―― 今現在、3つのプランの中で比率が高いのはどれになりますか。
長谷川氏 一番支持されているのは、トクトクですね。コミコミプランはもとのプランLの数倍にはなりましたが、全体で見るとトクトクが多い。割引が効けば、トクトクの方がちょっと安いからです。コミコミはそういったことを関係なしに使えます。そこが逆転していて分かりづらいというご指摘はいただきますが……。
福澤氏 音声通話がそこまで必要ないという方もいらっしゃいます。
長谷川氏 音声を使わない人も増えている一方で、使う人はすごく使うので二極化している状況です。
―― その意味だと、コミコミプランは今回、音声通話定額10分とahamoより長くなっています。これでほとんどの通話をカバーできるということでしょうか。
福澤氏 10分あれば、90%ぐらいの通話をカバーできます。5分でもそこそこカバーできているのですが。
長谷川氏 そこは、精神的な部分も大きいですね。5分だと、ちょっと超えてお金を取られてしまう。10分にすることで、より安心してご利用いただけるようになります。
―― 単純にデータ容量と金額だけで選べなくなった分、ショップの役割も増しているような気がします。
長谷川氏 もともと携帯電話の料金は、こういうふうに使いたい、ここが困っているといったご相談をいただくもので、店頭では端末のご説明もします。そういったことをご相談いただきながら、機種変などのタイミングでコンサルティングのようなことはしています。ご納得いただき、ご利用いただくには重要だからです。そういった面でいえば、前のプランと今のプランにそこまでの違いがあるのかというと、そうではないと思っています。
例えば、コミコミプランは、すごく有名なahamoのようなプランがKDDIにはないのか聞かれたとき、「ある」と言いやすくなりました。ミニミニ、トクトクについては、今のY!mobileのプランに近い。今回、Y!mobileの新料金はより近くなりました。お客さまは何の情報も持たずにいらっしゃるのではなく、他社の情報も持っています。パッと見のイメージで(販売が)難しいのかというと、そうではないとは現場からも聞いています。
確かに、3つ並べると、なぜこの3つが同じUQ mobileの箱に入っているのかと思われるかもしれません。割引のかけ方も違いますし、複雑に見えるのかもしれませんが、一方で携帯業界を広く見たとき、Y!mobileが代表格だとすると、それに近いものはあります。20GBで有名なahamoのようなものもある。1つの箱の中に3つが並んでいるのが、われわれの料金プランです。
―― KDDIの場合、povo2.0が特徴的すぎることもあって、UQ mobileで他社のサブブランドとオンラインブランド両方に対抗していく必要があるということですね。
長谷川氏 われわれのオンラインブランドは少し特徴的で、新しいことができるブランドとしてpovoをやっていますが、あそこにはahamoのようなものを入れづらい。ただ、ahamoは店頭での直接の扱いはありませんが、かなりリアルな店舗でご説明したり、誘導したりしています。そういった意味で、われわれの中ではUQ mobileがそこを担うのは、それほど変な話でもないと思っています。
―― 先ほどから例としてahamoやY!mobileのお名前は挙がっていますが、楽天モバイルには対抗できていますか?
長谷川氏 戦えています。Rakuten最強プランになってからも、数字的に、楽天モバイルへの流出が増えているわけではありません。
価格の一番上に来る使い放題を求める方は、どう楽しまれるかというと、時間を濃縮しています。そうでないと、データ量が大きくならない。クイックなレスポンスでサクッとアプリを落としたり、動画もハイクオリティーな方がよかったりするという方が多いと思います。そういった部分では、auで用意しているものが合っている。通信クオリティーは高いですし、無制限でストレスもないですから。
逆にそこまで使わないのであれば、UQ mobileの20GBや15GBがあります。20GBあれば、ある程度使うことはできます。楽天モバイルはこういったところを1つにまとめている部分がありますが、(KDDIは)お客さまのニーズに合わせてお選びいただければ、そこにマッチしたものになるようにしています。
―― ここまであまり言及がありませんでしたが、ミニミニプランはいかがですか。
長谷川氏 これまでも3GBに2GBのオプションをつけて対応していましたが、今回の新料金では、値引き後なら(旧料金プランより)88円上がるだけで1GBが追加される。これで、前より余裕を持ってご利用いただけるのではないかと思っています。300kbpsに速度は制限されますが、容量超過後も使えます。
―― 割引後であれば、楽天モバイルよりデータ容量も大きくなりますね。
長谷川氏 使ったときには3000円以上払うというのであれば別ですが、高くなってまで使いたくないということであれば、ミニミニプランのような形でそれ以上いかないようにするのは1つの方法です。料金プランを1つにまとめればシンプルかというと、必ずしもそうではありません。それはそれで1つの形ではありますが、そうでない場合にミニミニプランをお選びいただくことは十分あると思います。
―― 次にトクトクプランですが、1GBで安くなるのはなぜでしょうか。
長谷川氏 元をたどると他社が最初に導入したものですが、使わない月はあって、そういったときに割引するというものです。1GBに抑えて使ってくださいという意味ではありません。今月あまり使っていないのに15GBぶんの料金を払わされたという思いを、割引で緩和することが目的です。
―― 15GBと1GBではかなりギャップが大きいと思いますが、実際、そんなに激しく上下する人はいるのでしょうか。
長谷川氏 auの「使い放題MAX」は3GBで割引をしていますが、こちらはある程度いらっしゃいます。トクトクは1GBですが、例えばHuluやNetflixがシーズンのはざまで見たい動画がなかったり、ものすごく仕事が忙しくて余裕がなく、行き帰りの電車では目をつぶっていたりと、外で使わなければギュッと(データ使用量を)圧縮できます。毎月交互という方はそんなにいないかもしれませんが、何カ月か1回そうなる方はいますね。
―― 出張で思ったより使わなかったというのもありそうですね。1カ月海外に行きっぱなしだったり。
長谷川氏 そういうケースもありますね。
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