世界を変える5G

KDDIの5Gが“真の実力”を発揮、通信品質の評価を覆せるか 「5G SA」の本格展開も見据える石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2024年06月15日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

受信環境が大幅に改善、スループットも300Mbps強に

 結果として、ユーザーが体感できる品質は、大きく上がっているようだ。出力増加やアンテナの角度調整により、5Gの電波が-100dBm以下になるメッシュは東京23区だけで1万を超えた。ここまで電界強度が強くなれば、「電車内や屋内でもSub6をつかめるようになる」。当然、屋外であればその速度は大きく上がる。

 -120dBmと電波が弱い場所も1万メッシュ以上あるが、東京23区内では4Gから転用したエリアはほとんどなくなってきたといえる。-120dBmのようなエリアでは屋内に入ると5Gが途切れてしまうものの、こうしたときには「無理をしすぎて通信を引っ張りすぎるとパケ止まりが起こってしまうため、すぐにハンドダウンするセッティングにしている」(同)。4Gから転用した5Gに引き継ぐことで、「快適な通信を続けられる」(同)という。

au5G Sub6の電界強度が-100dBmを上回るメッシュは、1万を超えている

 ここまで電波の状況がよくなると、まず通信速度が向上する。4Gから転用した5Gが実行速度で70〜100Mbpsにとどまっていたのに対し、Sub6をつかむことで約3倍の300Mbpsまで速度が上がり、通信が快適になる。また、遅延が減り、30ms以下の割合が92%にも達している。20ms以下とさらに低遅延になる割合も75%に上がり、この指標で他社をリードしていたソフトバンクに肉薄した。

au5G
au5G スループットは300Mbpsになり、遅延も減少している

 衛星通信との干渉条件が緩和されたのは、関東だけではない。大阪、札幌、福岡、名古屋などでもそれぞれ出力増加やアンテナ角度の調整を行い、Sub6のエリアが拡大している。もともと、強い出力で電波を吹けていたエリアもあるため、関東だけを抜き出したときよりエリアの拡大率は下がるものの、全国レベルでも1.5倍に広さが増している。

au5G 関東だけでなく、その他の地域でもエリアを拡大。平均すると、1.5倍に広がっているという

 発表会当日には、会場となったザ・プリンス パークタワー東京をカバーするSub6のエリアを実際に広げるデモも披露された。同ホテルには、複数の基地局から電波が届いているが、その内の1局が出力増強前の状態だった。そのため、屋外で5Gをつかんでいても、速度は100Mbpsを下回ることが多かった。以下は、筆者の端末(iPhone 15 Pro)で行ったスピードテストの結果。100Mbpsを超えるときもあったが、おおむね2桁の速度にとどまっていた。

au5G 既存の出力で速度を測ったところ、60Mbps程度だった。100Mbpsを超えるときもあり、悪い結果ではないものの、5Gとしては物足りない速度だ

 ネットワークセンター側から遠隔で出力を上げ、完了後に速度を図ったところ、300Mbpsから400Mbpsまで高速化。出力を上げるだけで、品質はここまで改善される。エリアが広がったことで、上りの速度も10Mbpsを超えるようになった。ちなみに、前後の電界強度をGalaxy Z Fold5に入れたアプリで測定してみたところ、-106dBmから-87dBmまで電波が強くなっていることが分かった。このような品質改善が、全国各地で行われたというわけだ。その効果は、もともとSub6のエリアが限定されていた関東圏が、特に大きくなる。

au5G ネットワークセンター側から遠隔で基地局の出力を上げているところ
au5G 出力増強後に行ったスピードテストでは、400Mbpsを超えることもあった。同じ場所の電波環境が大きく変わった格好だ
au5Gau5G iPhoneでは、電界強度を正確に取れないため、Galaxy Z Fold5のeSIMをpovo2.0に切り替え、数値をチェックした。出力増強前(左)は-106dBmとやや5Gの電波が弱かったのに対し、増強後(右)は-87dBmまで状況が改善している

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