UQは2021年、5G対応の通信サービス「WiMAX +5G」の提供を開始しました。自社のWiMAX 2+エリアに加えてau 5G/4G LTEエリアでの通信にも対応することが特徴で、第1弾の端末はサムスン電子製のモバイルルーター「Galaxy 5G Mobile Wi-Fi」です。
UQがWiMAX +5G用のプランとして用意した「ギガ放題プラス」では、WiMAX 2+エリアと特定のau 4G LTE/5Gエリア(※2)を利用できる「スタンダードモード」と、追加のau 4G LTEエリア(※3)を利用できる「プラスエリアモード」が用意されています。WiMAX 2+用プランと同様に「月間容量制限なし」ではありますが、以下の制限が設けられました。
(※2)Band 1(2.1GHz帯)/3(1.7GHz帯)/n78(3.7GHz帯)
(※3)Band 18(800MHz帯)
2017年に確立したWiMAX 2+の通信制限ポリシーを下敷きに、一部を緩和したようなイメージです。特に、プラスエリアモード固有の制限がスタンダードモードに影響しなくなったことはポジティブな変化です。
一方で、直近3日間に15GB以上の容量が設けられたことと、制限時の最大速度が上下最大1Mbps程度で変わりないことには疑問が残りました。というのも、スマホ向けの5G通信サービスよりも厳しい制限になっているからです。スマホと比べると、ルーターが行う通信の内容は判断しづらい(予想しづらい)ため、より厳しい制限を行うことにしたのだと思われます。
とはいえ、(月額料金はさておき)競合のNTTドコモがルーターも含めて特段の容量制限を設けていない料金プラン(5Gギガホ プレミア)を提供している事実を踏まえると「もうちょっとどうにかならないの?」と思うのもムリはありません。
「どうにかならないの?」という思いに拍車を掛けたのが、ドコモが満を持して投入したワイヤレスホームルーター「home 5G」です。スマホやモバイルと同様に通信容量制限を特に設けていない一方、届け出た住所地以外での利用を制限することで他端末用のプランよりも手頃な価格を実現しています。
特に、自宅の固定インターネット回線代わりとして使う場合、“特に容量制限を設けていない”という点は非常に大きなメリットです。高画質/高解像度なストリーミング動画をある程度見ただけで速度制限が一律に掛かるという点だけでも、WiMAX +5Gはワイヤレスルーター(特にホームルーター)の競争において不利な状況になってしまったのです。
home 5G(と5Gギガホ プレミア)が思った以上にインパクトを与えたのか、冒頭で述べた通り、UQは2022年2月2月からWiMAX +5Gの通信制限ルールを以下のように変更しました。
簡単にいうと、home 5Gと同様に混雑する時間帯のみ、通信速度を制限“するかもしれない”という運用になりました。極端すぎる使いすぎはともかく、通常は通信容量を意識せずとも使えるようになったのは大きな進歩です。
「なぜこの時期に?」という疑問ですが、現在は携帯電話を含む各種通信サービスが一番売れ行きを伸ばす“春商戦”です。home 5Gや「SoftBank Air」といった競合サービスと比べて不利なポイントをフォローすることで、新規ユーザーの獲得をしやすくしつつ、既存ユーザーの離脱を防ぐ狙いがあったものと思われます。
新生活に合わせてインターネット回線を探している人にとって、この春はサービスの選択肢がより充実しました。UQを含め各社の5Gワイヤレスホームルーターは、インターネット回線の有力な候補の1つとして考えても良いでしょう。
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