LINEMOの新料金プランでは、低容量と中容量に対しててこ入れをする形となったが、ソフトバンクでは他にソフトバンク(SoftBank)とY!mobileのブランドも抱えている。寺尾氏がよく質問されるというのが「3ブランドのすみ分けをどうするのか?」という点だという。
ソフトバンクブランドでは、無制限や大容量のデータ容量を軸に、PayPayの還元率を上げる「ペイトク」プランを導入。家族割引があるのもソフトバンクならでは。また、高額なスマートフォンを1〜2年で買い替えやすくする端末購入プログラム「新トクするサポート」も導入している。「大容量、経済圏、家族を生かしたソフトバンク」だと寺尾氏はまとめる。
Y!mobileはデータ容量だけを見ると、一部、LINEMOと重複している部分があるが、大きな違いは店頭でのサポートを受けられること。また、現行プランの「シンプル2」は、PayPayカード、ソフトバンク光、ソフトバンクでんきなどをセットで申し込んだ際の割引があり、ソフトバンク経済圏を生かした面もある。
対するLINEMOの特徴は「シンプル」(寺尾氏)の一言に尽きる。セット割の条件はなく、料金プランの表を見るだけでパッと頭に入ってくる。オンライン専用で、1人で使ってもお得になるようこだわった。ショップでのサポートは受けられないが、LINEを使ったサポートを受けられる。
LINEMOではアジャイル開発を取り入れており、高速に改善を繰り返す体制も整えている。これまで、LINEMOのサービス開始からサイトやアプリなどで4200件の機能を改善してきたという。LINEMOは3ブランドでは最も早くeSIMでの契約に対応していたこともあり、eSIMの申し込み比率も高く、2021年から3年で2倍に伸びたという。
寺尾氏が特に注目しているのが、メインブランドであるソフトバンクへの移行が増えていることだ。プレミアムなサービスを受けられる「ソフトバンク」と、安価に利用できる「Y!mobileとLINEMO」という違いが浸透してか、Y!mobileやLINEMOからソフトバンクに移行するユーザーが、2022年後半〜2023年から一気に伸びたという。現在は「ソフトバンクからY!mobile、LINEMOへの移行」と「Y!mobile、LINEMOからソフトバンクへの移行」がほぼ拮抗(きっこう)しているとのこと。
「LINEMO、Y!mobileに入った人が、もっとデータを使いたい、もっとPayPayでお得になりたい、新しい端末をお得に買いたいというときに、ソフトバンクブランドに移行するという動きが出ている」(寺尾氏)
より安価なプランに移行するのは自然な動きだが、より高額なプランへの移行が進むのは、キャリアにとっては願ったりかなったり。「ブランド間で流通をすることで、グループ内にとどまってもらえるようにする」と寺尾氏が言うように、安価なLINEMOやY!mobileだけでなく、ソフトバンクブランドの魅力が高まることが、グループ内の解約率抑止にも貢献しそうだ。
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