「(3a)Pro」ではなく「Nothing Phone (3a)」投入の理由、楽天モバイルが扱う背景は? キーパーソンに聞く日本攻略への道筋(1/4 ページ)

» 2025年05月16日 11時00分 公開
[石野純也ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 英Nothing Technologyは、4月にミッドレンジモデルの最新作となる「Nothing Phone (3a)」を発売した。同社は2020年に設立されたばかりのスタートアップだが、日本上陸は早く、スマホの初号機「Nothing Phone (1)」から展開を開始。2024年に発売された「Nothing Phone (2a)」ではローカライズも進め、同社製品として初めておサイフケータイに対応した。

 このNothing Phone (2a)の後継機にあたるのが(3a)だ。Nothing Phoneの特徴的なデザインは踏襲しながら、ベースとなるスペックを底上げし、新たに望遠カメラも搭載。向上した処理能力を生かし、AIでスクリーンショットや写真などを保存、分析し、ユーザーに行動を提案する「Essential Space」という新機能にも対応した。このEssential Spaceに情報をワンクリックで保存するため、側面には「Essential Key」を備える。

Nothing Phone (3a)
Nothing Phone (3a) 4月に発売されたミッドレンジスマートフォン「Nothing Phone (3a)」

 正統進化を遂げたNothing Phone (3a)だが、これに合わせて販売面も強化している。新たに楽天モバイルでの取り扱いが始まり、同社の100店舗には実機が展示される。日本でMNOがNothingのスマホを販売するのは、これが初めて。その規模を徐々に拡大している様子がうかがえる。では、同社はどのような戦略で日本市場を攻略していくのか。Nothing Japanでマネージングディレクターを務める黒住吉郎氏に話を聞いた。

「Phone (3a)Pro」ではなく「Phone (3a)」を投入する理由

―― グローバルでは「Nothing Phone (3a)Pro」もありますが、日本ではNothing Phone (3a)のみの展開になりました。この狙いを教えていただけないでしょうか。

黒住氏 日本のお客さまに対して一番強みを出せるものは何なのかを考えています。Nothingは、スペックとプライスのバランスがあった上で、どうユニークなデザインや体験を打ち出せるかという提案しています。それを訴えることができるプライスポイントを考えると、Nothing Phone (2a)の後継である3aはドンピシャの1台でした。2aのときからFeliCaは搭載していますし、(市場投入の)優先順位を決める中では3aの優先度が一番高くなっていました。

 SNSでもProはないのかという話が出ていましたが、これはわれわれもすごく検討しました。ただ、お客さまを見たときにフィットするプロダクト、言い換えるならお客さまがメリットや魅力を感じやすいものは3aでした。Proもペリスコープカメラが付いていて強力なプロダクトであることは否定しませんが、逆に少し(デザインの)アクも強い。土台という意味で、3aはNothingのデザインDNAも感じやすいのではないでしょうか。

Nothing Phone (3a) Nothing Japanでマネージングディレクターを務める黒住吉郎氏

―― Proはありませんが、Nothing Phone (3a)も性能面はかなり底上げされたように感じました。

黒住氏 いろいろな面が底上げされていますが、顕著なのはカメラだと思います。われわれは参入から4年目のスマホメーカーで、最大限努力はしてきましたが、ユーザーからの評価として、「カメラがいいからNothing Phoneを買おう」という人はあまりいなかった。そこは意識を変えています。お客さまのライフスタイルを見ると、やはりカメラは(購入の)理由になっている。だったら、カメラで買っていただいてもいいのではないかと考え方が変化しています。

 そこで、Nothing Phone (3a)ではカメラに抜本的なてこ入れをしました。分かりやすいところで言えば、2眼から3眼になって望遠レンズが入り、ウルトラズームを入れれば30倍まで拡大できます。Qualcommにご協力いただきながら、われわれ自身も「TrueLens Engine 3.0」を入れて、しっかり性能を引き上げています。

 メインカメラのセンサーはNothing Phone (2a)と同じですが、型番にDLもついています。これはDeep Learningの略で、数百万通りシーンを機械学習で入れ、シーンに合わせた最適化がかけやすくなっています。

Qualcomm製チップの得意分野を生かせている

―― 新興企業ということでリソースも限られていると思いますが、なぜこのようなことができたのでしょうか。

黒住氏 環境が整ってきているということはあります。また、Nothingはコラボレーションも大事にしています。テクノロジーをやっている企業の中には、「Not Invented Here」ということで自分たちが開発したものでないと使わないところももありますが、いろいろな方々とコラボレーションすることで、自分たちだけではなしえないことができます。

 例えば、カメラでいえば「Ultra HDR」はQualcommが持っている技術とわれわれが持っている技術を掛け合わせることで、より良いものになる。リソースはそこまでありませんが、やりたいことは分かっているので、他社と一緒にどうやっていけばいいのかに力を注いでいます。昔は製造委託するだけでもハードルがありましたが、今はそこだけでなく、キーコンポーネントの部分でもコラボレーションが実現できています。

―― チップセットもQualcomm製になり、処理能力が上がりました。

黒住氏 MediaTek製のものが悪いわけではなく、Nothing Phone (2a)の世代では最適な選択でしたが、今回はQualcommに変わり、その得意な部分は生かせています。CPU、GPUの性能だけでなく、熱効率が上がりました。バッテリーの利用効率にも、(Qualcommは)一日の長がありますし、オンデバイスAIにもかなりの投資をしています。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月12日 更新
  1. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」は何が違う? 3万円の価格差をスペックから検証する (2026年03月10日)
  2. 庵野秀明、GACKT、ひろゆき、ドワンゴ川上らが集結 “カメラのいらないテレビ電話”をうたう新サービス「POPOPO」18日に発表へ (2026年03月11日)
  3. 「iPad Air(M4)」実機レビュー 「もうProじゃなくてもいい」と思えた性能、だからこそ欲しかったFace ID (2026年03月09日)
  4. 「iPhone 17e」を試して分かった“16eからの進化” ストレージ倍増と実質値下げで「10万円以下の決定版」に (2026年03月09日)
  5. 自分で修理できるスマホ「Fairphone(6th Gen.)」を見てきた わずか10分で画面交換、2033年まで長期サポート (2026年03月10日)
  6. 携帯キャリアの通信9サービス、総合満足度はpovoがトップ サブブランド勢が好調 MMDが調査 (2026年03月10日)
  7. 60ms未満の音声遅延速度で端末をワイヤレス化「UGREEN USBオーディオトランスミッター」が30%オフの2309円に (2026年03月09日)
  8. キーボード付きスマホ「Titan 2 Elite」がUnihertzから登場 実機に触れて分かった“絶妙なサイズ感” (2026年03月09日)
  9. 【無印良品】ウエストポーチもになる「スリングバッグ」が3990円に値下げ中 植物由来の原料を使用 (2026年03月11日)
  10. Qualcommのウェアラブル新チップが「Elite」を冠する理由 最新モデム「X105」は衛星通信100Mbpsへ (2026年03月11日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年