「BALMUDA Phoneは素晴らしい価格だとは思っていない」 寺尾社長が語る現在地(1/3 ページ)

» 2022年02月10日 08時11分 公開
[田中聡,ITmedia]

 2021年11月に発売されたバルミューダ初のスマートフォン「BALMUDA Phone」が大きな話題を呼んでいる。直線がないという小型のボディーに4.9型ディスプレイを搭載し、独自に開発したスケジューラー、メモ、電卓などのアプリを用意。カメラには、調理家電を手掛けた知見を生かして「料理モード」を備えている。

BALMUDA Phone バルミューダ初のスマートフォン「BALMUDA Phone」

 既存のスマートフォンにはないこだわりを盛り込んだ本機だが、デザインや中身よりも注目を集めているのが価格だ。Snapdragon 765、メインメモリ6GB、内蔵ストレージ128GB、バッテリー容量2500mAhと、スペックはミッドレンジ相当ながら、価格(税込み)はバルミューダが販売するものが10万4800円、ソフトバンクが販売するものが14万3280円に設定されており、物議を醸した。

 発売後も、ソフトウェア更新でカメラ画質が悪化してしまったり、メーカー側のミスではあるが技適に関する問題で販売が一次停止になったりと、ネガティブな話題が続いた。

 逆風が吹き荒れる中での船出となったBALMUDA Phoneだが、同社は発売後の反響をどのように受け止めているのか。また、今後のBALMUDA Phoneの展開はどうなるのか。寺尾玄社長がグループインタビューで語った。

BALMUDA Phone バルミューダの寺尾玄社長

約300のモックアップを経て直線のないボディーが完成

 発売後の大きな反響について寺尾氏は「全く想定していなかった」と振り返り、「こりゃ、すごい世界に来ちゃったな(笑)」と戸惑ったようだ。バルミューダの一般ユーザーを対象にした調査によると、2021年11月16日に発表してから、BALMUDA Phoneの認知度は35%まで向上したという。「その理由は、われわれのコミュニケーションの仕方に一因があった」と寺尾氏は振り返るが、ものすごい熱量を感じたという。

 そんなBALMUDA Phoneには、ハードとソフトに寺尾氏のこだわりが詰め込まれている。バルミューダはスマートフォンの開発に当たってマーケティングは行わず、“寺尾氏が欲しいスマートフォン”を目指して開発を進めてきた。

 ハードについては、寺尾氏が「コアバリュー」だと言う小さなサイズと直線のないラウンドフォルムを実現するために、基板を6枚構成にしたり、ディスプレイもゼロから起こしたりした。しかしなかなか理想形にたどり着けず、作ったモックアップは10バージョン、合計約300にも及ぶ。BALMUDA Phoneのディスプレイサイズは当初4.7型を想定していたが、後から5Gに対応させることも決まり、バッテリーやアンテナなどの部品が入りきらないことが分かったため、最終的には4.9型に落ち着いた。

BALMUDA Phone 理想のサイズとラウンドボディーにたどり着くまでに、300種類ものモックアップを作成した
BALMUDA Phone
BALMUDA Phone 初期段階のBALMUDA Phone。ラウンド形状は製品版ほど目立っていない
BALMUDA Phone 基板は6枚構造になっており、バッテリーはディスプレイ側に固定されている

 「(本体の)ラウンドを実現するために、ものすごい京セラとやり合いました。向こうからは、いかに平らにするかのアプローチがありましたが、どうしてもこれがやりたかったので、押し通しました。バッテリーは液晶側から取り外す仕様で、作りやすさとメンテナンス性、どちらも最悪です(笑)。デザイン携帯を作りたいといったら、メーカーの(既存)携帯を使うのがいいのですが、それをやらず、ディスプレイも専用のラインを作って起こしてもらっています」

 京セラには、バッテリー容量の2500mAhは必須でお願いしていたが、当初のボディーにはどうしても入らなかったため、厚みを持たせることで小型サイズを実現した。寺尾氏は「険しい道を自ら選んでしまった」と振り返る。

BALMUDA Phone 片手に収まる小型サイズにこだわった

 製造元について、海外メーカーとも数社話をしたそうだが、「信頼、安全、安心という意味では、圧倒的に京セラのブランドは高い」ことから、京セラに決まった。

BALMUDA Phone 試作機の右上に「KYOTO」の文字があるが、当初はこのKYOTOという製品名にする予定だった。「デザインの元ネタが京都の寺院にある、水を張ったくりぬかれた石のイメージだった」のがその理由。しかし、商標が取れないため断念。製品名は1000の候補を考えたそうだが、「誰も文句言わないだろう」という理由で、最終的には「BALMUDA Phone」に落ち着いた

世界で一番見やすいカレンダー

 ソフトについては、表示サイズを柔軟に変更できる「スケジューラ」、付箋のように並べて確認できるメモ、ストップウォッチやアラームを利用できる「ウォッチ」、億や万の表記や通貨換算もできる「計算機」を独自に開発。これらのアプリは毎月ソフトウェア更新をかけ、細かな使い勝手を改善していくという。例えばウォッチでは、2月に世界時計や世界の天気予報を確認できるよう更新する予定。計算機では、通貨換算の対象国が現在の5カ国から21カ国に増え、単位換算もできるようになる予定。

BALMUDA Phone ウォッチアプリは各国の時差や天気も確認できるようになる

 寺尾氏が特に気に入っているのがスケジューラで、「自分はこれ無しでは暮らせない。世界で一番見やすいカレンダーだと思う」と太鼓判を押す。このスケジューラは、2022年秋に「大進化させる」と同氏は予告する。

 独自アプリは「他のサイズのディスプレイで使ったときにどうなるか、(他の端末との)連携がどうなるのかを念頭に置いて開発している」(寺尾氏)そうで、これらのアプリを後継機や他のデバイスにも搭載していく方針を示した。

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