2023年9月1月にHONORがドイツで発表した「HONOR V Purse」は、ファッション性を高めた折りたたみスマートフォンのコンセプトモデルでした。ところが、9月19日には中国で実製品を発売。コンセプトではなく、しっかりと動作する製品として開発されていたのです。
中国・深センのHONORストアでもV Purseは他のモデルとはちょっと違った展示が行われていました。本体を開いた状態で実機を展示するとともに、チェーンストラップをつけ本体を半分に折りたたんだモックアップも展示。このまま肩からかけてバッグとして持ち歩くことができるわけです。このような使い方を提唱した横折り式スマートフォンは、このV Purseが初めてでしょう。
V Purseは開くと7.71型の大きい画面となる折りたたみモデル。ディスプレイのたたみ方は最近主流の谷折り式ではなく、画面をむき出しに折りたたむ山折り式です。この形状はHuaweiの「Mate Xs」シリーズなどごく一部の製品だけが採用しています。
山折り式のメリットは、閉じたときもメインディスプレイがそのままアウトディスプレイになるため、もう1枚ディスプレイを用意する必要がないこと。そのため、本体はかなり薄くすることが可能で、開いたときの最薄部はわずか4.3mm、閉じても8.3mmです。ただし名カメラを搭載する部分として片側は厚みのあるデザインになっています。また重量は214gであり、チタンボディーで軽くなったiPhone 15 Pro Maxの221gより軽量です。
この薄い本体を折り曲げるのはちょっと勇気がいるようですが、意外としっかりした作りになっており、両手を使えば無理なく折りたたむことができます。なお、このサイズの中に4500mAhのバッテリーも内蔵しています。
本体をたたむとメイン表示側は6.45型、19.4:9のディスプレイとなります。閉じたままでも操作は快適です。プロセッサはSnapdragon 778G 5Gで、折りたたみ=高性能という固定概念が打ち砕かれます。V Purseはファッション端末であり、アプリもSNSやECショッピングなど日常的に使うもの程度、ヘビーユーザーをターゲットにしていないのです。
そのため価格も5999元(約12万4900円)と、横折りモデルとしては格安。この価格は中国では各社の縦折り式スマートフォンの価格と同一です。HONORは横折りスマートフォンとして高性能CPUとカメラを搭載した「Magic V」シリーズを展開していますが、V Purseは他社の縦折り式ファッションモデルと同じ存在、ということなのでしょう。
チェーンストラップを付けるには専用のケースを装着し、そこに取り付けます。画面の両側にデザイン調の壁紙を表示したままにしておくことで、ハンドバッグらしくも見えるというわけ。将来的にはブランドとコラボした壁紙など出てくると面白そうです。
カメラは5000万画素の広角と1200万画素の超広角のみ。インカメラは800万画素です。縦折りスマートフォンと同じ類の製品と考えれば妥当なところでしょう。
深センにあるHONORストアの1つを訪問した際のことですが、平日昼間にもかかわらず男女のカップルがやってきては女性がV Purseを触っているところを見かけました。しかも1組ではなく立て続けに3組もやってきたのです。ちょうどお昼休み時だったので、付近のオフィスビルで働いている人なのかもしれません。
折りたたみスマートフォンは横折り式が男性に受け、縦折り式が女性向きのような印象もあります。しかし「折りたたみスマホ大国」韓国に何度も訪れている筆者の印象では、逆に女性の方が横折りモデルを多く持っているようにも思えます。V Purseは横折りですが、女性にとっては持つことに違和感はなく、しかもファッショナブルな製品です。中国の女性の間で意外と話題になっているのかもしれません。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.