最後は5x望遠カメラで撮り比べ。フラグシップ機ならではのお楽しみだ。
Pixel 8 Proはペリスコープ型(屈曲光学系)なら、iPhone 15 Pro Maxはテトラプリズム型。
ペリスコープ型はレンズを一度90度曲げてボディー内に横向きに入れることでボディーを厚くすることなく望遠レンズを収納する技術。望遠カメラは長い焦点距離を確保するために、それなりにレンズ長が必要なのだ。
テトラプリズムはさらに複数のプリズムを組み合わせることで、レンズ部をコンパクトにできるのがよさだと思う。
で、どちらも5x望遠でレンズのF値はF2.8。Pixel 8 Proは48MPのセンサーを搭載しており、50MPのサイズで撮ることもできるが、まあ基本的に12MPで使うものと思っていいだろう。
iPhone 15 Pro Maxはそもそも12MPのセンサーだ。
昼間の作例として人を。肌の色に違いはあるがどちらも優秀。ただ、傾向として、Pixel 8 Proの方がISO感度を抑えめに(その分シャッタースピードも遅くなる)撮影する傾向があり、明るくない場所では被写体ブレに注意したい。
続いて望遠で夜のタワマン群。
iPhone 15 Pro Maxはナイトモードにならなかったのでちょっとノイズが出ているが、ディテールまでしっかり出ている。Pixel 8 Proはナイトモードになり、ノイズは少ないがディテールはかなり甘い。
むしろ面白いのは色かな。Pixel 8 Proの方が少し青っぽくてイマドキの都会の夜景っぽい。どっちがいいかは好みだけど、ずいぶん違う。
ちなみに夜の望遠撮影はiPhone 15 Pro Maxの方が手ブレ補正がいい感じに効いて構図を決めやすい。
では最後は最高倍率で。
5xだとこんな感じの公園にある時計塔。
これをiPhone 15 Pro Maxの最大倍率(25x)とPixel 8 Proの最高倍率(30x)で撮り比べてみた。
文字盤の「6」の上に「Low Frequency Radio Control」と書いてある。まあ、電波時計ってことだ。Pixel 8 Proは辛うじてこの文字を読める。iPhone 15 Pro Maxは文字のようで文字じゃない、AIが適当に文字っぽいものを作ったみたいな感じだ。
これはPixel 8 Proがすごいなと。センサーが48MPなのもこういうとき有利な点だろう。
ただ日常的な写真ではそこまで差は感じない。
以上、3つのカメラを駆使してあれこれいろんなシチュエーションで撮り比べてみた。
写りってほんのちょっとした照明の加減や周辺の色環境、照明環境などで変わってくるので、ちょっと撮ってこっちの方が優秀、なんてうかつなことはいえないのだ。複数機種のシーン別画質評価の仕事を何度か引き受けたことあるけど、そのために条件を変えながら多くのシーンで撮り比べないと話にならないのだ。
確実にいえることは、2つ。
1つはiPhoneとPixel、それぞれ画作りに個性があり、シーンによってiPhoneの方が好ましかったりPixelの方がよかったりすること。
もう1つは、デジタルズーム時のディテールの処理はPixelの方がちょっと上、ということ。3つのカメラ全てが48MP以上というディテール描写に強いセンサーを持ってきたのも一因かもしれない。
使い勝手を見ると、カメラを切り替えたときや撮影時のレスポンスはiPhone 15 Pro Maxの方が反応がよくて快適だった。望遠撮影時の手ブレ補正もiPhone 15 Pro Maxの方が狙ったところにピタッと止まってくれる感じだ。
また、iPhone 15で採用された写真モードでも1x〜5xの間なら「ポートレート」仕様で撮れる機能は最高にいい。いちいち「ポートレートモード」に切り替える必要がなくなり、使い勝手が増した。
撮影機能で見ると、多彩なのはPixel 8 Proだ。
動画と静止画で別メニューになるくらいで、静止画には長時間露光やアクションパンといったデジタルを駆使した機能があるし、マニュアル撮影モードも持っている。
また、Googleフォトアプリを使った消しゴムマジックやベストテイクといったAIを駆使した編集機能はさすが「AIファースト」を標ぼうするGoogleならではだ。
その辺の技術を味合わせてくれるのはPixelだなと思う。
シンプルに使いたいならiPhone 15 Pro Maxの方が、最新の技術を堪能したいならPixel 8 Proかなといっていいかと思う。
モデル:長谷川実沙
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