非営利団体だと資金面やサービスの改善、サポートなどに不安を覚えるが、Signalの運営は寄付で賄われている。小さいチームながらも、アプリの維持と改善に常に取り組んでいるという。目に見えない改善やメンテナンスも行い、常にパフォーマンスを向上。スマートフォンのOSをアップデートしていない人のために、旧バージョンでも動作するようにしている。
つい最近では、写真などをグループ内のメンバーと共有できる「ストーリー」機能を発表。これは南アジアや南米で非常に人気があるそうだ。
また、近々に「ユーザーネーム」と呼んでいる機能も導入予定だ。これは、電話番号を共有せずに、Signalでコンテンツをやりとりすることができる機能で、ジャーナリストからの要望が高かった機能だという。
スタンプも用意されている。コンテンツの拡充を予定している他、ユーザーがスタンプを作成し、アップロードできるようにもしている。
現状、Signalのユーザーはアメリカや欧州市場が中心。日本はまだスタートしたばかりだが、LINEがSignalプロトコルやゼロ知識証明を使ったシステムを使ってくれたら「すごくうれしい」とウィテカー氏は語った。
自然な文章でさまざまな質問に回答してくれるChatGPTは、この数カ月の間に急激に認知が広まり、ビジネスに取り入れる企業も現れ始めた。一方で、情報漏えいの危険性を指摘する意見も増えている。ウィテカー氏もプライバシー保護の観点でChatGPTをはじめとする大規模なAIシステムに対して懸念を示している。
「ChatGPTは、少量の情報でなせるものではなく、超膨大なデータを必要とします。その多くは、生成AIシステムのベースとなる大規模な言語モデルを訓練するために、監視によって集められたものです。つまり、大規模なAIシステムは大量のデータがなければ動かないような商品になっています。Signalはそのようなことは一切しません。プライバシー保護がわれわれのミッションです。
監視なしにChatGPTなどを作れるのであればと思っているのですが、それは私が見る限り不可能です。ChatGPTのようなAIがもっと育っていけば、監視のビジネスモデル(監視をしながら情報を集めてお金をもうけるビジネスモデル)が世界的にもっと広がっていくでしょう。広める力を持っているテック企業は、中国とアメリカに本拠地を持っています。というのも、それをやっていくためには、大規模なシステムを作るためのリソース、資源、データ、資本が必要になるからです」(ウィテカー氏)
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