2月28日、かねてうわさされていた新しいiPhoneのエントリーモデル「iPhone 16e」が発売された。ストレージ容量が一番小さい128GBモデルであればメーカー直販で10万円を切る価格設定で、「iPhone 16ファミリー」というくくりなら一番手頃な新モデルということになる。キャリアを通して販売される分も、Apple直販よりは少し値は張るが、やはりiPhone 16ファミリーの中では最廉価ではある。
しかし、iPhone 16が発表されるとSNSでは「『iPhone 16』との価格差があまりない」「この価格差ならiPhone 16を買った方がいいのでは?」「(旧モデルだけど)特価になっている『iPhone 15』の方がカメラも2個だしおトクでは?」といった声が挙がった。端的にいうと、今までのiPhone SEシリーズのような価格面での競争力がないという指摘が相次いだ。
一方で、iPhone 16eについてはWebメディアのレビュー記事、あるいは実際に購入した人からはポジティブな意見も出ている。
では、実際の売れ行きはどうなのだろうか。携帯電話ショップに勤務する複数の店員から話を聞いた。
新型iPhoneの発表/発売といえば、多くの携帯電話ショップにとっては「祭り」という位置付けだ。
時差もあるため、iPhoneの発表は日本時間の深夜が基本だ。翌朝出勤するとキャリアから「予約受付開始に向けた準備」について連絡が入り、そこから矢継ぎ早に価格設定やキャンペーンの情報がやってくる。情報に合わせて店内の掲示物を追加/更新していくこともあり、とにかくやることが多くて忙しくなる。
注目度の高い機種であれば、予約開始の時刻(また翌営業日の開店時間)から発売まで来客対応の負荷が大きくなることもある。もっとも、最近は予約から入荷連絡までをWebとメールで完結できる仕組みが確立しているため、購入待ちの列ができるのも過去の出来事となりつつあるが、それでも「新製品について教えてほしい(相談したい)」と通常時よりも来客が増えることに変わりはない。
iPhone 16eの発表から発売前まで、携帯電話ショップはどんな様子だったのだろうか。店員たちはこう語る。
iPhone 16eの発表直後は「少しは忙しくなるかな」と思っていたのですが、ふたを開けるとかなり静かでした。
静かすぎて、いろいろ掲示物を作って売場作りをしてましたが、「本当に発表されたの?」と思ってしまうくらい、うちの店には(iPhone 16eに関する)問い合わせはなかったです。
全く反応がなかったわけではないんですが、「買う決心をして予約に来ました!」みたいなお客さまは本当に少なかったですね。むしろ、「何か新しい安いiPhoneが出るらしいけど、どういうものなの?」って感じの様子見に来るお客さまの方が多いくらいです。
「安いiPhoneが出るらしいけど、今は割引も少ないからそんなに安くならないんでしょ?」「古いiPhoneが安く売ってるけど、それよりも安いの?」といったように、iPhone 16eについては「機能」よりも「安さ」を気にする声が多い印象です。
発売前でキャンペーンなども決まりきっていない旨を伝えると「持ち帰って検討」となるケースも多かったです。
全般的に、iPhone 16eには売り場を“温める”効果はなかったようだ。
発売前の予約期間中、筆者は複数の携帯電話ショップに行き店内の様子も見てみたが、特に混雑する様子は見受けられなかった。店員と来客の会話にも気に掛けてみたのだが、iPhone 16eが主役になっている様子も見受けられなかった。
過去のiPhone SEシリーズも含めて、iPhoneの発売としては相当に“静か”だったのは確かである。では、発売後は果たしてどうなったのだろうか。
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