし切れていないアプリは依然として多い。

 一例を挙げると、プリインストールアプリでも、「Gmail」は本体を横にしないと2ペイン表示ができない。これまでのスマートフォン用のGmailが、単に引き延ばされただけになってしまうというわけだ。縦長のスマートフォン用レイアウトを、7.6型にリサイズしただけのアプリは他にも多く、Twitterのように、ブラウザで表示した方が見やすいケースもある。LINEはラボ機能で設定すると2ペインになるが、あくまで試験的な位置付けで、動作がやや不安定になるのが難点だ。

Galaxy Z Fold3 5G Gmailは2ペン表示になるのが横位置のみ
Galaxy Z Fold3 5G ラボ機能を使うと、LINEも強制的に2ペイン表示にできる。ただし、動きが遅くなるなどのデメリットも

 サムスン製ではないアプリの中にも、「+メッセージ」や「Googleフォト」のように、しっかりメインディスプレイのサイズに対応しているものはあるが、どちらかというと少数派。iPadOSを用意し、エコシステムも強固なAppleと比べ、Androidはタブレットのラインアップが手薄だが、その弱点がフォルダブルスマートフォンでも出てしまった格好だ。

Galaxy Z Fold3 5G 意外なことに、+メッセージアプリは2ペイン表示に対応していた

 もっとも、これはフォルダブルスマートフォンがまだ“少数派”であるがゆえの、過渡的な不満なのかもしれない。冒頭で挙げたように、Galaxy Z Fold3 5G/Flip3 5Gの投入を契機に、販売は大きく伸びている。サムスンの宣言通り、フォルダブルスマートフォンがモバイルにとっての新たなメインストリームになれば、自然とそこに最適化したアプリは増えてくるだろう。その第一歩として、Galaxy Z Fold3 5Gは非常に完成度の高い端末と評価できる。

 一方で、機能が盛りだくさんゆえに、価格は一般的なハイエンドモデルを大きく上回ってしまっている。機能面では満足している筆者だが、さすがに購入時にはやや迷いもあった。「いつでもカエドキプログラム」のおかげで毎月の負担は抑えられているものの、フォルダブルスマートフォンがメインストリームになるには、さらなるコストダウンが必要になりそうだ。OPPOやXiaomiなど、サムスン以外のメーカーも続々とフォルダブルスマートフォンに参入し始めているため、価格競争が進むことも期待したい。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年