オウガ・ジャパンは、6月に日本市場に特化した「OPPO Reno7 A」を発売した。同モデルは、オープンマーケットで販売されている他、大手キャリアではY!mobileやau、UQ mobile、楽天モバイルが採用。ヒットモデルの後継機ということもあり、MVNO各社も一斉に取り扱いを始めている。コストパフォーマンスの高さや、おサイフケータイ、防水・防塵(じん)対応はそのままに、Reno7 Aではデザインにも日本市場の“意見”を取り入れている。
さらに、1台の端末を長く使いたいニーズに応え、システムの最適化でサクサク感を保つ機能を搭載。キャッチコピーやプロモーション映像でも、この点を大々的に訴求している。機能だけでなく、日本のユーザーの嗜好(しこう)に加え、スマートフォンの使用期間が長期化している市場動向にもフィットさせてきたのがReno7 Aといえる。
一方で、プロセッサは先代のReno 5Aが「Snapdragon 765G」だったのに対し、Reno7 Aは「Snapdragon 695 5G」になり、一見すると処理能力が落ちてしまっているようにも見える。世代が異なるため、実際には同程度の実力ではあるものの、型番からダウングレードしているような印象も受けてしまう。カメラの画素数や数も落ちている。では、Reno 7Aはどのように企画された端末なのか。オウガ・ジャパンの専務取締役を務める河野謙三氏と、プロダクト部 部長の李毅(レオ・リー)氏にお話を聞いた。
―― Reno7 Aですが、デザインがこれまでと大幅に変わったこともあり、フルモデルチェンジのように見えます。なぜこのような端末になったのかというところを改めて教えてください。
李氏 この価格帯だと、ハードウェアの進化だけでは難しいというところからスタートしました。Reno5 AのときにはSnapdragon 765Gを選べましたが、今年(2022年)はSnapdragon 695 5Gしか選べない。そこから、Reno7 Aの企画を始めています。スマートフォンの4大部材はチップ、バッテリー、ディスプレイ、メモリですが、チップセットを落とさざるを得ない状況になった中、どうするかを考えたのが本当のところです。
行きついたのがデザインです。デザインというキーワードの中、素材や筐体、さらに美意識(の違い)というところにそれぞれの課題があり、日本のデザイン会社にも協力していただき、背面の「OPPO Glow」も含め、最終的に色や形状はこのようにしようという結論になりました。
―― とはいえ、チップセットも処理能力が落ちたわけではないですよね。型番的には低く見えてしまいそうですが。
李氏 全体が進化しているので、商品名とは異なり、(ベンチマークは)ちょっとだけ点数が上がります。ただ、ユーザーの観点からすると、やはり他の進化点や、差別化のポイントに新しいところが必要になるという判断をしました。
―― 背面のグラデーションがかかったようなOPPO Glowですが、あれは具体的にどういった処理をしているのでしょうか。
李氏 グローバルで特許も取っていますが、イメージとしては、ある素材の上に50万の細かい水晶を重ねて、「キラキラマット」というイメージを作りました。素材と色味の仕上がりは、水晶の数を調整することで変わってきます。そこも工夫した点で、一定量の歩留まりを担保しながら量産化できるところを目指しました。
河野氏 僕がプライベートで今使っているのは(フラグシップモデルの)「Find X3 Pro」ですが、あれに搭載されている顕微鏡カメラで撮影すると、水晶の凹凸がはっきり見えます(笑)。日本にお住まいの方の美的センスはすごく特徴的で、「エモい」という言葉もそうですね。そんなエモいものを欲しがる一方で、落ち着きも必要という相反するバランスをどう取るかをやってきました。
―― そのバランス調整が難しかったとうかがいました。どんな試行錯誤があったのでしょうか。
李氏 キラキラの温度感や色味は調整を重ねました。アイスブルーという名称は早くから考えていましたが、試作機はもっとブルーだった。一方で、製品版はホワイトに近い薄い色味です。ブルーが強すぎると、前に進みすぎてしまうので、0.5ステップだけ進むよう、下がる方向で考えました。数字的な説明は難しいのですが、ID(インダストリアルデザイン)を専門にするデザイナーの意見を聞きながら決めています。
―― 河野さんも、デザインには何か関わったのでしょうか。
河野氏 僕は口を出さず、足だけ出していました(笑)。というのは冗談ですが、本当に何もやってないです(笑)。ユーザーアンケートを実施し、インダストリアルデザイナーとお客さま、生産側のさまざまな意見がある中で、作れる、作れないという話になります。確かに、あまりきわどいものだと歩留まりが悪くなって作れないという話はありますが、この部分で経営判断が入ることは少ないですね。
李氏 そういう体制になっているので、業務部門としてはやりやすい。自由度の高い現場で仕事ができていることは感謝しています。
河野氏 偉そうなことを言っているように聞こえてしまうかもしれませんが、OPPOは日本に参入したときから、日本の会社になることを目指すと言い続けています。広く一般に言われていることとして、海外の会社はトップダウンが強く、日本はボトムアップ型ということがありますが、そういった点も日本企業になりたいということで経営体質も変えてきました。今はボトムアップ体質が強い。デザインもそうですが、上からこういうものをやってくれというのではなく、ボトムアップでユーザーのニーズを聞きながらやれる体制を構築しています。そこは他社にない強みですね。
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