前世代とのもう1つの大きな違いは、利用可能なApple Pencilにある。iPad mini(A17 Pro)は、先に発売されたiPad Pro(M4)やiPad Air(M2)と同様、Apple Pencil Proに対応する。Apple Pencil(第2世代)やApple Pencil(第1世代)と互換性がない点には注意が必要。iPad mini(第6世代)やそれ以前のiPad miniから買い替える場合、それらとセットで使っていたApple Pencilは利用できなくなる。
登場が数年おきになっているためか、iPad miniは第5世代、第6世代、A17 Proと1機種ごとに異なるApple Pencilを採用することになる。新機種が出るたびにiPad miniを購入していたユーザーは、それに合わせてApple Pencilの買い替えまで余儀なくされてしまう。iPad miniは、コストパフォーマンスの高さも売りなだけに、この点は少々残念だ。
一方でApple PencilがApple Pencil Proになったことで、機能性が増していることは間違いない。Apple Pencil Proは、ハプティックフィードバックを採用しており、ダブルタップでツールを切り替えたときに軽い振動がある。これによって、例えば筆記用のペンと消しゴムを切り替えたことが触覚として把握できる。
筆者も発売以来、Apple Pencil Proを使っているが、文字を消そうと思ったのに線を増やしてしまったという失敗がなくなった。ペンや消しゴムのようなツールは比較的小さいため、切り替えに失敗していることを見逃しづらい。視覚として把握するより、触覚でフィードバックされた方がいいというわけだ。この機能をiPad mini(A17 Pro)で利用できるようになったのは、うれしいポイントの1つだ。
また、Apple Pencil Proは感圧センサーも内蔵しており、ぎゅっと握ることで画面上部にツールパレットなどを表示する「スクイーズ」にも対応している。ツールを切り替える際に、ペン先を大きく動かさなくて済むため、この操作に慣れると筆記や描画に集中しやすくなる。筆者はあまり利用しないが、回転操作に対応したことで絵を描くときに使える表現方法が増えたのも評価できる。
一連の機能はiPad Pro(M4)やiPad Air(M2)でも利用できるが、iPad mini(A17 Pro)ならではだと感じたのが、本体を片手で握りながら筆記ができるところ。しかも軽さが相まって、長時間でもあまり苦にならない。これがiPad ProやiPad Airだと、手に固定するためのアクセサリーが必要になる。iPad mini(A17 Pro)なら、メモ帳や小さ目のノート感覚でApple Pencil Proを利用でき、活躍の機会が広がる。
パフォーマンスが上がり、Apple Pencil Proに対応した一方で、iPad mini(A17 Pro)の価格は最安のWi-Fiモデル、128GB版が7万8800円(税込み、以下同)からとなっており、直前まで8万4800円が最安だったiPad mini(第6世代)より値下げされている。しかもiPad mini(第6世代)の最小構成はストレージが64GBしかない。最小構成同士の比較だと、値下げされた上にストレージが倍増しているというわけだ。これは、とても良心的だ。
もっとも、iPad mini(第6世代)は為替レートの変動が激しい時期に販売されていたこともあり、たびたび価格が改定されていた。8万4800円に値上げされたのは2024年5月のこと。それ以前はiPad Pro(A17 Pro)と同じ7万8800円だった。それでも、性能が全体的に底上げされており、ストレージも倍増してこの価格というのはお得感がある。コンパクトでコストパフォーマンスに優れたタブレットが欲しい人には、おすすめできる1台に仕上がっているといえそうだ。
(製品協力:アップルジャパン)
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