問題は、銀行アプリやことら自体の知名度だ。11日のことらスタート発表のイベントでは、ゲストに関根勤・麻里親子を呼んでテレビなどのマスメディアを集めることで存在をアピール。認知度拡大を目指す。
これに対して、決済サービス側は一歩引いた事業者が多いようだ。そもそも事業者からは、ことらがどんなサービスで、どんな対応をすればいいのか分からないという声が漏れ聞こえる。
川越社長は、ことら導入にはAPIへの対応だけで開発コストは高くなく、アプリのUI/UXを損なわない形で導入できるというが、そうした説明がされていないと複数の事業者が語っている。
こうした状況で資金移動業者が参加を検討することができないため、現時点での資金移動業者の参加申し込みがゼロという状況につながっているのだろう。
資金移動業者が対応しなければ、一部の銀行間の送金だけに使われるサービスにしかならないという危険性がある。個人間送金がいまだに市民権を得られていないのは、「誰でも使える」という点が弱いからだろう。複数の決済サービスを使い分ける人だけでなく、「何を使っていても、誰でも無料で送金できる」という環境になれば、個人間の金銭のやりとりがキャッシュレス化する余地はある。そのためにも、資金移動業者をいかに巻き込むことができるか、ことら側の取り組みの強化が求められるだろう。
発表イベントには(左から)銀行Payから横浜銀行デジタル戦略部決済ビジネス戦略室室長・島山幸晴氏、ことら川越洋社長、J-Coin Payからみずほ銀行決済ビジネス推進部部長・松木博之氏、Bank Payから日本電子決済推進機構事務局長・河合正博氏が参加(Wallet+のiBankマーケティングは、代表取締役社長の明石俊彦氏がリモートで参加した)
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