BALMUDA Phoneで撮る料理は、確かに記憶の中にある「おいしさ」を引き立たせるようなものになると感じた。中でもトーストやパンなどの焼き物、カットフルーツなど「ジューシー」と表現されるようなものは得意分野だ。
一方で、目で見たそのものを忠実に再現しているわけではないため、不自然であったり、誇張しすぎたりするようにも感じた。悪い言い方をすれば「Instagramに投稿するために、パリパリに加工した写真」のような仕上がりだとも思える。
また、撮り比べての印象として、被写体によってかなりの向き不向きがあるように思えた。例えば刺身や葉物野菜は、彩度が強調されすぎて食品サンプルのような不自然な写りになりがちだとも感じた。また、白ご飯もおいしそうに写るが、器の色味によっては明るくなりすぎてしまう場合もあった。
料理モードの写りは、環境光によって写真の出来栄えが大きく左右されるようだ。特に居酒屋やおしゃれなレストランのような、室内光が薄く、電球色寄りの照明では色味が良くならないことがあった。「食事をおいしく撮れる」がコンセプトなだけに、室内での暗所撮影の性能は向上の余地があるだろう。
なお、バルミューダの開発チームは、料理モードでの撮影のコツについて、以下のようにコメントしている。
十分に明るい環境で、「果物などのみずみずしいもの」や「ステーキなどの熱々のもの」を撮影することがおすすめです。透明感のある画像の仕上がりになります。
撮影機能として、画面をタップすると、タップしたエリアにピントと明るさを合わせる機能が搭載されています。撮影したい食材を中心にタップすると、より立体感のある画像に仕上げられます。タップ後に表示される調整バーで、明るさはお好みに合わせることができます。
また、背景をぼかす機能を付加した画像が同時に保存されますので、2枚の画像からお好みで選択することができます。奥行きのある背景で料理を撮影すると、背景がぼけた柔らかい画像が作成できます。
BALMUDA Phoneで画質以上に気になるのが、カメラアプリの使い勝手だ。最近のスマートフォンでは標準装備といえる「被写体を検知して撮影モードを自動変更する機能」をこのスマホは備えていない。食事を撮るときは「フードモード」への設定を手動で行う必要がある。
撮影モードの設定はスマホを再起動したり、電源オフになったりすると初期化されてしまうので、料理だけ撮る場合も、撮影時にその都度フードモードの設定を確認しなければならない。このひと手間が案外煩わしい。
また、BALMUDA Phoneの着信音や通知音は元バンドマンの寺尾社長が「昔の音楽仲間を集めて作った」というこだわりがあるが、カメラのシャッター音にはそのこだわりは反映されていないようだ。京セラ製スマホのシャッター音と同様に、「がしゃこん」と目立つシャッター音となっている。
寺尾社長は、BALMUDA Phoneの強みを「アプリ」にあると語っていた。独自開発の基本アプリを継続的に投入し、2022年までに10種類の投入を目指すという。カメラアプリもこの「独自アプリ」に含まれているが、少なくとも発売当初の段階では改善の余地は大いにあるように思えてならない。継続的なアップデートによって、改良されることを期待したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.