先に挙げたように、MNOの5G向け料金プランでは、データ容量無制限が一般的になりつつある。マイそくは、MVNOとしてこうした料金プランに対抗するためにあみ出された料金プランだ。福留氏も、「5G時代になれば、徐々に容量無制限のメニューにシフトしていく」と見る。ただし、MVNOがMNOと同じ速度で提供すると、接続点の帯域がすぐに足りなくなってしまう。その解決策として、通信速度を必要十分なところまで絞り、1ユーザーあたりのトラフィックを抑えている。
4G時代まではデータ容量にキャップを設けていたが、容量無制限が当たり前の5G時代には速度でトラフィックをコントロールするというわけだ。一方で、「必要なものを必要な分だけ、お手頃な料金で使いたいお客さまも一定数は残る」(同)との見立てで、当面はデータ容量別のマイピタと、速度別のマイそくを併存させていく。
福留氏によると、マイそくは1年間で4万契約を目標にしていという。ランチタイムの時間帯にデータ通信を節約して、データ容量などの特典を得られる「ゆずるね。」の利用者が、毎日約5万いることから、こうした目標を想定しているという。約120万契約のmineoにとっては、まだまだ少数派だが、使い放題の快適さや安心感が伝われば、ユーザー数は徐々に増えていきそうだ。
データ容量に縛られない料金プランは、mineo以外のMVNOにも徐々に広がりつつある。ドコモのエコノミーMVNOとして、子ども向けやシニア向けのサービスを展開するトーンモバイルも、その1社だ。同社の料金プランも、データ容量は無制限で、動画の再生やアプリのダウンロードをする際のみ、「動画チケット」を購入する仕組みだ。公平性を重視つつ、トラフィックを平準化するためにこうした制限を設けているという。
子どもやシニアにターゲットを絞っていたトーンモバイルだが、エコノミーMVNOとしての販売を開始したところ、より幅広いユーザーが契約しているという。子ども向けに用意していた見守りサービスの契約率が50%にとどまっていることも、それを裏付ける。これも、使い放題の料金プランが評価された結果と見ていいだろう。
データ容量には50GBの制限があるが、ビッグローブの展開するdonedoneの「ベーシックUプラン」も、設計思想はmineoのマイそくに近い。donedoneのベーシックUプランも、通信速度はマイそくのプレミアムコースと同様、3Mbpsに制限されている。10アプリの中から3つのアプリだけを通常の速度で使える「カスタムUプラン」も、変則的なデータ容量無制限プランといえる。
MNOの料金値下げの影響を受け、契約者数が伸び悩むMVNOだが、低容量、低価格以外の領域はまだ十分開拓できていない印象を受ける。一方で、上記のように、従来の枠組みにとらわれない料金プランも徐々に増えている。こうした料金プランが受け入れられれば、MVNOの生存領域が広がる可能性もある。mineoのマイそくは、その試金石になりそうだ。
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