Zホールディングス(ZHD)傘下のLINE、ヤフー、PayPayの3社が、メーカー、小売店、ユーザーの3者に対してお得を提供するという販促プラットフォーム「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPayマイレージ」を2023年3月から提供すると発表した。
新たなマイレージプラットフォームでは、特定商品の購入金額に応じてPayPayポイントを還元するなど、商品にひも付いた販促施策を実施できるため、これまで販促が難しかったメーカーに対して販促DXを実現する。LINE社長でZHD代表取締役Co-CEO Marketing & Sales CPOである出澤剛氏は、「オフラインとオンラインをつなぐ、メーカー、小売店、ユーザーの三方良しの販促DX」と表現。年間1000億円の売上高を目指して注力していく考えだ。
同マイレージプラットフォームは、「乗れば乗るほどマイルがたまって会員ランクが上がる航空会社のマイレージ」(ヤフー小澤隆生社長)を参考に名付けられたサービス。メーカーが指定した商品をPayPayやYahoo!ショッピングで購入すると、その購入金額が1円1マイルとして蓄積。その商品のマイルが一定数になると、PayPayポイントを還元するといったサービスを提供する。
これまでのPayPayクーポンは「クーポンの指定した店舗で買い物をする」ことが条件だったが、マイレージでは「指定した商品を購入する」ことが条件で、その商品の購入金額が一定以上になることが必要となる。例えば、200円のある飲料を2000マイル(=2000円)分購入すると100ポイント還元、といった形で、同じ商品を繰り返し購入することがメリットにつながる。
これまでの販促施策は、「アナログが中心でいろいろなソリューションが乱立している」(出澤氏)という状況で、チラシ、DM、POPのようなアナログ施策が混在していると出澤氏は指摘する。
少額の日用品や飲食料品のメーカーなどでは、購入者が特定できずに販促効果が測定できない、長期にわたるユーザーとの関係構築ができないという課題があった。販促のためにキャンペーンを実施するのも、キャンペーンシールを貼るといった手間も大きかった。
ユーザーにとってはどの店舗に行けばお得か分からず、キャンペーン商品があってもハガキで応募するといった手間があった。小売店にとっても、せっかくメーカーのキャンペーンがあっても、それを適切にユーザーに届けられているか分からないといった課題があった。
販促サービスとして3社はこれまでもサービスを提供してきたが、こうした販促市場の課題を解決するために、「グループ内のアセットを総動員」(出澤氏)して、オンラインとオフライン双方の横断的な販促プラットフォームを提供することになった。
キーワードは「LTV(顧客生涯価値)」。ユーザー1人がメーカーに対してどれだけの価値を提供するかといった指標で、今回のマイレージプラットフォームでこれを最大化することを狙う。
オンラインショッピングの場合、アカウントにログインしているので顧客の購買データは取得できるが、オフラインの小売店で現金払いをした場合、そうしたデータは把握できない。「オフラインのデータを把握することができるように、これまでPayPayはしっかり投資してきた」と話すのは、ヤフーの小澤隆生社長。
PayPayを使うことでオンラインと同様に顧客の購買データを取得できるため、データにもとづいた販促施策を実施することができる。「一見単純だが、これまでできなかった。圧倒的なユーザー基盤がないとできないこと」と小澤氏は言う。
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