iPhone SE(第3世代)登場で5G普及が加速するか――NTTドコモも4G転用始めるも90%達成では他社に出遅れ石川温のスマホ業界新聞

» 2022年03月20日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 3月18日にアップル・iPhone SE(第3世代)が発売となる。

 日本ではコンパクトで根強い人気があるiPhone SEの後継機種であるだけに、きっと飛ぶように売れるだろう。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年3月12日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。


 今回はNTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルだけでなく、サブブランドであるワイモバイル、UQモバイルも同時発売となる。

 5Gスマートフォンは、データ消費量が4Gスマートフォンに比べて増える。菅政権の圧力によって小・中容量プランが増えているが、キャリアとしては使い放題プランを普及させたい。iPhone SE(第3世代)を売りまくることで、ARPUの上昇につなげたいはずだ。

 昨年頃からiPhone SE(第2世代)はばら撒き販売されていたが、iPhone SE(第3世代)も早晩、1円での販売合戦になるのではないか。

 今回、アップルはiPhone SE(第2世代)から外観やカメラのスペックなどを変えることなく、iPhone SE(第3世代)を作ってきた。中身をA15 Bionicにして、5G対応にするなどの変更に留めた。

 目新しい機能の追加やカメラの数が増えることなどに全く興味を示さない人が増えているのだろう。余計な機能を増やすのは迷惑であり、むしろ「今まで通り、同じ使い勝手を維持したい」という保守的な人がiPhone SE(第3世代)に群がる。iPhone 7ぐらいから進化などを求めず、安定性を重視する人が増えてきたといことだ。

 先週、スペイン・バルセロナで開催されたMWC22の会場を歩いていて思ったが、もはやスマートフォンは進化を競う時代ではなくなった。生活に欠かせないツールであることは間違いないのだが、すっかりコモディティ化してしまい、ワクワクするデバイスではなくなったのか知れない。

 iPhone SE(第3世代)で満足できる人が増えているということは、それだけコモディティ化した証なのだろう。

 iPhone SE(第3世代)が5G対応したことで、世間が5Gに対してどれだけ注目をしてくれるようになるのか。

 5Gユーザーが増えれば、それだけ「ここは5Gでつながるか」とエリア品質が気になる人も増えるのか。

 3月11日、NTTドコモもようやく4G周波数帯の5Gへの転用を発表。700MHz、3.4GHz、3.5GHzから順次、5Gサービスとしての提供を開始するという。これにより、5Gエリア構築のスケジュールが加速するというが、人口カバー率90%以上の実現は「2024年3月まで」としている。

 一方、早くから4G転用を進めていたKDDI、ソフトバンクは今年春には人口カバー率90%の達成を予定している。

 果たして、この違いをユーザーが実感し、「ソフトバンクとKDDIの5Gエリアは広いけど、ドコモは狭い」という各キャリアの評価につながるものなのか。それとも、ユーザーは5Gのエリアには興味を示さずスルーしてしまうのか。

 iPhone SE(第3世代)によって5Gが一気に普及することで、各キャリアのエリア整備に注目が集まるのか否か、興味深いところだ。

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