ヴィルジコウスキー氏は、最近行ったという2つの調査結果を紹介した。
1つは最近公開された、アジアパソフィック各国のモバイルネットワークエクスペリエンスを調査したもの。日本のユーザーはアジアパシフィックにおいて、信頼性の高いネットワークを利用しているという結果が出ている。
3G、4G、5Gの携帯電話ネットワークを使っている率を示す「Availability(利用率)」は99.6%とかなり高いが、5Gに限る(画像中央の「5G Availability」)と低く、平均8.8%しか5Gネットワークに接続していない。上位の国は30%を超えている。なお、インドは52.1%と非常に高いが、これは「率先して5G SAをサポートしているおかげ」とヴィルジコウスキー氏は説明している。
5Gの通信速度では、ダウンロードとアップロードとも韓国が1位となっている。韓国は2019年に商用5Gを最初に始めた国であることがプラスに働いているとヴィルジコウスキー氏は分析している。
「韓国は5Gネットワーク開発のリーダー的な存在。早い時期に開発されたことは、技術を進化させるのに十分な猶予があったということ。5Gのダウンロード速度、アップロード速度とも、APACの他の諸国と比べて、かなり速い」(ヴィルジコウスキー氏)
一方、日本は残念ながら低い位置にとどまっている。
5Gネットワークの展開が初期段階にある国々の中で、インド、スリランカ、マレーシアでは、4Gから5Gに移行した場合の速度向上が顕著だ。それらの国々と比べると、日本はダウンロード速度、アップロード速度ともそれほど上がっていない。しかしこれは、「日本では4Gの通信速度がかなり速いということが、このような結果につながっている」とヴィルジコウスキー氏はコメントしていた。
未発表の調査も一部紹介された。
Opensignalは、デバイスの違いによるネットワーク体験を評価しようとしている。最新の5Gスマホと古い4Gスマホを使用した場合を比較した調査を行っているという。
例えば日本の場合、最新の5Gデバイスを使うと、古い4Gデバイスよりもダウンロード速度は4.1倍、アップロード速度は1.7倍向上する。
資料下段の「Video Time to First Frame」は、動画がスタートするのにどれくらいの時間がかかるかを調査したもので、当然ながら5Gの方が早く始まる。「ネットワークに接続する際に遅延があるが、その遅延が5Gデバイスでは少ない」(ヴィルジコウスキー氏)。
また、「Video Stalling Time(ビデオの失速時間)」も指標の1つ。動画再生中、中断が起こってデータがロードされるまでのバッファーの時間のことで、古い4Gデバイスを使っていると失速時間が500ミリ秒に達している。最新の5Gデバイスの場合の時間と比べると7.3倍も長い時間がかかっている。
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