一通り使って特に便利だと感じたことが2つある。
1つは食事中であることを明示できること。一度注文すると、札(電子ペーパー)に記載の文言が、「いらしゃいませ」から「お食事中」に切り替わり、トイレなどを理由に離席している間、食器を片付けられる恐れがない。
もう1つはデザートをいつ持ってきてもらうのかを指定できること。例えば、「イタリアンジェラート」のメニューには「(すぐに)3205」「(あとで)3905」が並んでおり、食前なら3205を、食後なら3905を入力すれば済む。これにより、店員側はデザートを提供するタイミングを利用者に聞かずに済み、利用者側も店員とやりとりをせずに済む。
なお、インターネットへの接続が途切れるなどの理由で、途中から操作できなくなってしまった場合でも、インターネットに再接続して改めて札のQRコードを読み込むことで注文ができるようになっている。
食事が済んで会計を行う場合は、「会計する」をタップし、スマートフォンをレジへ持っていく。店員は利用者のスマートフォンに表示されたバーコードをレジでスキャン。最後に利用者が支払いへ進む流れとなる。紙のレシートを店員に渡すことでも会計できる。
サイゼリヤがスマートフォンの注文に切り替えているのはなぜだろうか? 同社広報はITmedia Mobileの取材に「DX化により、お客さまにはより便利にご利用いただき、従業員はより働きやすくするために導入を進めております。また、タブレットを用いたセルフオーダーより投資対効果が高いと考えたためです」と答えた。
なお、全店舗でこのセルフオーダーを利用できるわけではなく、まだ一部の店舗で試験的に導入している段階という。「現在は紙を用いたオーダーとの併用をしておりますが、今後についてはスマホオーダーへ移行予定しております。QRコード等の決済手段やスマホ決済の連携などについても現在検討を進めております」(同社広報)
DX化を理由にタブレットを使う注文に切り替える外食チェーンはコロナ以降で増えた。かつて店員のiPod touchで注文をする方式を採用していたサイゼリヤも、この潮流に乗ると思われたが、注文の全てをスマートフォンやタブレットにせず、大きなメニューを見ながら注文したり、会計もあえてスマートフォン決済だけにしたりしないところは、利用者ファーストな考え方だ。
もっといえば、スマートフォンを持っていない、あるいは通信障害などでインターネットに接続できない場合でも、紙のメニューをあえて廃止しないサイゼリヤなら、従来同様、メニューを見て店員とやりとりをし、注文から決済までを行える。
実体験をへてあらゆるシーンを想定した合理的なシステムだと感じた。これがさらに普及していくのか、あるいは実験的な導入で終わるのか、利用者の反応も含め見ものだ。
ガストの「テーブル決済」をPayPayで試してみた 便利だけど思わぬワナも
マクドナルドのモバイルオーダーがやめられないワケ ポイント二重取り終了で欠点が皆無に?
会員登録せずにiPhoneからスタバで注文 「App Clip」導入の狙いと「モバイルオーダー&ペイ」の真価
みんな大好き「ケンタッキー」をスマホで注文してみた 新アプリは便利だが残念な点も
「くら寿司」モバイルオーダー体験記 座席予約、スマホから注文が便利 最後に改善してほしいと感じた“アレ”Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.