次は主にスマートフォン連携アプリの完成度、充電ケースの使い勝手、イヤフォン本体の防滴・防水・防塵(じん)性能から商品を見ていきたい。
連携アプリではイヤフォンの音を自分好みに調整したり、本体の操作をカスタマイズできる。その例としてはソニーの「Headphone connect」がある。本体機能の操作やカスタマイズ、イコライザーの設定や本体のソフトウェアアップデートが可能だ。
充電ケースの使い勝手も重要だ。ケースの厚さや大きさはポケットやカバンに入れるにあたって、大きすぎるものはストレスになるからだ。近年では充電ケースの小型化と、Qi規格による無接点充電がトレンドだ。GalaxyやXperiaをはじめとして本体のリバース充電に対応している機種であれば、本体からイヤフォンの充電が可能だ。
イヤフォンの防滴・防水・防塵は近年注目されており、多くの機種がIP54相応の規格に対応している。急な雨などに当たっても極度に心配する必要はない。ソニーの「WF-SP900」のようにIP68等級の防水に対応し、スイミングしながらの利用が可能な商品もある。スポーツ用途重視の商品では丸洗いできたりと、使用場面に応じて使い分ける「2台目のイヤフォン」としても優秀だ。
TWSイヤフォンは「耳に着用するガジェット」という側面もある。あまり知られてはいないが、Apple AirPods Proではイヤフォン本体に加速度センサーが内蔵されている。ダイナミックヘッドトラッキング機能を使用した空間オーディオもこのセンサーを用いたものだ。加えてAirPods Proで取得した情報を使用して、3Dアバターをリアルタイムで動かすことまで可能だ。この場合、イヤフォンの加速度センサーで顔の動きを高精度にトラッキングするわけだ。一方でGoogleが販売する「Pixel Buds」では着用したままのリアルタイム翻訳が可能だ。
ここまで、TWSイヤフォンを選ぶにあたって、価格、機能面や音質などに焦点を当てて紹介してきた。TWSイヤフォンはアンプやD/Aコンバーターの性能も向上し、コーデックやDSP処理の進化などもあって高品質なサウンドへと進化を遂げた。
また今では、イヤフォンでは従来では不可能であったソフトウェア更新による不具合修正や機能追加も、スマートフォンを通じて可能になっている。
このように、ただ音楽を楽しむデバイスから、音楽を楽しむ行為に新しい付加価値を与えてくれるデバイスになりつつあるTWSイヤフォン。今や街で着けている人を見かけない日はないくらいにまで普及した商品だ。使用する用途や求める機能、音質、予算を考えて最良のTWSイヤフォンを選択してみてはいかがだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.