静岡拠点のLIBMOがドコモの「エコノミーMVNO」参入を決めたワケ 先行2社との差別化は?MVNOに聞く(2/3 ページ)

» 2023年01月06日 12時43分 公開
[石野純也ITmedia]

ドコモの力を借りて全国展開 全国規模のサポート体制が強みに

LIBMO 森藤豪氏

―― システム連携を図ってでもエコノミーMVNOになるというのは、やはり規模の拡大を狙っているのでしょうか。

森藤氏 それがメインの理由です。弊社はWeb中心で、対面は一部の量販店や県内のショップだけです。音声(定額)をしっかり出していくとなると、Webはもちろんですが、対面も強くないと話が変わってきます。ここを自分たちのリソースだけで全国に広げるのは、かなり厳しい。Webのように全国に広げようと思うと、ドコモショップが有効です。

 一部ショップを閉鎖しているという話もありますが、3Gのマイグレーション(巻き取り)を控えている中、これからお客さまはどんどんドコモショップに行くようになります。そこでLIBMOを知っていただき、ラインアップにあがっていれば必要な人に選んでいただける。それができるドコモショップの販売力は大きいと思っています。

―― 全国展開にあたり、ドコモの力を借りたということですね。

森藤氏 はい。LIBMOは、認知度を上げていかなければならないのが課題でした。それだけならWebでコストをかけければできますが、単純に認知度が上がるだけでもダメで、そこにスタッフがいなければ獲得につながりません。その点、エコノミーMVNOは全国のドコモショップで取り扱ってもらえるのが大きいですね。

―― ちなみに、TOKAIコミュニケーションズはソフトバンクショップを展開しています。これはエコノミーMVNO参画の支障にならなかったのでしょうか。

森藤氏 ショップは県内でのみ展開しているもので、エコノミーMVNOは全国という位置付けです。

牧野氏 あくまで併売店という位置付けです。LIBMOを販売することで、ドコモ回線とソフトバンクの両方を扱っています。

―― ドコモショップでの販売が始まると、一気にユーザーが増えそうですね。

森藤氏 そこがある意味で想像がつかないところです。

牧野氏 今まで自分たちが考えてきた件数とは、ちょっと違うのかもしれないですね。

森藤氏 ただ、人数と規模の増え方が違う。これまでは県内12店舗だけだったので、さすがに大変です。

丸山氏 今までは50人ぐらいを研修すれば済んでいましたが、これが2000店舗超になりますからね。

森藤氏 1店舗5人だとしても1万人です。当然、全ての店舗が研修に参加できるわけではないので、動画を録画してやっているのですが。

―― 営業担当も日本全国飛び回ることになりそうですね。

牧野氏 実は、うちはもともと家電量販店をラウンドしているスタッフが全国にいます。

森藤氏 ISPの営業で店舗に入ったり、営業をかけたりするためのスタッフです。北海道にいたり、福島にいたり、大分にいたり、長崎にいたり。その人が近隣のドコモショップを回ることで、研修をフォローできます。ドコモショップのサポートをする人的リソースも、全国にいるということです。

牧野氏 エコノミーMVNOとして後発ではありますが、全国的なスタッフのサポート体制は持っているのは大きいですね。こういったところからも、(ドコモの)信頼を勝ち得ています。

森藤氏 重点エリアを静岡県、愛知県、関東圏に定めています。ここは人も厚く、ブロードバンドも取れているところで、ドコモの支社と研修のやりとりをしています。こういった地域はブロードバンドも強いので、セット割も取りやすくなります。

「かけほ割」を適用すれば、1000円未満で5分かけ放題プランを利用できる

―― ポイントシステムの連携がコスト的、作業的に大変でエコノミーMVNOになりづらいという声も一部でありました。この点はいかがでしたでしょうか。

牧野氏 これまでの予算で見ていなかったもので、確かにプラスアルファのコストにはなりますが、これからユーザーが増えていく中で十分吸収できると思っています。

LIBMO 丸山智也氏

―― 端末も販売しますが、これはLIBMO側で用意したものでしょうか。

丸山氏 はい。ラインアップに関しては、ドコモの店頭で取り扱いのあるもの(ドコモ端末)と一部かぶっているところはありますが、うちで用意した端末です。店頭で申し込む際にセットで購入できます。後日郵送にはなりますが、APNも設定した上で送ります。この部分は、後日の配送なのでスムーズになりました。

―― 端末を用意したのは、即時開通できなかったからですか。

牧野氏 そうです。(即時開通が実現したら)今後は、ドコモ端末になっていくと思います。AQUOSなのは、(ドコモショップの店員が)説明に困らず、受け入れてもらいやすい端末だからです。

―― ドコモショップ限定のキャンペーンとして、「かけほ割」があります。ただ、5分かけ放題が110円、10分かけ放題が220円の割引になっているため、適用時の5分と10分の差額が110円になってしまいました。これは、10分を選んでほしいからでしょうか。

牧野氏 実は、最初は10分かけ放題だけの設定にするつもりでした。ドコモとの協議の中で、1000円を割るとインパクトがあるという話になり、税込みで1000円以下を目指した経緯があります。

森藤氏 その結果、ゴーゴープランの5分かけ放題が990円になりました。これが話題になってくれれば、認知度も上がると思います。

LIBMO 「かけほ割」を適用すれば、ゴーゴープランの5分かけ放題セットは1年間月額990円で利用できる

―― 同じエコノミーMVNOのOCN モバイル ONEには5分の音声定額がありません。トーンモバイルにはありますが、金額的にはLIBMOが有利で、10分やマックスを選べるのも有利です。

丸山氏 例えば、Y!mobileやUQ mobileにも5分はありません。通話を重視するお客さまには、大きな特徴になると思います。

牧野氏 5分で550円というオプションを作りたかった。ソフトバンクではY!mobileが10分770円です。LIBMOは以前、935円でしたが、これだとソフトバンクとの併売店で店員が売ってくれない。ここに合わせて負けない状態にするため、5分は550円にしています。マックスは上位3番号の音声定額が1430円だったので、金額そのままで電話番号の制限をなくしました。ただし、完全に無制限というわけではなく、2時間でいったん通話が切れる仕様になっています。

森藤氏 差別化という点では、その際にセット割も見直しています。弊社はドコモ光のISPになるプロバイダーもやっていますが、LIBMOとセットにすることで1回線、220円の割引になり、これが最大5回線まで効きます。OCN モバイル ONEにもセット割はありますが、500MBプランにはそれが効きません。ISPに入れば、さらにお得になるという見え方になると思います。どのプランでも220円割引が効くのは結構大きいのではと思っています。

―― ドコモ光には残ってもらえるとなると、ドコモとしても売りやすくなりそうですね。

森藤氏 2月3日の料金改定前は、ドコモ光が対象ではありませんでした。新料金プランを出すのにあたり、セット割の対象に加えた経緯があります。われわれ(のISP)が光回線とくっつくことで、お客さまには長期に渡って使ってもらえます。LIBMOもそこに引っ張られればと考えています。

LIBMO ドコモ光とのセット割も適用でき、月額220円が割り引かれる

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