「いくつかのアプリを同時に起動し、複数のタスクをこなせる」という点は、折りたたみスマホのいい点の1つである。この「マルチタスク機能」の差異についても確認していこう。
結論からいうと、同時により多くのアプリを表示できるのはGalaxy Z Fold4で、最大3つのアプリを同時に表示可能だ。さらに、画面分割機能を使わずに、アプリの上にさらにアプリを重ねて表示する「ポップアップ表示」を使えば、3つを超えるアプリを同時表示できる。
それに対して、Pixel Foldは左右それぞれにアプリを1つずつ表示可能。つまり、最大2分割表示となっている。額面上のスペックだけを見ると、一般的なAndroidスマホと同じマルチタスク機能である。
ただ、実際に使ってみると「正直、Pixel Foldでも十分じゃないか」と感じる。仮に2つを超えるアプリを同時に表示できたとしても、分割表示となれば1つ当たりの表示領域(ウィンドウ)は小さくなる。タッチ操作を前提とするアプリの場合、表示領域が小さくなることは操作性の悪化にもつながりうる。ゆえに「これでいいのでは」となってしまう。
それでも、「より多くのタスクを同時にこなしたい!」「同時に多くの情報を取得したい!」という人なら、間違いなくGalaxy Z Fold4をお勧めしたい。
両端末は「Android 13」を搭載している(Galaxy Z Fold4はOSのバージョンアップが必要)。Android 13では、タブレット端末や折りたたみスマホに最適化されたOS「Android 12L」譲りの「タスクバー」が搭載されているのだが、両端末で微妙な“違い”があるので、そのことにも触れておきたい。
タスクバーには電話やメールなどの基本的なアプリと、最近起動したアプリやバックグラウンドで動作しているアプリが並び、どちらもアプリをすぐに呼び出したいときに使える。ただし、両端末はタスクバーの表示方法に違いがある。
Pixel Foldでは、アプリの起動中にタスクバーが隠れる。タスクバーを表示したい場合は、ホーム画面に戻るか、画面下部のホームバー以外の領域を下から上に向かってスワイプしよう。
一方、Galaxy Z Fold4ではタスクバーが画面下部に常時表示される。明示的にフルスクリーン表示を行うアプリを除き、隠れることはないので、複数のアプリをすぐに呼び出せる。
タスクバーを「タスクバー」らしく使いたいという人は、Galaxy Z Fold4をお勧めしたい。
どちらの端末も、くの字(好きな角度にディスプレイを開いて固定させた状態)にして置くと、インナーディスプレイの半分をコンテンツ視聴に、もう半分(設置面)をコントローラー用途などに使える。スタンドを用意することなく、好きな角度でコンテンツを楽しめる。
この設置方法をPixel Foldでは「テーブルトップモード」、Galaxy Z Fold4では「フレックスモード」と呼んでおり、「YouTube」「Netflix」「Disney+」の各アプリがこのモードに対応している。
カメラアプリ(詳細は後述)をこの状態で起動すると、Galaxy Z Fold4は上半分にプレビュー、下半分に過去の画像とシャッターボタンなどが同時に表示される。過去の画像とプレビューを見比べながら撮影できるので便利である。
一方、Pixel Foldは上半分をプレビュー、下半分に画像の調整機能(明るさや色味などの調整)や撮影に関する機能が表示される。どちらかというと「今目の前にある被写体」に集中してほしいということなのかもしれない。
折り曲げた状態で使う際に、Galaxy Z Fold4のフレックスモードはもっとかゆい所に手が届く。例えば、ギャラリーで写真を表示した状態で本体をくの字にして置くと、上半分は写真の閲覧に、下半分はPCのようなタッチコントロールに使える。
他にも、フレックスモードではディスプレイの下半分で以下の操作を行える。
例えば、スクリーンショットの撮影では、わざわざ電源ボタンと音量ボタンを同時に押さなくても、ディスプレイの上半分の表示内容を撮影できる。タッチパッドをオンにすれば、上半分にWebページを表示し、下半分でマウスのカーソル操作を行えるため、PCライクに使える。
やはり先にリリースされたこともあってか、「折りたたみスマホならではの使い方」は、Pixel FoldよりもGalaxy Z Fold4の方が洗練されているように思う。
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