最後に内田氏は、楽天グループが出資する米AST SpaceMobileと進めている、低軌道衛星を活用した「スペースモバイル計画」の現状について説明。低軌道衛星を活用した通信サービスにはいくつかの企業が取り組んでいるが、それらの多くが専用のターミナルを地上に設置し、そこから別途Wi-Fiなどで通信する必要があるのに対し、AST SpaceMobileでは低軌道衛星からLTEの電波を直接射出し、地上のスマートフォンと直接通信できるのが特徴となる。
計画では150程度の低軌道衛星を打ち上げ、日本では1.7GHz帯を用いてスマートフォンと通信する一方、Q/Vバンド(40〜50GHz)の割り当てを受けて、日本では3箇所くらい設置を予定しているという地上のゲートウェイと接続、そこから楽天モバイルのコアネットワークと接続する形になるという。なお衛星のサイズは10×10mというかなりの大きさで、そのままでは打ち上げられないことから、打ち上げ後に傘のように開いて利用する構造を取り入れているそうだ。
これが実現できれば人口カバー率99%を超えたさらにその先、まだエリアカバーがなされていない国土の残り30〜40%もエリア化できるというが、気になるのは低軌道衛星の進捗状況だ。内田氏は今回の講演で、「先日米国に行って確認した」という現在の状況について説明、試験衛星の発射に向けた準備が現在進められており、2022年夏には実験が始まるとのこと。日本でも北海道での実験が予定されており、技術の有用性が確認できたら早い段階で商用化したいと同氏は話している。
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