総務省は6月15日、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルと全国携帯電話販売代理店協会(全携協)に対して「販売代理店の業務の適正性確保に向けた措置の実施等に係る要請」を行った。電気通信事業法の順守状況の実態調査をした結果、携帯電話販売代理店において「不適切な行為」が引き続き行われていることが判明したことを受けたもので、各キャリアおよび全携協に対して「販売代理店の業務の適正性」を確保するための措置などを講じるように求めている。
電気通信事業法第27条の3では「移動電気通信役務を提供する電気通信事業者の禁止行為」、簡単にいうとMVNOを含む携帯電話キャリアの代理店がしてはいけないことを定めている。
総務省では2021年、楽天モバイルを除く大手キャリアの販売代理店において「端末の単体販売」に関する覆面調査を行った。その結果、キャリアによって比率は異なるものの、端末の単体販売を拒否する事例が少なからず見受けられた。
この覆面調査を受け、同省は同年5月25日、楽天モバイルを除く3社と全携協に対して「販売代理店の業務の適正性確保に向けた指導等の措置の実施について」要請を行った。先の3社と沖縄セルラー電話に対しては、同年9月17日にも「電気通信事業法の一部を改正する法律の趣旨に沿った公正な競争環境の確保に向けた取組について」要請も行っている。
そして同省は2022年、楽天モバイルの代理店も対象に加えて 同趣旨の覆面調査を行った。すると2021年の調査よりも比率は減ったものの、端末の単体販売を拒否する事案は引き続き確認できたという。回線契約が条件の割引で2万円(税別)を超える提案をする事例や、回線と結び付かない購入時における端末購入サポート(残価設定型の分割払い、または端末の下取りを前提とする購入プログラム)の提供拒否も見受けられたようだ。
今回、総務省が改めて要請を発出したのは、このように法令に違反または違反が疑われる対応が残っていることを受けたものである。ただ、最近は端末の単体販売に伴う“弊害”、具体的にはいわゆる「転売ヤー」による端末の買い占めが問題となっている。端末の単体販売に関する議論は避けられないだろう。
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