2021年に料金プランを刷新し、低価格を売りにしたバリュープラスを導入したNUROモバイルだが、その後も選択肢の幅を徐々に広げている。専用帯域を設けて、大手キャリア(MNO)に迫る通信品質を実現した「NEOプラン」も、そんなサービスの1つだ。2022年10月には、音声通話定額と1GBのデータ容量をセットにした「かけ放題プラン」も導入している。
そんなNUROモバイルの料金プランに「NEOプランW」が加わった。“W”という名称からも分かるように、データ容量はNEOプランの2倍にあたる40GB。SNSのデータ使用量をカウントしない「NEOデータフリー」や、アップロードが無制限になる「あげ放題」といったサービスはそのままに、容量を倍増させた。3カ月に1回15GBが付与される「Gigaプラス」も健在だ。
一方で、料金は3980円(税込み、以下同)とMVNOの中では比較的高額になった。データ容量を抜きにすれば、MNOのオンライン専用プランをも上回る。低容量・低価格を売りにしてきたMVNOにとって、チャレンジングな料金体系といえる。NEOプランWの勝ち筋をどう読んでいるのか。ソニーネットワークコミュニケーションズでMVNO事業室 室長を務める茂木卓也氏と、セールス&マーケティング課 課長の田中直樹氏、サービス設計課 課長の石井隆介氏に話を聞いた(役職はいずれも2023年3月時点のもの)。
―― MVNOで40GBというデータ容量は、非常に珍しいと思います。このような料金プランを投入するに至った背景を、改めて教えてください。
茂木氏 2021年11月に20GBのNEOプランをリリースし、その満足度は80%を超えてくるようになりました。一方で、アンケートの結果を見ると、もう少し容量を増やしてほしいという声が増えてきました。もともとそういうお声はいただいていましたが、割合が上がってきています。総務省のデータを見ても、ダウンロードのトラフィックは増えてきています。その状況とニーズに合わせ、もうちょっと大きな容量をお使いいただきたいということでNEOプランWをリリースしました。
―― 総務省の統計だと、5年で2.3倍という数字です。確かにドコモがahamoのサービスを開始してから丸2年がたっているので、当初、20GBでちょうどよかったユーザーだと、今は30GB弱必要になる計算が成り立ちます。こういった動向を加味しての40GBでしょうか。
茂木氏 データ量が増えているというところと、各社の動きを考慮しました。無制限まで行ってしまうとちょっと高い、そこまでは使わないという人に向け、今回は40GBという判断をしています。
―― いきなり40GBにせず、30GB、40GBと刻んでいく手もあったと思います。
茂木氏 確かに、シミュレーションの中にはありました。小刻みに行くのか、もう少し上に行くのかを検討し、40GBがちょうどいいというのがわれわれの判断でした。これがうまく受け入れられればいいのですが、(結果は)今後、販売していく中で分かってくると思います。
田中氏 NEOプランもGigaプラスで(3カ月ごとに)15GBが追加されるので、30GBだと少し中途半端になってしまいます。そこで、もう少し上に行く選択肢を取り入れました。
―― 確かに、実質25GBなので、30GBだと差が出しづらいというのはありそうですね。申し込みは始まっていると思いますが、状況はいかがですか。
茂木氏 計画通りで、順調にお申し込みをいただいています。
―― やはり、NEOプランで足りなくなった人が移るようなイメージでしょうか。
茂木氏 個別に案内するようなことは特に考えていませんが、(NEOプランを)選んでいただいたお客さまの中で、データ容量が足りないというニーズがある方にはお申し込みいただきたいですね。
田中氏 今後のことを言うと、コロナ禍が少しずつ明け、お客さまが外でスマホを使う機会が増えていきます。恐らくこれからは、今まで以上にNEOプランWをご利用いただけるようになると考えています。
―― トラフィックについてですが、行動制限がなくなった結果、伸び率が想定以上になったというようなことはありますか。
茂木氏 そこまで大きく想定から外れているわけではありませんが、ご利用シーンや生活様式が変わってきていることは確かです。
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